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お互い様
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申し訳なくて泣き続ける私を、修太郎さんが優しく抱き寄せて、ベッド下に落ちてしまっていた肌布団で包んでくださいました。
「泣かないで?」
そうおっしゃって、ギュッと抱きしめて頭を撫でてくださいますが、優しくされればされるほど辛くなってしまうと申し上げたら、贅沢でしょうか。
「ご、ごめっなさ……」
しゃくりあげながら口から出るのは謝罪の言葉しかなくて。
私と修太郎さんは夫婦なのに。
痛くてエッチが出来ないとか……皆さんには普通にできていらっしゃるはずのことが、我慢できないとか……離縁されてしまうかもしれません。
私はすごくすごく怖くなりました。
「おねがっ、捨てな、ぃで……っ」
妻としてのお務めを果たせなかった身で、そんなこと言えた義理じゃないのは十分すぎるぐらい分かっています……。でも、私は修太郎さんを失いたくないです。
痛がっているのを隠し切れなかった自分が、修太郎さんに気を遣わせてしまった自分が、情けなくて悔やまれて仕方ありません。
「日織、さん?」
修太郎さんが私の顔を覗きこんでいらっしゃいます。私は布団が肩から滑り落ちるのも気にせず、修太郎さんにしがみ付きました。
「痛く、ても……我慢しまっ……。だから……」
もう一度チャンスをください、と修太郎さんのお顔を見つめ返しました。じっと彼の目を見て「……私、頑張り、ま……、のでっ……!」と申し上げたら、修太郎さんが縋り付く私を強引に引き剥がしていらっしゃいました。
すごく、怖いお顔をなさっています。
「どうしてそんな……。ご自分を蔑ろにするようなことを平気でおっしゃるんですか? 僕がいつ、痛がる貴女を無理矢理犯したいと言いましたか?」
修太郎さんの問いかけは、静かな声音でしたが、とてもとても怖いお声でした。
わざわざ「抱きたい」ではなく「犯したい」と言われたのも、私の姿勢に対して、そう言うつもりなら僕も……と、意図的にそちらの言葉を選んでいらした気がします。
私は修太郎さんの怒りを肌でひしひしと感じて、どうお答えしたらいいか、必死で考えます。
いつもの自分なら……多分どうしたらいいか分からないとうつむいてしまっていたと思います。
でも……それではいけない、と思いました。
修太郎さんが真剣に気持ちをぶつけてくださっているのに逃げるのは卑怯です。
「あ、あの……しゅ、修太郎さんは……このままでも、いいと……お思いですか?」
私は一生懸命考えた挙句、そうお尋ねしました。
「このままでも?」
修太郎さんが私の言葉を復唱していらしたので、緊張の余り、ごくっと喉が鳴りました。
「こ、このまま……その……で、出来なくても……、という、意味……です」
はっきりとエッチできないのが、と申し上げるのが恥ずかしくて、少し言葉をにごしましたが、多分分かってくださると思います。
私に合わせていたら……その可能性もある気がするのです。
私の言葉に、修太郎さんが息を飲まれたのが分かりました。
やはり……もしこのまま出来ないままだったら……いずれは見切りをつけられてしまうのかもしれません。
そう思って下唇を噛み締めました。
「……それは、困りますね」
ややして修太郎さんがポツン、とそうおっしゃって、私は「やはり」と思いました。
「泣かないで?」
そうおっしゃって、ギュッと抱きしめて頭を撫でてくださいますが、優しくされればされるほど辛くなってしまうと申し上げたら、贅沢でしょうか。
「ご、ごめっなさ……」
しゃくりあげながら口から出るのは謝罪の言葉しかなくて。
私と修太郎さんは夫婦なのに。
痛くてエッチが出来ないとか……皆さんには普通にできていらっしゃるはずのことが、我慢できないとか……離縁されてしまうかもしれません。
私はすごくすごく怖くなりました。
「おねがっ、捨てな、ぃで……っ」
妻としてのお務めを果たせなかった身で、そんなこと言えた義理じゃないのは十分すぎるぐらい分かっています……。でも、私は修太郎さんを失いたくないです。
痛がっているのを隠し切れなかった自分が、修太郎さんに気を遣わせてしまった自分が、情けなくて悔やまれて仕方ありません。
「日織、さん?」
修太郎さんが私の顔を覗きこんでいらっしゃいます。私は布団が肩から滑り落ちるのも気にせず、修太郎さんにしがみ付きました。
「痛く、ても……我慢しまっ……。だから……」
もう一度チャンスをください、と修太郎さんのお顔を見つめ返しました。じっと彼の目を見て「……私、頑張り、ま……、のでっ……!」と申し上げたら、修太郎さんが縋り付く私を強引に引き剥がしていらっしゃいました。
すごく、怖いお顔をなさっています。
「どうしてそんな……。ご自分を蔑ろにするようなことを平気でおっしゃるんですか? 僕がいつ、痛がる貴女を無理矢理犯したいと言いましたか?」
修太郎さんの問いかけは、静かな声音でしたが、とてもとても怖いお声でした。
わざわざ「抱きたい」ではなく「犯したい」と言われたのも、私の姿勢に対して、そう言うつもりなら僕も……と、意図的にそちらの言葉を選んでいらした気がします。
私は修太郎さんの怒りを肌でひしひしと感じて、どうお答えしたらいいか、必死で考えます。
いつもの自分なら……多分どうしたらいいか分からないとうつむいてしまっていたと思います。
でも……それではいけない、と思いました。
修太郎さんが真剣に気持ちをぶつけてくださっているのに逃げるのは卑怯です。
「あ、あの……しゅ、修太郎さんは……このままでも、いいと……お思いですか?」
私は一生懸命考えた挙句、そうお尋ねしました。
「このままでも?」
修太郎さんが私の言葉を復唱していらしたので、緊張の余り、ごくっと喉が鳴りました。
「こ、このまま……その……で、出来なくても……、という、意味……です」
はっきりとエッチできないのが、と申し上げるのが恥ずかしくて、少し言葉をにごしましたが、多分分かってくださると思います。
私に合わせていたら……その可能性もある気がするのです。
私の言葉に、修太郎さんが息を飲まれたのが分かりました。
やはり……もしこのまま出来ないままだったら……いずれは見切りをつけられてしまうのかもしれません。
そう思って下唇を噛み締めました。
「……それは、困りますね」
ややして修太郎さんがポツン、とそうおっしゃって、私は「やはり」と思いました。
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