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■番外編/『相性がいいみたいなのですっ』

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 僕が覚悟を決めて口を開くと、日織ひおりさんが満足したように僕の唇をパクッとくわえるような、どこか可愛らしいキスを落とした。

 始まりこそ何となく子供っぽくて可愛かったのだけれど――。
 いつもは僕がリードしてやっとオズオズと舌を絡めていらっしゃる日織さんなのに、今日は彼女の方から積極的に舌を伸ばしていらして。

「ふ、ぁ……っ」
 そのくせうっとりした様に、妙に色っぽい声を漏らすのも日織さんの方なんだ。

「しゅぅたろぉさんのお口の中、いつもより熱い、です……」

 僕から唇を離して、濡れ光る唇をペロッと舌先で舐めると、日織さんがうっとりしたようにそうつぶやく。

 いや、口の中が熱いのは日織さんもですよ?

 そう教えて差し上げたいのに、今度は着ていたシャツのボタンに手を掛けられて。

 日織さんの小さくて細い手指が、ひとつずつ丁寧に僕の着衣の前をくつろげていく。

 自分で脱ぐのは平気なのに、どうして日織さんに脱がされるのはこんなに照れ臭いんだろう。


「あ、あのっ、日織っ、自分で……」
 脱げますのでっ!と言おうとしたら「ダァ~メ!」と可愛くたしなめられてしまった。

「お忘れですか? 修太郎しゅうたろうさんは今日、私との飲みくらべ勝負に負けてしまわれたのですよ? だから……今日は宣言通り、私が修太郎さんを良い子良い子してあげるのですっ。修太郎さんは何にもしちゃいけないのですっ」

 ニコッと笑うと、僕の手をぎゅっと握っていらして。

「はい、ばんざーい」

 言われて、手を頭上に持ち上げられてしまった。

「そのまま動いちゃダメなのです。いいですか?」

 僕は文字通り日織ひおりさんにお手上げ状態で、現状をどう打開したら良いのか皆目検討がつかない。


「修太郎さんはすっごく綺麗な肌をしていらっしゃるのです。すべすべです」

 日織さんの手が、くつろげられて剥き出しにされた僕の胸元を這う。
 さわさわと肌を撫でさすりながら、僕の上に屈んでいらして。

「――っ!」

 いきなり乳首に口付けられて、僕はびっくりしてしまう。

 ちょっと、日織さんっ。
 ホント、待って!!

 思うけれど抗議の声なんて上げる間は与えないのです、とばかりに、日織さんの手が脇腹をなぞる。

 くすぐったいのか気持ちいいのか分からない感覚に、ゾクリと皮膚が粟立った。
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