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*あなたに、キスのその先を。
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「緊張……していらっしゃいますよね」
修太郎さんが、寝そべる私の顔の両横に腕をついていらした瞬間、思わず身体をビクッと跳ねさせてしまって、それに気がついた修太郎さんにそっと髪の毛を撫でられました。
「ごめっ、なさい……」
何度も申し上げますが、覚悟はしているのです。
でも、これから何をされるのか、どういう風に物事が進んでいくのか、そういうことが何となくしか分からないことが、どうしようもなく怖いのです……。
左手で両胸を隠すように覆ったまま、震える右手を伸ばして、そっと修太郎さんの頬に触れたら、修太郎さんが息を飲まれる気配がしました。
「い、いまから何を、とか……そういうのが……よく分からなくて……。分からないから……正直怖い、です。……緊張も……して、ます。でも、でも……決して……その、イヤ……なわけじゃ、ないのです……。」
それだけはお伝えしておかなければ、と思いました。
「なので修太郎さん。どうか私に……その、変に……遠、慮とか……なさらず……。あのお約束の通り……キスの先のこと……教、えて……ください」
修太郎さんから視線をそらさずに、ちゃんと言えました。
「……そ、それで、出来れば……手順とか……私が……すべきこと?とか……そういうのも一緒に、あの……お、教えていただけたら……私……頑張り……ます、ので……。お願い……しま――」
ゴニョゴニョと、語尾の辺りが消え入りそうな声音になってしまいながら。
それでも……お伝えしたいことは言えた……と思います……。
祈るような気持ちで修太郎さんのお顔を見上げましたが、逆光になっていて、私からは彼の表情に現れる感情の機微がイマイチ見えなくて。
そのことが不安で不安でたまりません。
修太郎さんは、彼の頬に触れる私の手をギュッと握っていらっしゃると、そのまま指先にチュッとキスをなさいました。
「――分かりました」
静かな声音で一言そうおっしゃると、握った手をベッドに縫い止めながら、私の上にまたがるように四つん這いになっていらっしゃいました。
そうして、ゆっくり顔を近づけていらして……。
「日織……」
切なく掠れた甘い声で私の名前を呼んでいらした修太郎さんに、唇を塞がれました。
軽くついばむようなキスが、少しずつ角度を深く変えていって……。
「は、ぁ……っ」
探るように修太郎さんの舌が口中に伸ばされた時、私は小さく口を開けて彼を受け入れました。おずおずと修太郎さんの舌の動きに合わせるように自分のそれを伸ばすと、すぐに修太郎さんに捉《とら》えられました。
二人の舌が擦り合わされるヌルリとした感触に、身体の芯が疼くような熱を感じてしまって。
「しゅ、うたろぉ、さ……」
私はキスの合間に、ぼんやりと彼の名前を呼びます。
と、それに応えるように修太郎さんの手が胸元に伸びてきて、胸を覆い隠すように載せたままだった私の左手をそっとそこから引き剥がしました。
「布越しに触られるのと、じかに触れられるのと、どっちがいいですか?」
意地悪く耳元でそんなことを仰りながら、ふくらみ全体をTシャツごと掌で押し上げるように揉んでいらして。
別に頂に触れられたわけではないのに、胸の揺れに合わせて布地と擦れるそこから、痛いくらいの刺激が突き抜けます。
「やっ、あっん。修太、郎さっ、……」
眉根を寄せてイヤイヤしながら、どちらも選べないと訴えてみても、修太郎さんは聞き届けてはくださいません。
「ね、日織、どっち?」
再度問いかけられた私は、ギュッと目をつぶって、「直接……がい、です……っ」と目尻に涙を滲ませておねだりしてしまいました。
もう、これ以上、布に敏感なところを擦られるのは耐えられない、という一心での言葉でした。
でも――。
修太郎さんが、寝そべる私の顔の両横に腕をついていらした瞬間、思わず身体をビクッと跳ねさせてしまって、それに気がついた修太郎さんにそっと髪の毛を撫でられました。
「ごめっ、なさい……」
何度も申し上げますが、覚悟はしているのです。
でも、これから何をされるのか、どういう風に物事が進んでいくのか、そういうことが何となくしか分からないことが、どうしようもなく怖いのです……。
左手で両胸を隠すように覆ったまま、震える右手を伸ばして、そっと修太郎さんの頬に触れたら、修太郎さんが息を飲まれる気配がしました。
「い、いまから何を、とか……そういうのが……よく分からなくて……。分からないから……正直怖い、です。……緊張も……して、ます。でも、でも……決して……その、イヤ……なわけじゃ、ないのです……。」
それだけはお伝えしておかなければ、と思いました。
「なので修太郎さん。どうか私に……その、変に……遠、慮とか……なさらず……。あのお約束の通り……キスの先のこと……教、えて……ください」
修太郎さんから視線をそらさずに、ちゃんと言えました。
「……そ、それで、出来れば……手順とか……私が……すべきこと?とか……そういうのも一緒に、あの……お、教えていただけたら……私……頑張り……ます、ので……。お願い……しま――」
ゴニョゴニョと、語尾の辺りが消え入りそうな声音になってしまいながら。
それでも……お伝えしたいことは言えた……と思います……。
祈るような気持ちで修太郎さんのお顔を見上げましたが、逆光になっていて、私からは彼の表情に現れる感情の機微がイマイチ見えなくて。
そのことが不安で不安でたまりません。
修太郎さんは、彼の頬に触れる私の手をギュッと握っていらっしゃると、そのまま指先にチュッとキスをなさいました。
「――分かりました」
静かな声音で一言そうおっしゃると、握った手をベッドに縫い止めながら、私の上にまたがるように四つん這いになっていらっしゃいました。
そうして、ゆっくり顔を近づけていらして……。
「日織……」
切なく掠れた甘い声で私の名前を呼んでいらした修太郎さんに、唇を塞がれました。
軽くついばむようなキスが、少しずつ角度を深く変えていって……。
「は、ぁ……っ」
探るように修太郎さんの舌が口中に伸ばされた時、私は小さく口を開けて彼を受け入れました。おずおずと修太郎さんの舌の動きに合わせるように自分のそれを伸ばすと、すぐに修太郎さんに捉《とら》えられました。
二人の舌が擦り合わされるヌルリとした感触に、身体の芯が疼くような熱を感じてしまって。
「しゅ、うたろぉ、さ……」
私はキスの合間に、ぼんやりと彼の名前を呼びます。
と、それに応えるように修太郎さんの手が胸元に伸びてきて、胸を覆い隠すように載せたままだった私の左手をそっとそこから引き剥がしました。
「布越しに触られるのと、じかに触れられるのと、どっちがいいですか?」
意地悪く耳元でそんなことを仰りながら、ふくらみ全体をTシャツごと掌で押し上げるように揉んでいらして。
別に頂に触れられたわけではないのに、胸の揺れに合わせて布地と擦れるそこから、痛いくらいの刺激が突き抜けます。
「やっ、あっん。修太、郎さっ、……」
眉根を寄せてイヤイヤしながら、どちらも選べないと訴えてみても、修太郎さんは聞き届けてはくださいません。
「ね、日織、どっち?」
再度問いかけられた私は、ギュッと目をつぶって、「直接……がい、です……っ」と目尻に涙を滲ませておねだりしてしまいました。
もう、これ以上、布に敏感なところを擦られるのは耐えられない、という一心での言葉でした。
でも――。
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