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見くびっていてすみません?

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 屋上庭園に出ようと扉を開けると、途端、ものすごい風に見舞われた。

 突風にスカートをめくられて、思わず手で布地を押さえたら、扉の方を持つ手が手薄になってしまった。

「ひゃっ!」

 危うく強風にあおられたドアに挟まれそうになった私を、後ろから来た健二けんじさんが助けてくださる。

あっぶねー」
 間一髪で助けられた私は、未だ恐怖でドキドキしたまま、縮こまって健二さんを見上げた。

日織ひおりさんに怪我なんてさせたら俺、兄さんに殺されかねないんですけど」

 言いながら、パンツより身体守ってくれないと!と叱られてしまう。

(うー。どちらも守りたいのですが……)

 思ったけれど、片方が手薄になってしまったから叱られてしまったわけで。
 私はしゅんとして「すみません」と謝罪する。

「で、用件は母のことですか?」
 私が言うより先に、健二さんが溜め息交じりにそうおっしゃった。

「あ、は、はいっ」
 どうして分かったんだろう?とキョトンとしたら、「あれだけ兄さんが連日家に来てれば馬鹿でも察しがつきますって」と健二さん。


 確かに、と思いつつ、「健二さんからもお母様に何かお口添えをしていただくことはできないのでしょうか?」と尋ねる。

「このままでは修太郎しゅうたろうさんが倒れてしまいそうで怖いんです。なのに私は宮美みやびさんの出席は諦めようとおっしゃる修太郎さんに、同意して差し上げることができないのです」

 健二さんを真っすぐに見据えてそう言うと、「何故?」と問われて。

「私と健二さんは、まだ両家の認識では許婚いいなずけだからです」

 そう申し上げたら、「ああ……」と嘆息された。

「俺たちの間では話がついた感じになってたんで失念しかけてました。今回は親に兄さんとの交際を告白するんでしたっけ?」 

「はい」

「なんでその場に俺と佳穂かほが?とか馬鹿なことを思ってましたけど、行くの、当然ですね」

 言われて、私は風になびくスカートを押さえながら頷いた。

「ですので……健二さんからもお母様へお口添えいただきたいのです。恐らく宮美みやびさんの中で、今回のお話、健二さんと結びついていないんじゃないかと……そんな風に思ってしまって」

 修太郎さんと一緒に宮美さんのもとへお願いに上がったわけではないのではっきりとは言えないけれど……修太郎さんの口振りと、宮美さんからの反応をお聞きして、私はそんな風に思っていた。

 ほぅ、とひとつ溜め息をついたところで健二さんに呼びかけられた。
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