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■私を、食べて?■2021.バレンタイン書き下ろし
チョコまみれ
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日曜だけど、どうしても処理しておかねばならないことがあって、休日出勤をしていた今日。
手伝いを頼んでいた学生数名から
「館長、これ、バレンタインです」
そう言ってそこそこ大きな包みを渡されて、僕は少し戸惑った。
義理チョコなのは分かっている。
けど、他の女の子たちからのプレゼントを持ち帰ったら、葵咲ちゃんはどう思うだろうか。
「あ、あのっ、館長が彼女一筋なのは分かってます! これはバイトみんなからのものなので、深く考えずに受け取ってください!」
そう言われては、固辞するのも躊躇われて。
僕は少し考えてから
「じゃあこうしよう。休憩室に置いておくから、みんなで食べよっか」
そう言うことにした。
***
「理人ぉ、ごめんなさい」
家に帰ると、甘ったるい匂いに包まれて、僕はおや?と思う。
「ば、バレンタインデーのチョコ、理人が留守の間に作っちゃおうと思ったら……」
愛猫が飛びついてきて、溶かしたチョコをボールごとひっくり返してしまったらしい。
今まさにひっくり返したばかりなのか、あちこちにチョコレートをくっつけた葵咲ちゃんを見て、僕は思わず口の端が緩む。
「葵咲、チョコレートまみれだね」
言って、吸い寄せられるように甘い頬に舌を這わせた。
「んっ、……理人、くすぐったい」
頬、指先、首筋……。
あちこちに飛び散ったチョコレートを、丁寧に丁寧に舐めとっていけば、段々葵咲ちゃんの声が熱を帯びてきて。
「あ、ダメっ、ん……っ、」
こんな声の時、葵咲ちゃんの「ダメ」は「良い」の裏返し。
そう判断した僕は、彼女のエプロンについたチョコレートを指先に絡めて、葵咲ちゃんの薄く開いた唇に割り入れるようにして塗りこめる。
そうしてそれを舐めとるみたいに深い口付けを落とした。
「やん、理人っ、ここ、……玄関っ」
ギュッと僕にしがみつく葵咲ちゃんの耳元に
「そうだね。けど、あちこちベタベタだし……お風呂行こうか?」
そう囁けば、「理人のえっち……」とか。
ねぇ、葵咲ちゃん。それは褒め言葉?
「葵咲ちゃんを前にして抱きたくならないとか有り得ないだろ?」
当然、とばかりにそう言って、葵咲ちゃんを抱き上げてリビングを突っ切れば、キッチンはまだ少しチョコを残していて。
けど概ね綺麗なところを見ると、ほぼほぼ彼女が被ってしまったんだろう。
セレは別にチョコに興味はないみたいで、僕と葵咲ちゃんを見つけるなり「にゃにゃーん」と走り寄ってきた。
僕はそんなセレに、葵咲ちゃんには見えないように「グッジョブ!」とウィンクをした。
セレは「?」と言った顔で僕の仕草にキョトンと小首を傾げたけれど、「あとでね」と言葉を残してお風呂へ直行する。
手伝いを頼んでいた学生数名から
「館長、これ、バレンタインです」
そう言ってそこそこ大きな包みを渡されて、僕は少し戸惑った。
義理チョコなのは分かっている。
けど、他の女の子たちからのプレゼントを持ち帰ったら、葵咲ちゃんはどう思うだろうか。
「あ、あのっ、館長が彼女一筋なのは分かってます! これはバイトみんなからのものなので、深く考えずに受け取ってください!」
そう言われては、固辞するのも躊躇われて。
僕は少し考えてから
「じゃあこうしよう。休憩室に置いておくから、みんなで食べよっか」
そう言うことにした。
***
「理人ぉ、ごめんなさい」
家に帰ると、甘ったるい匂いに包まれて、僕はおや?と思う。
「ば、バレンタインデーのチョコ、理人が留守の間に作っちゃおうと思ったら……」
愛猫が飛びついてきて、溶かしたチョコをボールごとひっくり返してしまったらしい。
今まさにひっくり返したばかりなのか、あちこちにチョコレートをくっつけた葵咲ちゃんを見て、僕は思わず口の端が緩む。
「葵咲、チョコレートまみれだね」
言って、吸い寄せられるように甘い頬に舌を這わせた。
「んっ、……理人、くすぐったい」
頬、指先、首筋……。
あちこちに飛び散ったチョコレートを、丁寧に丁寧に舐めとっていけば、段々葵咲ちゃんの声が熱を帯びてきて。
「あ、ダメっ、ん……っ、」
こんな声の時、葵咲ちゃんの「ダメ」は「良い」の裏返し。
そう判断した僕は、彼女のエプロンについたチョコレートを指先に絡めて、葵咲ちゃんの薄く開いた唇に割り入れるようにして塗りこめる。
そうしてそれを舐めとるみたいに深い口付けを落とした。
「やん、理人っ、ここ、……玄関っ」
ギュッと僕にしがみつく葵咲ちゃんの耳元に
「そうだね。けど、あちこちベタベタだし……お風呂行こうか?」
そう囁けば、「理人のえっち……」とか。
ねぇ、葵咲ちゃん。それは褒め言葉?
「葵咲ちゃんを前にして抱きたくならないとか有り得ないだろ?」
当然、とばかりにそう言って、葵咲ちゃんを抱き上げてリビングを突っ切れば、キッチンはまだ少しチョコを残していて。
けど概ね綺麗なところを見ると、ほぼほぼ彼女が被ってしまったんだろう。
セレは別にチョコに興味はないみたいで、僕と葵咲ちゃんを見つけるなり「にゃにゃーん」と走り寄ってきた。
僕はそんなセレに、葵咲ちゃんには見えないように「グッジョブ!」とウィンクをした。
セレは「?」と言った顔で僕の仕草にキョトンと小首を傾げたけれど、「あとでね」と言葉を残してお風呂へ直行する。
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