191 / 233
■タイミングが合わないのですっ!■
ズレているふたり5
しおりを挟む
言ったら、
「あなたに最高の状態で結婚式に望んでいただきたいからに決まっているじゃないですか。妊娠してしまったら……ドレス、好きなの着られなくなるかもしれませんよ? つわりが酷かったら美味しいお料理が出てきても、きっと楽しめませんよ?」
もっともなことを言われて、私、グッと言葉に詰まりました。
「あの……もしかして……お父様が同棲に反対なさってるのって――」
「もちろん、日織さんがそうなってしまうことを防ぐためです。僕があなたに対して人並外れて貪欲なこと、お義父さんにはバレバレなんですよ。――それこそ……下手したら日織さんご自身よりご存知かもしれません」
って――。
私……やっぱり世間知らずのおバカさんでしたっ。
お父様が入籍を済ませた私たちを頑なに一緒に住まわせてくださらなかった理由が、まさかおめでたを回避するためだったなんてっ!
私、思いもよらなかったのですっ。
何ならその思いを踏みにじろうとしていたくらいの、親不孝者の不良娘だったとかっ。
「しゅ……たろぉ、さん」
私は恐る恐る修太郎さんを見つめます。
「はい」
その視線をすぐ間近で受け止めてくださる修太郎さんにホッとしながら、私、言いました。
「赤ちゃんは……今は諦めます……。でも……ギュッてしていただくタイミングに関しては……私……諦めたくないのです」
そこまで言って、私の胸元のボタンに掛かったままの修太郎さんの手にそっと手を重ねます。
そうしてはっきりと言いました。
「だからそれに関しては……今度から2人でちゃんとお互いのしたい気持ちをすり合わせて……タイミングを合わせていきましょう。よろしいですよね?」
途端修太郎さんが大きく瞳を見開かれたのが分かりました。
そうしてややしてから、
「し、したい気持ちって……」
そうつぶやいてお顔を軽く覆っていらしてから、
「僕は時々日織さんの“恥ずかしいの基準”が分からなくなります」
と小さく吐き出していらして。
「今の発言より、一緒にお風呂に入りましょう、の方が恥ずかしくない、とか思ったりなさいませんか?」
って問いかけていらっしゃるのです。
修太郎さんのそのお言葉に、私は「ん?」って小首をかしげたのですけれど……。
どう考えても、恥ずかしいのはお風呂の打診の方……です、よ、ね?
ん? ん? ん?
ズレているのは私?
それとも修太郎さん?
あの……どっちですか――?
END(2020/10/16~10/17)
「あなたに最高の状態で結婚式に望んでいただきたいからに決まっているじゃないですか。妊娠してしまったら……ドレス、好きなの着られなくなるかもしれませんよ? つわりが酷かったら美味しいお料理が出てきても、きっと楽しめませんよ?」
もっともなことを言われて、私、グッと言葉に詰まりました。
「あの……もしかして……お父様が同棲に反対なさってるのって――」
「もちろん、日織さんがそうなってしまうことを防ぐためです。僕があなたに対して人並外れて貪欲なこと、お義父さんにはバレバレなんですよ。――それこそ……下手したら日織さんご自身よりご存知かもしれません」
って――。
私……やっぱり世間知らずのおバカさんでしたっ。
お父様が入籍を済ませた私たちを頑なに一緒に住まわせてくださらなかった理由が、まさかおめでたを回避するためだったなんてっ!
私、思いもよらなかったのですっ。
何ならその思いを踏みにじろうとしていたくらいの、親不孝者の不良娘だったとかっ。
「しゅ……たろぉ、さん」
私は恐る恐る修太郎さんを見つめます。
「はい」
その視線をすぐ間近で受け止めてくださる修太郎さんにホッとしながら、私、言いました。
「赤ちゃんは……今は諦めます……。でも……ギュッてしていただくタイミングに関しては……私……諦めたくないのです」
そこまで言って、私の胸元のボタンに掛かったままの修太郎さんの手にそっと手を重ねます。
そうしてはっきりと言いました。
「だからそれに関しては……今度から2人でちゃんとお互いのしたい気持ちをすり合わせて……タイミングを合わせていきましょう。よろしいですよね?」
途端修太郎さんが大きく瞳を見開かれたのが分かりました。
そうしてややしてから、
「し、したい気持ちって……」
そうつぶやいてお顔を軽く覆っていらしてから、
「僕は時々日織さんの“恥ずかしいの基準”が分からなくなります」
と小さく吐き出していらして。
「今の発言より、一緒にお風呂に入りましょう、の方が恥ずかしくない、とか思ったりなさいませんか?」
って問いかけていらっしゃるのです。
修太郎さんのそのお言葉に、私は「ん?」って小首をかしげたのですけれど……。
どう考えても、恥ずかしいのはお風呂の打診の方……です、よ、ね?
ん? ん? ん?
ズレているのは私?
それとも修太郎さん?
あの……どっちですか――?
END(2020/10/16~10/17)
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。
真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。
地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。
ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。
イラスト提供 千里さま

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?
春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。
しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。
美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……?
2021.08.13

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる