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■痛いと素直に言えなくて■オマケ的短編⑥
その言動は、誰のため? 1
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私の身体に布団を引き寄せてくれながら問いかけられた理人からの言葉に、コクンと小さくうなずくと、彼がほっとしたみたいに私の肩口に顔を埋めてきた。
その微かな重みと、彼の柔らかな髪が首筋をくすぐる感じに、私はうっとりと目蓋を閉じる。
肌と肌が触れ合うだけで、こんなに幸せだと思ってしまうのは、私が理人のことを心の底から愛しい、と思っているからに他ならない。
理人と一緒にいると、自分でも信じられないくらい貪欲になってしまう自分がいることに気付かされて恥ずかしくなることがある。
そんな私が、大好きな理人に求められて、嫌なわけがないの。
例えそのせいで身体に負担がかかりすぎてしまったとしても――。
私は理人に応えたい、と思ってしまう。
理人は決して私を酷く扱ったりはしない。
それでも……私のコンディションがよくないと、今回みたいに擦れて痛くなってしまうんだって、私、初めて知った。
そういう時って……本当はしてはいけないんだと思う。
でも……。
「あのね、理人……私……」
私がつぶやくように話し始めたら、理人が「ん?」と顔を上げる気配がして。
私は顔を見られるのが恥ずかしくて、布団に顔を埋めながら話を続けたの。
「私、理人に触れられたり……その……求められたりするの、嫌いじゃ……ないの。……っていうより……寧ろすごくすごく嬉しいし……好き……だったり、します……」
しどろもどろながらも、一気にそこまで言ったら、理人が感極まったみたいに「葵咲ちゃん」って呼びかけてきた。
私はその声に、くすぐったいような照れ臭いような気持ちでうなずくと、言葉を続けたの。
「だから……ね、その……い、……くても、私……その……あなたに応えたいって……思ってしまって……それで」
恥ずかしさの余り「痛くても」がハッキリと言えなくて……でも理人は私の言いたいことをちゃんと汲み取ってくれたみたいだった。
「ごめんね、葵咲ちゃん。――キミのそういう性格は嫌というほど分かっていたはずなのに……。気づいてあげられなかったのは完全に僕のミスだ。しんどい思いをさせて……本当、ごめん」
ギュッと私を抱きしめる理人の腕に力がこもる。
その身体が小さく震えているのに気付いて、私はハッとさせられた。
彼が本気で私のことを心配して、自分のせいで私がつらい思いをしてしまったと後悔しているのが伝わってきて――。
申し訳なくて悲しくなってしまった。
「……理人のせいじゃ……ない、よ?」
そもそも大好きな理人が、私を傷付けて平気なわけないのに、それに思い至れなかった私のほうが悪い。
私は、ちゃんと理人に「痛いから今日はそこに触れるの、やめて?」って言わなきゃいけなかったんじゃないの?
言わずに隠していたのは……理人に対する優しさじゃないと気がついた。
それって、ただの独り善がりだ。
理人に嫌われたくないからって……理人のためみたいに自分を偽って……結局理人を傷つけた。
その微かな重みと、彼の柔らかな髪が首筋をくすぐる感じに、私はうっとりと目蓋を閉じる。
肌と肌が触れ合うだけで、こんなに幸せだと思ってしまうのは、私が理人のことを心の底から愛しい、と思っているからに他ならない。
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そんな私が、大好きな理人に求められて、嫌なわけがないの。
例えそのせいで身体に負担がかかりすぎてしまったとしても――。
私は理人に応えたい、と思ってしまう。
理人は決して私を酷く扱ったりはしない。
それでも……私のコンディションがよくないと、今回みたいに擦れて痛くなってしまうんだって、私、初めて知った。
そういう時って……本当はしてはいけないんだと思う。
でも……。
「あのね、理人……私……」
私がつぶやくように話し始めたら、理人が「ん?」と顔を上げる気配がして。
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「私、理人に触れられたり……その……求められたりするの、嫌いじゃ……ないの。……っていうより……寧ろすごくすごく嬉しいし……好き……だったり、します……」
しどろもどろながらも、一気にそこまで言ったら、理人が感極まったみたいに「葵咲ちゃん」って呼びかけてきた。
私はその声に、くすぐったいような照れ臭いような気持ちでうなずくと、言葉を続けたの。
「だから……ね、その……い、……くても、私……その……あなたに応えたいって……思ってしまって……それで」
恥ずかしさの余り「痛くても」がハッキリと言えなくて……でも理人は私の言いたいことをちゃんと汲み取ってくれたみたいだった。
「ごめんね、葵咲ちゃん。――キミのそういう性格は嫌というほど分かっていたはずなのに……。気づいてあげられなかったのは完全に僕のミスだ。しんどい思いをさせて……本当、ごめん」
ギュッと私を抱きしめる理人の腕に力がこもる。
その身体が小さく震えているのに気付いて、私はハッとさせられた。
彼が本気で私のことを心配して、自分のせいで私がつらい思いをしてしまったと後悔しているのが伝わってきて――。
申し訳なくて悲しくなってしまった。
「……理人のせいじゃ……ない、よ?」
そもそも大好きな理人が、私を傷付けて平気なわけないのに、それに思い至れなかった私のほうが悪い。
私は、ちゃんと理人に「痛いから今日はそこに触れるの、やめて?」って言わなきゃいけなかったんじゃないの?
言わずに隠していたのは……理人に対する優しさじゃないと気がついた。
それって、ただの独り善がりだ。
理人に嫌われたくないからって……理人のためみたいに自分を偽って……結局理人を傷つけた。
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