【完結】【R18】つべこべ言わずに僕に惚れろよ

鷹槻れん(鷹槻うなの)

文字の大きさ
上 下
224 / 324
■ 彼女の気持ちと僕の不安■オマケ的短編⑤

隠し事が下手なキミ1

しおりを挟む
 程よい疲れと幸福感を身にまとったまま、僕たちは二人でお風呂に入った。

 お湯を気持ちいいくらいにはじく、健康的で肌理きめこまかい葵咲きさきちゃんの色白の肌を、ボディーソープのふわふわの泡で包み込むようにして洗ってあげたら、彼女は僕にも同じようにしてくれて――。

 当然、「じゃあ」と大人しく洗いっこするだけで終わるわけもなく。

 でも、あいにくスキンは持ち込んでいなかったので、挿入はなしで、お互いに泡だらけで触りっこして、かせるだけに留めておいた。

 僕には最近、葵咲ちゃんのお尻のほうも征服したいという欲求があって……洗いながらどさくさに紛れて後ろの方を触ったら、怒られてしまった。でも、いつか必ず、と思っているのは葵咲ちゃんには内緒。
 実際そちらも開発できたなら……もう少し色々幅が広がると思うんだけどな、とか考えてしまう程度には、僕は彼女の全てを僕のものにしたいと思っている。

理人りひとは先に上がっててっ!」
 ちょっとプンスカしたままの葵咲ちゃんに、バスルームから追い出されてしまった。

 僕はタオルドライした身体に、ホテル備え付けのバスローブを羽織ると、ふと思い立って部屋の入り口へ足を向ける。
 さっき脱ぎ散らかしたままになっていた二人のコートを拾い上げると、軽くバサバサとはたいてハンガーに掛けてから、入り口横のポールタイプのハンガーラックに吊るす。

 僕の上着はともかく、葵咲ちゃんの純白のコートがしわになったり汚れてしまったりしていなくて本当によかった。

 葵咲ちゃんのコートの片腕を持ち上げて、鼻に近づけると、
(いい匂い)
 コートからは、大好きな葵咲ちゃんの香りがした。

「理人?」
 バスルームのドアが開いた気配がして、ふんわりと石鹸の香りが漂ってくる。
「んー?」
 僕は慌てて葵咲ちゃんのコートから手を離すと、バスルームのほうへ戻った。

 いつもなら、ちゃんと髪をドライヤーでしっかり乾かしてからでないと出てこないはずの葵咲ちゃんが、珍しく濡れ髪のまま、脱衣所から顔をのぞかせている。

「あ、あの……理人、冷蔵庫、開けたり……してない、よね?」

 僕の気配が脱衣所から消えたから、葵咲ちゃんは少し不安になったみたいだ。

 ゆらゆらと揺れる大きな瞳で、うかがうように僕を見上げてくる。

 上気した頬と、髪からポタポタとしずくが滴る様が、なんだかなまめかしいな、と思ってしまった。

(あー、本当、何回抱いても抱き足りないと思ってしまう!)
 さすがに、せっかく身体を綺麗にしたばかりの葵咲ちゃんをまたけがすのは気が引けて、僕は彼女からさりげなく視線を逸らす。

「いや、コート、脱いだままだったなって思って、それを吊るしに行ってただけだよ。――葵咲、喉乾いたの?」
 冷蔵庫から何か飲み物を持ってこようか?と続けたら、慌てたように「ダメ!」と言われてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

処理中です...