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おさななじみ vs. いいなずけ
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「キミが花々里の何なのかは知らないけどね、悪いがソレはもう僕のなんだ。――その手、離してもらえるかな?」
とか。
未だに僕から俺に戻っていない上に、私、何だかモノみたいな言われようですね!?
代名詞、〝彼女〟とすら置き換えずに〝ソレ〟とか言っちゃってますよ!?
「は? 俺はコレの幼なじみなんだよ! ポッと出のわけ分からんオッサンに、はいそうですか、って預けて帰れるか!」
で、何なのよ。
寛道まで〝コレ〟とか。
何だか段々悲しくなってきた……。
「私、モノじゃない……」
黙っていられなくなって、小さくポツンとつぶやいたら、2人がハッとして息を飲んだのがわかった。
「正直な話、私、許嫁も幼なじみも大差ないと思ってるのよ。付き合いの長さで親交の深さは推し量れないでしょ? なのに寛道ってば何よ!! 幼なじみを振りかざすくせに、私のことモノ扱いして!」
名指しして、私の手を握ったままの寛道をキッと睨みつけると、
「さっきだっておばさんがせっかく私にってお裾分けしてくれた料理を勝手に食べたとかサラリと言うし! そういうところ、大っ嫌いっ!」
そう一気にまくし立てて、彼がひるんだ隙に手を振り解いてやったの。
そう、それが大問題だって気付けないようじゃ、まだまだだって言うのよ!
大っ嫌いっ!と言った瞬間の寛道の悲しそうな顔が少し可哀想に感じられたけど、でも……このぐらい言ってもきっとすぐに立ち直ると思う。
寛道が案外タフなのは私、子供の頃から見ていて知っているし、喧嘩して大嫌い宣言したのだって1度や2度じゃないんだから。
そんな私をうっとりと見つめている頼綱だって同罪よ?
私、今度は頼綱をジロリと睨みつけてから、
「何回も言ってるけど私、あなたの申し出、承諾してない。なのに何で今日会ったばかりの寛道にあんなこと言うの?」
言ったら、「僕だって花々里がそれを蹴ることを認めた覚えはないよ? 第一うちに使用人として置いてるのだってキミを逃さないためだとは思わないの?」って返ってきた。
言って私を見つめてきた頼綱の表情が、いつもに増して冷ややかで怖かったけど……私だっていつもいつもやられてばかりじゃないのよ?
「お、思わない……」
わけじゃないけれど……思うとは言いたくないし、言ってなんてやるもんか。
とか。
未だに僕から俺に戻っていない上に、私、何だかモノみたいな言われようですね!?
代名詞、〝彼女〟とすら置き換えずに〝ソレ〟とか言っちゃってますよ!?
「は? 俺はコレの幼なじみなんだよ! ポッと出のわけ分からんオッサンに、はいそうですか、って預けて帰れるか!」
で、何なのよ。
寛道まで〝コレ〟とか。
何だか段々悲しくなってきた……。
「私、モノじゃない……」
黙っていられなくなって、小さくポツンとつぶやいたら、2人がハッとして息を飲んだのがわかった。
「正直な話、私、許嫁も幼なじみも大差ないと思ってるのよ。付き合いの長さで親交の深さは推し量れないでしょ? なのに寛道ってば何よ!! 幼なじみを振りかざすくせに、私のことモノ扱いして!」
名指しして、私の手を握ったままの寛道をキッと睨みつけると、
「さっきだっておばさんがせっかく私にってお裾分けしてくれた料理を勝手に食べたとかサラリと言うし! そういうところ、大っ嫌いっ!」
そう一気にまくし立てて、彼がひるんだ隙に手を振り解いてやったの。
そう、それが大問題だって気付けないようじゃ、まだまだだって言うのよ!
大っ嫌いっ!と言った瞬間の寛道の悲しそうな顔が少し可哀想に感じられたけど、でも……このぐらい言ってもきっとすぐに立ち直ると思う。
寛道が案外タフなのは私、子供の頃から見ていて知っているし、喧嘩して大嫌い宣言したのだって1度や2度じゃないんだから。
そんな私をうっとりと見つめている頼綱だって同罪よ?
私、今度は頼綱をジロリと睨みつけてから、
「何回も言ってるけど私、あなたの申し出、承諾してない。なのに何で今日会ったばかりの寛道にあんなこと言うの?」
言ったら、「僕だって花々里がそれを蹴ることを認めた覚えはないよ? 第一うちに使用人として置いてるのだってキミを逃さないためだとは思わないの?」って返ってきた。
言って私を見つめてきた頼綱の表情が、いつもに増して冷ややかで怖かったけど……私だっていつもいつもやられてばかりじゃないのよ?
「お、思わない……」
わけじゃないけれど……思うとは言いたくないし、言ってなんてやるもんか。
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