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送り狼的な彼
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「私も寛道のこと、嫌いじゃないよ?」
寛道、何だかんだ言って、小さい頃から可愛がってくれるし、たまにだけどこんな風におばさんの手料理をお裾分けもしてくれる。
何より私が困っていたら憎まれ口を叩きながらも今日みたいに助けてくれるでしょ?
だから、嫌いじゃない。
あえて「好きだよ」とは言わずに「嫌いじゃないよ」って言い方をしたのは何となくで深い意味はない。……と思う。
言い回しは違うけど意味通じるから問題ないよね?
寛道をじっと見上げてそう言ったら、「何でこの局面でそうなるんだよ、お前っ」って吐き捨てられて。
わわわっ。いま、寛道がすごい不機嫌になってるの、掴まれた腕に一瞬だけど力がこもったので分かっちゃった。
こ、これはマズイかも?
やっぱり「好きだよ」って言わなかったから怒ったのかな。
「す、好きっ! わ、私、寛道、好きだよっ? 今日もらったかぼちゃと同じぐらい好き!」
慌てて言ったら、瞬間唇を噛み締めた寛道に、ギュッと手首を掴まれて「行くぞ」ってグイグイ引っ張られて。
私、転びそうになりながら懸命に寛道の後を小走りでついて行きながら「どこへ?」って言葉を何となく飲み込んだ。
御神本邸に……決まってる、もん、ね?
聞くだけ野暮だよね?
***
「あっ、あのっ、ひ、ろみち?」
何で何で何でーーーーっ!?
グイグイ手を引かれて……私は今、タクシーの中にいます。
えっと……。
朝は徒歩で来られたよ?
車に乗る必要なくない?
ソワソワしながら寛道を見つめるけれど、まるで私からの質問なんて受け付けないとでも言うふうに窓外をじっと見つめていて。
そのくせ手首はギュッと握られたまま。離してくれる気配はないの。
さすがにこの感じで家に向かっているとは思えない。
タクシーに乗り込むなり運転手さんに、ササッと操作したスマホの画面を見せて「ここへ行ってください」と言った寛道の横顔は、今まで見たことのないような怖い顔で。
何を考えているのかさっぱり分からない。
そんな寛道に、私は混乱するばかり。
お腹も空いたし、私、御神本邸に戻って、八千代さんと一緒に夕飯の支度だってしなきゃいけないのよ?
黄昏つつある窓外は淡い茜色とブルーが競い合うように混ざり合って、景色がよく見えない。
それが不安な気持ちを余計にかき立てるの。
「どっ、どこに向かってる……の?」
恐る恐る問いかけたら「病院」って言われて。
それはどこの病院なんだろう?と、私の中に更なる疑問を呼び起こすの。
「頼綱の、……トコ?」
何となく頼綱の顔が浮かんでそう言ったら、無言で睨まれて。
それは肯定なの? 否定なの? どっち?
寛道、何だかんだ言って、小さい頃から可愛がってくれるし、たまにだけどこんな風におばさんの手料理をお裾分けもしてくれる。
何より私が困っていたら憎まれ口を叩きながらも今日みたいに助けてくれるでしょ?
だから、嫌いじゃない。
あえて「好きだよ」とは言わずに「嫌いじゃないよ」って言い方をしたのは何となくで深い意味はない。……と思う。
言い回しは違うけど意味通じるから問題ないよね?
寛道をじっと見上げてそう言ったら、「何でこの局面でそうなるんだよ、お前っ」って吐き捨てられて。
わわわっ。いま、寛道がすごい不機嫌になってるの、掴まれた腕に一瞬だけど力がこもったので分かっちゃった。
こ、これはマズイかも?
やっぱり「好きだよ」って言わなかったから怒ったのかな。
「す、好きっ! わ、私、寛道、好きだよっ? 今日もらったかぼちゃと同じぐらい好き!」
慌てて言ったら、瞬間唇を噛み締めた寛道に、ギュッと手首を掴まれて「行くぞ」ってグイグイ引っ張られて。
私、転びそうになりながら懸命に寛道の後を小走りでついて行きながら「どこへ?」って言葉を何となく飲み込んだ。
御神本邸に……決まってる、もん、ね?
聞くだけ野暮だよね?
***
「あっ、あのっ、ひ、ろみち?」
何で何で何でーーーーっ!?
グイグイ手を引かれて……私は今、タクシーの中にいます。
えっと……。
朝は徒歩で来られたよ?
車に乗る必要なくない?
ソワソワしながら寛道を見つめるけれど、まるで私からの質問なんて受け付けないとでも言うふうに窓外をじっと見つめていて。
そのくせ手首はギュッと握られたまま。離してくれる気配はないの。
さすがにこの感じで家に向かっているとは思えない。
タクシーに乗り込むなり運転手さんに、ササッと操作したスマホの画面を見せて「ここへ行ってください」と言った寛道の横顔は、今まで見たことのないような怖い顔で。
何を考えているのかさっぱり分からない。
そんな寛道に、私は混乱するばかり。
お腹も空いたし、私、御神本邸に戻って、八千代さんと一緒に夕飯の支度だってしなきゃいけないのよ?
黄昏つつある窓外は淡い茜色とブルーが競い合うように混ざり合って、景色がよく見えない。
それが不安な気持ちを余計にかき立てるの。
「どっ、どこに向かってる……の?」
恐る恐る問いかけたら「病院」って言われて。
それはどこの病院なんだろう?と、私の中に更なる疑問を呼び起こすの。
「頼綱の、……トコ?」
何となく頼綱の顔が浮かんでそう言ったら、無言で睨まれて。
それは肯定なの? 否定なの? どっち?
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