270 / 324
■私を、食べて?■2021.バレンタイン書き下ろし
続きはベッドで
しおりを挟む
***
睨んだ通り、仕事をして帰ってくる僕のために、ちゃんと湯張りを済ませてくれていた葵咲ちゃんに感謝しつつ……僕は彼女の服を一枚一枚丁寧に剥ぎ取っていく。
「り、ひとも……スーツ、チョコついちゃってる」
自分だけ脱がされるのは恥ずかしいんだろう。
葵咲ちゃんが、僕の大好きなアーモンドアイを伏せ目がちにしてポツンとつぶやいた。
「あ、本当だ。悪いけど葵咲、脱がせてくれる?」
小さく笑みを含ませた声で優しく強請れば、葵咲ちゃんが小さくコクンと首肯して。
小さな手で、ジャケットとを脱がせて、ズボンのベルトを外してくれた。
そうしてフロントホックに手をかけたところで、
「っ‼︎」
僕のたかぶりに気がついて、慌てて手を引っ込めるんだ。
「あ、あとは……自分でっ」
とか、目を逸らしながら真っ赤になるの、可愛いなぁ、本当。
キミのそう言う恥ずかしがり屋なところが、僕はたまらなく大好きなんだ。
下着姿の葵咲ちゃんを抱き寄せて、舌を擦り合わせるような口付けを落としながら、僕は自分の服を少しずつ脱ぎ落としていく。
ゴムはこう言うことを想定して、洗面台にいくつか置いてあったはずだ。
いつもと違ってまだ夕方だし、時間はたっぷりあるよね。
隠してあるのだけで足りるかな?
うっとりと僕にしがみついてくる葵咲ちゃんを抱きしめながら、僕はそんなことを考えた。
***
「あの、そういえば理人……」
湯船の中。
ふと何かを思い出したように僕を見上げてくるアーモンドアイの瞳が可愛くて。
既に数回彼女の――というよりゴムの中で果てた僕だったけれど、そんな風に上目遣いで見上げられるとまたしたくなる。
「……今日は誰かからチョコ」
そんな僕の欲望なんて知らぬげに、葵咲ちゃんがそう言って、ソワソワと僕を見つめてくる。
僕は葵咲ちゃんの言葉にドキッとさせられて、あのチョコのことを言うべきか否か逡巡した。
「バイトの子達から、みんなで食べる用の大きなのをひとつだけ」
実のところ、同僚や学生からいくつか差し出されたけれど、受け取ったのは結局それだけだ。
言葉を選びながらそう答えたら、「何か悔しいな」って。どう言うこと?
「理人がモテないわけないの、私知ってる」
ポツンとそうつぶやいて、まるでその先を言うのが恥ずかしいみたいに、葵咲ちゃんがお湯に口元を半分沈み込ませてと、ブクブクと泡を吐き出す。
「たくさん貰ってこない理人に、何で?って思うのと同じぐらい……よかったって思ってる」
ややして観念したようにそうこぼした葵咲ちゃんが愛しすぎて。
「僕が受け取りたいって思えるチョコは……キミからのものだけだよ?」
言ったら、「でも……失敗しちゃったから」って声を震わせる。
「失敗? 僕的には美味しくいただけて万々歳だったんだけどな?」
葵咲ちゃんのアゴを掴んで仰向かせると、ポロリと涙がこぼれ落ちて胸がギュッと締め付けられる。
僕は葵咲ちゃんに「大丈夫だよ」って気持ちを込めながら、やんわりと口付けを落とした。
そうしてこぼれ落ちた涙を舌先で舐めとって。
途端、先程までの全身を舐め回すようなあれこれを思い出したらしい葵咲ちゃんが、
「バカ……」
とつぶやいて、くるりと向きを変えると僕にしがみついてくるんだ。
「さすがにこのままだとのぼせちゃいそうだし、続きはベッドでしようか?」
ダメ元でそう言ったら、こくん、と小さくうなずいてくれるとか……マジか!
いつもなら「まだ、するの?」なところなんだけどな。
「失敗しちゃったチョコの代わりに私を……」
――食べて?
