【完結】【R15】そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜

鷹槻れん(鷹槻うなの)

文字の大きさ
上 下
3 / 317
世の中は世知辛いのです

1

しおりを挟む
「家賃を払える目処が立たないとなるとねぇ、可哀想だけど出て行ってもらうしかないんだよ。こっちも慈善事業じゃないんでね」

 年配の大家さんの溜め息混じりの声を聞きながら、溜め息をつきたいのはこっちだよぅ、なんて思ってるだなんて、言えるわけない。

「もちろん私も悪魔じゃない。村陰むらかげさんのお宅の現状だって分かってるつもりだ。だからね、すぐにとは言わないよ。そうだね、1ヶ月猶予ゆうよをあげよう。だからその間に、ね?」

 ね?と言われても私、なんて答えたらいいの?
 どう答えるのが正解?


 この春から、念願叶って幼なじみの小町こまちちゃんと一緒に、華の女子大生デビューを果たしたばかり。

 今年度の学費に関しては、お母さんから「一括納入してあるから大丈夫。花々里かがりちゃんは勉強に専念して」と言われた。

 私が幼い頃に父が他界し、母子家庭で母娘ふたり支え合いながら頑張ってきたうちはそんなに裕福ではないから。
 てっきり学費も前期、後期に分割して払うんだと思っていた私は、どこにそんなお金が?って思ったけれど、きっと私の進学のために貯めてくれていたのよね?と自分に言い聞かせた。

 だからとりあえずそこまではいいとして――その先はどうなるんだろう。

 学費が工面できなければ、進級は諦めないといけなくなるよね、きっと。

 そもそも――。

 大学云々の前に……私、住むところを心配しなきゃいけないっ。

 お母さん!
 学費より家賃を残しといて欲しかったです!とか思っちゃうのはワガママですか?

 そう言えばお母さん、学費の話の後、さらに何かを言いたげに私を見つめてきたけれど、あれは……もしかしてお家賃のことを気にしていたのかな?
 でもそれにしては少し表情が違ったような?

 あれはもっとこう、なんていうのかな?

 そう! 一人娘を嫁に出す父親!――母親だけど――みたいな顔?

 まさかね!

 何にしても呑気にみんなと机を並べて勉学に勤しむ、とかどう考えても無理な気がしてきた。

 と言うのも――。


***


 ひと月ちょっと前に唯一の肉親で、我が家の大黒柱だったくだんのお母さんが突然倒れて。

 意識こそすぐに回復したものの、頭の手術が必要でしばらくは絶対安静だと言われてしまったから。

 しかも倒れた際に腕も骨折してしまって――。
 とうぶんは仕事もお休みしないといけなさそう。

 しかも倒れた際に右腕を骨折してしまって――。
 しばらくは仕事もお休みしないといけなさそう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~

けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。 してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。 そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる… ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。 有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。 美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。 真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。 家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。 こんな私でもやり直せるの? 幸せを願っても…いいの? 動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

白衣の下 先生無茶振りはやめて‼️

アーキテクト
恋愛
弟の主治医と女子大生の恋模様

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~

蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。 嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。 だから、仲の良い同期のままでいたい。 そう思っているのに。 今までと違う甘い視線で見つめられて、 “女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。 全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。 「勘違いじゃないから」 告白したい御曹司と 告白されたくない小ボケ女子 ラブバトル開始

アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚

日下奈緒
恋愛
仕事の契約を打ち切られ、年末をあと1か月残して就職活動に入ったつむぎ。ある日街で車に轢かれそうになるところを助けて貰ったのだが、突然週末婚を持ち出され……

処理中です...