48 / 233
連絡先と連絡手段
8
しおりを挟む
それは修太郎さんがdoconoの袋を持ってくださって、私の片手が空いたのはこのためだったのかな?と思ってしまうくらい自然な流れで。
そのまま歩き出す修太郎さんに手を引かれて歩きながら、ごく自然に繋がれた手を見つめて、私は何故か抱きしめられたときよりもドキドキしてしまった。
少しゴツゴツとして固い、男らしさを感じさせる大きな手。私の手を握る修太郎さんの手の甲に太い血管が浮いて見えるのが、女性である自分の手とは違うんだ、と感じさせられた。それに気づいた途端、彼のなかの男に魅了されてしまう。
私の小さな手なんて、彼の大きな手で包まれたら、すっぽりと隠れて見えなくなってしまう。私の手はなんて頼りなくて……逆に修太郎さんの手は、何て頼もしいんだろう。
意識すればするほど気持ちが高揚して、緊張で指先が冷えてくる。
(手汗とかかいてしまったら申し訳ないのですっ)
汗自体、滅多にかかないくせに、何故かそんなことが気になって、握り返すことを躊躇ってしまう。でも、それを補うように修太郎さんが私の手を握る力をほんの少し強めていらして。
「日織さん、もしかして照れておられますか?」
まるで私の心のうちなんてお見通しみたいに修太郎さんがそうおっしゃるから、小さな声で「はい……」と応えると、「――実は……僕も緊張しています」と返していらして。
聞き間違いかと思って、少し手前を歩かれる修太郎さんのほうを思わず見つめたら、ちょうど通りかかった車のライトで、ほんの一瞬彼の横顔が照らされた。
「え?」
見間違いでないとしたら……修太郎さん、お顔が赤くなっていらっしゃるかも?
緊張しているのも、一緒にいて照れ臭いようなくすぐったいような気持ちがするのも、私一人の感情ではないと知ることができて、とても幸せな気持ちになる。
「修太郎さん」
修太郎さんの名前を呼んで、彼の手をちょん、と軽く引いてから、振り返られた修太郎さんに向かって小さな声で「大好きです……」とつぶやく。
言ってから、うつむいたまま彼の隣に並ぶと、私は思い切って、ほんの少しだけ修太郎さんのほうへ身体を寄せてみた――。
そのまま歩き出す修太郎さんに手を引かれて歩きながら、ごく自然に繋がれた手を見つめて、私は何故か抱きしめられたときよりもドキドキしてしまった。
少しゴツゴツとして固い、男らしさを感じさせる大きな手。私の手を握る修太郎さんの手の甲に太い血管が浮いて見えるのが、女性である自分の手とは違うんだ、と感じさせられた。それに気づいた途端、彼のなかの男に魅了されてしまう。
私の小さな手なんて、彼の大きな手で包まれたら、すっぽりと隠れて見えなくなってしまう。私の手はなんて頼りなくて……逆に修太郎さんの手は、何て頼もしいんだろう。
意識すればするほど気持ちが高揚して、緊張で指先が冷えてくる。
(手汗とかかいてしまったら申し訳ないのですっ)
汗自体、滅多にかかないくせに、何故かそんなことが気になって、握り返すことを躊躇ってしまう。でも、それを補うように修太郎さんが私の手を握る力をほんの少し強めていらして。
「日織さん、もしかして照れておられますか?」
まるで私の心のうちなんてお見通しみたいに修太郎さんがそうおっしゃるから、小さな声で「はい……」と応えると、「――実は……僕も緊張しています」と返していらして。
聞き間違いかと思って、少し手前を歩かれる修太郎さんのほうを思わず見つめたら、ちょうど通りかかった車のライトで、ほんの一瞬彼の横顔が照らされた。
「え?」
見間違いでないとしたら……修太郎さん、お顔が赤くなっていらっしゃるかも?
緊張しているのも、一緒にいて照れ臭いようなくすぐったいような気持ちがするのも、私一人の感情ではないと知ることができて、とても幸せな気持ちになる。
「修太郎さん」
修太郎さんの名前を呼んで、彼の手をちょん、と軽く引いてから、振り返られた修太郎さんに向かって小さな声で「大好きです……」とつぶやく。
言ってから、うつむいたまま彼の隣に並ぶと、私は思い切って、ほんの少しだけ修太郎さんのほうへ身体を寄せてみた――。
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
私を溺愛してくれたのは同期の御曹司でした
日下奈緒
恋愛
課長としてキャリアを積む恭香。
若い恋人とラブラブだったが、その恋人に捨てられた。
40歳までには結婚したい!
婚活を決意した恭香を口説き始めたのは、同期で仲のいい柊真だった。
今更あいつに口説かれても……
【完結】誰にも知られては、いけない私の好きな人。
真守 輪
恋愛
年下の恋人を持つ図書館司書のわたし。
地味でメンヘラなわたしに対して、高校生の恋人は顔も頭もイイが、嫉妬深くて性格と愛情表現が歪みまくっている。
ドSな彼に振り回されるわたしの日常。でも、そんな関係も長くは続かない。わたしたちの関係が、彼の学校に知られた時、わたしは断罪されるから……。
イラスト提供 千里さま
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
二人の甘い夜は終わらない
藤谷藍
恋愛
*この作品の書籍化がアルファポリス社で現在進んでおります。正式に決定しますと6月13日にこの作品をウェブから引き下げとなりますので、よろしくご了承下さい*
年齢=恋人いない歴28年。多忙な花乃は、昔キッパリ振られているのに、初恋の彼がずっと忘れられない。いまだに彼を想い続けているそんな誕生日の夜、彼に面影がそっくりな男性と出会い、夢心地のまま酔った勢いで幸せな一夜を共に––––、なのに、初めての朝チュンでパニックになり、逃げ出してしまった。甘酸っぱい思い出のファーストラブ。幻の夢のようなセカンドラブ。優しい彼には逢うたびに心を持っていかれる。今も昔も、過剰なほど甘やかされるけど、この歳になって相変わらずな子供扱いも! そして極甘で強引な彼のペースに、花乃はみるみる絡め取られて……⁈ ちょっぴり個性派、花乃の初恋胸キュンラブです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる