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*あなたに、キスのその先を。〜第二夜〜

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「僕も、日織ひおりさんが……、大好きです」

 修太郎しゅうたろうさんが私の言葉に応えて下さったのが嬉しくて、下手なのは分かっていても、私も修太郎さんを求めたくて堪らなくなります。

 気がつけば、彼の舌を追うように自分のそれをすり合わせていました。
「んっ、……はぁっ」
 私の口の端を、どちらのものとも分からない唾液が伝って、それさえもゾクリとした感覚に変換されて。

 修太郎さんが、口づけながら私のパジャマのすそに手を差し入れていらしたとき、全身にゾクリと鳥肌が立つのを感じました。

 お風呂上がり、すぐにこうなることはわかっていたので、私は敢えてブラ下着を身につけていません。だから、彼の手が上の方に向かって這い上がればすぐ、じかにツンと布地を押し上げた敏感なところを暴かれてしまいます。

 私は、無意識にそれを期待してしまっていました。

 はしたなくも、全身を粟立てて、そこに触れて欲しい、と願ってしまいました。

 でも、修太郎さんは何故か一番敏感なところを避けるように、そのまわりの柔らかなふくらみばかりを揉んだりたどったりなさるばかりで。

 私はもどかしくて堪りません。

 キスを交わしながら、目端に涙がじわりと浮かんできたのは、口中を侵食される心地よさと、一番触って欲しいところを避けられているもどかしさとのせめぎ合いのせいでしょうか。

 私は、修太郎さんの唇が離れた際、
「しゅ、たろぉ、さんっ、お願っ……」
 言って、服の中に伸びる彼の手を、布越しにギュッと掴んで、恐る恐る触れて頂きたい場所に導きます。

「ね、日織、キミが触って欲しいのはどこ? ちゃんと言葉にして?」

 それなのに、修太郎さんはわざと私の手に逆らうと、そこをかすめるようにして避けていらして。

「んっ、やぁっ、そこじゃな……いの、っ」
 そこじゃないのです、と申し上げたいのに、あまりのもどかしさに言葉もしっかりつむげなくて。

「ここじゃないなら、どこ?」

 ギュッと胸のふくらみ全体を掴むように、少し強めに握っていらっしゃる修太郎さんの大きな手に、私は思わず自分で先端に触れようとして――、
「ご自分で触れられるのは無し、ね?」
 寸でのところで、修太郎さんにもう一方の手で制されてしまいました。

 い、意地悪ですっ。

 潤んだで懇願するように修太郎さんを見上げたら、
「お願い、日織。ちゃんと聞かせて? 僕に、どうして欲しい?」

 いつも敬語で話していらっしゃる修太郎さんが、ほんの少し砕けた口調になっておられるのも、いつもと違うから落ち着かなくてソワソワします。

 佳穂かほさんとお話になられる時ほど強い口調ではありませんが、明らかにいつも私に話しかけていらっしゃる修太郎さんの口調ではありません。
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