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■番外編/『相性がいいみたいなのですっ』
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僕の奥さんは一緒に暮らす前からどんどんハイスペックになっていっておられるんだけど、放っておいたらますます出来ることが増えていきそうで……嬉しい反面少し寂しくもあって。
日織さんには、いつまでも何も分からない雛鳥のようなお嬢様で居続けていただきたい、だなんて申し上げたら、僕のエゴだと拗ねられてしまうかな。
「ねぇ日織。お願いだから余り一気に色々出来るようになって、僕を置いて行かないで?」
ここが市役所の屋上でなければ、迷わずギュッと抱きしめているのだけれど……それが出来ないからそっと彼女の頭に触れる。
サラサラストレートの色素の薄い彼女の柔らかな髪の手触りが心地いい。
触れたと同時にふんわりと日織さんが纏う甘やかな桃の香りが漂ってきて、胸がキュッと苦しくなった。
触れたくて仕方ないのに、そう出来ないというのは案外堪えるな。
こんなことなら車の中でご飯にすればよかった。
どんなに美しい満開の桜が臨めたって、日織さんの可愛らしさには敵わないのだし。
名残惜しむように彼女の髪に触れる手を降ろせずにいたら、そっとその手を握られた。
「しゅ、たろぉさん……これ以上触れられていたら……お、押し倒したくなっちゃいますっ」
ギュッと僕の手を握る小さな手に力が込められて、僕は瞳を見開いた。
「な、何日間も……その、……修太郎さんと仲……良し……して……ないので……今の私は……しゅーたろぉさんロスで……き、危険人物なのですっ」
そこで僕の手を頭の上から下ろすと、一度だけ手指に力を込めてからパッと離す。
「だから、ふ、不用意に触れちゃダメなのですっ」
ぷぅっと頬を膨らませる日織さんが可愛過ぎて。
本当、場所柄も弁えず、あなたを押し倒したくてたまらない危険人物は僕の方なんですけどね?
一瞬、午後から有給を取って日織さんを家に連れ帰ってしまおうか、なんて本気で考えたとか……僕も大概管理職失格ですね。
***
「それでね、修太郎さん、私、日本酒だったらちっとも酔わない事に気がついたのですっ」
自信作だとおっしゃった、ネギ入りのだし巻き卵を食べ終えて、ニコニコと微笑みながらおっしゃる日織さんに、僕は何とお答えしたらいいのか分からずただ彼女を見つめるしか出来なくて。
日織さんには、いつまでも何も分からない雛鳥のようなお嬢様で居続けていただきたい、だなんて申し上げたら、僕のエゴだと拗ねられてしまうかな。
「ねぇ日織。お願いだから余り一気に色々出来るようになって、僕を置いて行かないで?」
ここが市役所の屋上でなければ、迷わずギュッと抱きしめているのだけれど……それが出来ないからそっと彼女の頭に触れる。
サラサラストレートの色素の薄い彼女の柔らかな髪の手触りが心地いい。
触れたと同時にふんわりと日織さんが纏う甘やかな桃の香りが漂ってきて、胸がキュッと苦しくなった。
触れたくて仕方ないのに、そう出来ないというのは案外堪えるな。
こんなことなら車の中でご飯にすればよかった。
どんなに美しい満開の桜が臨めたって、日織さんの可愛らしさには敵わないのだし。
名残惜しむように彼女の髪に触れる手を降ろせずにいたら、そっとその手を握られた。
「しゅ、たろぉさん……これ以上触れられていたら……お、押し倒したくなっちゃいますっ」
ギュッと僕の手を握る小さな手に力が込められて、僕は瞳を見開いた。
「な、何日間も……その、……修太郎さんと仲……良し……して……ないので……今の私は……しゅーたろぉさんロスで……き、危険人物なのですっ」
そこで僕の手を頭の上から下ろすと、一度だけ手指に力を込めてからパッと離す。
「だから、ふ、不用意に触れちゃダメなのですっ」
ぷぅっと頬を膨らませる日織さんが可愛過ぎて。
本当、場所柄も弁えず、あなたを押し倒したくてたまらない危険人物は僕の方なんですけどね?
一瞬、午後から有給を取って日織さんを家に連れ帰ってしまおうか、なんて本気で考えたとか……僕も大概管理職失格ですね。
***
「それでね、修太郎さん、私、日本酒だったらちっとも酔わない事に気がついたのですっ」
自信作だとおっしゃった、ネギ入りのだし巻き卵を食べ終えて、ニコニコと微笑みながらおっしゃる日織さんに、僕は何とお答えしたらいいのか分からずただ彼女を見つめるしか出来なくて。
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