そんな言葉が聞こえたような気がしたのは、きっと気のせいじゃないはずだ。
END(2021/02/13)
睨んだ通り、仕事をして帰ってくる僕のために、ちゃんと湯張りを済ませてくれていた葵咲ちゃんに感謝しつつ……僕は彼女の服を一枚一枚丁寧に剥ぎ取っていく。
「り、ひとも……スーツ、チョコついちゃってる」
自分だけ脱がされるのは恥ずかしいんだろう。
葵咲ちゃんが、僕の大好きなアーモンドアイを伏せ目がちにしてポツンとつぶやいた。
「あ、本当だ。悪いけど葵咲、脱がせてくれる?」
小さく笑みを含ませた声で優しく強請れば、葵咲ちゃんが小さくコクンと首肯して。
小さな手で、ジャケットとを脱がせて、ズボンのベルトを外してくれた。
そうしてフロントホックに手をかけたところで、
「っ‼︎」
僕のたかぶりに気がついて、慌てて手を引っ込めるんだ。
「あ、あとは……自分でっ」
とか、目を逸らしながら真っ赤になるの、可愛いなぁ、本当。
キミのそう言う恥ずかしがり屋なところが、僕はたまらなく大好きなんだ。
下着姿の葵咲ちゃんを抱き寄せて、舌を擦り合わせるような口付けを落としながら、僕は自分の服を少しずつ脱ぎ落としていく。
ゴムはこう言うことを想定して、洗面台にいくつか置いてあったはずだ。
いつもと違ってまだ夕方だし、時間はたっぷりあるよね。
隠してあるのだけで足りるかな?
うっとりと僕にしがみついてくる葵咲ちゃんを抱きしめながら、僕はそんなことを考えた。
***
「あの、そういえば理人……」
湯船の中。
ふと何かを思い出したように僕を見上げてくるアーモンドアイの瞳が可愛くて。
既に数回彼女の――というよりゴムの中で果てた僕だったけれど、そんな風に上目遣いで見上げられるとまたしたくなる。
「……今日は誰かからチョコ」
そんな僕の欲望なんて知らぬげに、葵咲ちゃんがそう言って、ソワソワと僕を見つめてくる。
僕は葵咲ちゃんの言葉にドキッとさせられて、あのチョコのことを言うべきか否か逡巡した。
「バイトの子達から、みんなで食べる用の大きなのをひとつだけ」
実のところ、同僚や学生からいくつか差し出されたけれど、受け取ったのは結局それだけだ。
言葉を選びながらそう答えたら、「何か悔しいな」って。どう言うこと?
「理人がモテないわけないの、私知ってる」
ポツンとそうつぶやいて、まるでその先を言うのが恥ずかしいみたいに、葵咲ちゃんがお湯に口元を半分沈み込ませてと、ブクブクと泡を吐き出す。
「たくさん貰ってこない理人に、何で?って思うのと同じぐらい……よかったって思ってる」
ややして観念したようにそうこぼした葵咲ちゃんが愛しすぎて。
「僕が受け取りたいって思えるチョコは……キミからのものだけだよ?」
言ったら、「でも……失敗しちゃったから」って声を震わせる。
「失敗? 僕的には美味しくいただけて万々歳だったんだけどな?」
葵咲ちゃんのアゴを掴んで仰向かせると、ポロリと涙がこぼれ落ちて胸がギュッと締め付けられる。
僕は葵咲ちゃんに「大丈夫だよ」って気持ちを込めながら、やんわりと口付けを落とした。
そうしてこぼれ落ちた涙を舌先で舐めとって。
途端、先程までの全身を舐め回すようなあれこれを思い出したらしい葵咲ちゃんが、
「バカ……」
とつぶやいて、くるりと向きを変えると僕にしがみついてくるんだ。
「さすがにこのままだとのぼせちゃいそうだし、続きはベッドでしようか?」
ダメ元でそう言ったら、こくん、と小さくうなずいてくれるとか……マジか!
いつもなら「まだ、するの?」なところなんだけどな。
「失敗しちゃったチョコの代わりに私を……」
――食べて?
そんな言葉が聞こえたような気がしたのは、きっと気のせいじゃないはずだ。
END(2021/02/13)
0
お気に入りに追加
214
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる