【完結】【R18】キス先① あなたに、キスのその先を。

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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■オマケ/限定品に弱いふたり

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 定時に仕事を切り上げた修太郎しゅうたろうは、「修太郎さんのお仕事が終わられる頃に市役所へ参ります」という日織ひおりを押し留めて「僕がご自宅までお迎えにあがりますのでお家で待っていてください」と告げた。

 入籍はとうの昔に済ませている2人だけれど、挙式までは義父との契約やくそくで一緒に住むことが許されていない。だから修太郎の気持ち的には、まだ付き合っているという感覚に近いのだ。

 急に日織を夕飯に連れ出すことになってしまったという思いの大きい修太郎としては、一応ご両親に対峙して日織を連れ出すための断りをちゃんと入れておきたい。

***

 修太郎が藤原家のチャイムを鳴らすと、日織が待ちきれなかったみたいに即座に玄関を開けてくれた。

「修太郎さんっ! お待ちしていたのですっ」

 嬉しそうに満面の笑みを浮かべる日織は、一度風呂を済ませたのだろうか?
 ほのかにボディソープとシャンプーのいい香りをまとっていて。
 服装も小花柄のワンピースにベージュの春物トレンチコートと言った感じに、昼食をともにした時とは変わっていた。

日織ひおりさん、そのワンピースとコートすごくお似合いです」

 何を着ていたって修太郎しゅうたろうの目に日織が可愛く見えないことなんてないのだけれど、変化に気付けば褒めずにはいられない。

 大好きな修太郎に褒められて、ポッと赤くなる娘を見て、日織の両親が満足気に瞳を細めた。


「修太郎くん、済まないね。今日はうちの娘が無理を言ったんじゃないかな?」

 日織の父親である日之進にちのしんが、そんな娘のすぐ後ろから修太郎に声を掛ける。
 母親の織子おりこも、「この子ったらお昼過ぎに帰ってきてから修太郎さんと獺祭だっさいシェイクを飲みに行くんだってずっとソワソワしっぱなしだったんですよ」とクスクス笑って。


 恥ずかしい話、日織しか目に入っていなかった修太郎は、義父母の言葉で彼女の実家までわざわざ迎えに来た真の目的を思い出した。


「いえ、僕も市の職員として話のタネに地酒を扱ったシェイク、飲んでみたいと思っていましたので。実はそれにかこつけて日織さんをお食事にお誘いしたのは僕の方なんです。突然予定外のことをしてしまって申し訳ありません」

 そう言って深々と頭を下げる。
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