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■僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』

キミしか見えない僕なのに5

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日織ひおりさんと何を話して、葵咲きさきが何を思ったのか、大体想像つくけど……僕はキミ以外には反応しないから」

 だからもしもキミとの行為のとき、僕が初体験じゃなかったと疑っているのなら、それは誤解だよ、と言外に含ませる。

 わかってる。
 これは真っ赤な嘘だ。

 でも、僕がソレを貫き通すことで葵咲ちゃんが安心できるんなら……僕はその罪を一生背負って行くと決めたんだ。

 現に、葵咲ちゃんの身体を知ってしまった今、もしも僕にあれこれを教えてくれた彼女が再び姿を現したとして……僕は絶対に勃起反応しないと断言できる。

 もちろん他のいかなる誘惑にだって同じこと。

 葵咲ちゃんの身体の抱き心地の良さや彼女の黒子ほくろの位置、それから触れたとき葵咲ちゃんがどんな反応をしてくれるか知らなかった時だからこそ、僕はあんなバカな真似が出来たんだ。

「私の……誤解……なの?」

 言って、葵咲ちゃんが僕をじっと見つめてくる。

 僕は葵咲ちゃんの目を真正面から見つめ返して小さくうなずくと、股間に当てていた彼女の手を解放する。

理人りひとは……私以外の人を見たり……しない?」

 僕の頬へそっと触れてくる葵咲ちゃんの手をギュッと包み込んで「当たり前だろ」と言ったら、葵咲ちゃんがポロリと涙を落とした。

 そんなに不安に感じてくれていただなんて。
 思わずつられて、僕も目元が潤んでしまう。


『あ、あーんっ! いい、もっとぉー!』


 こんなにシリアスなシーンなのに。

 スマホから聞こえてくる喘ぎ声が邪魔で、僕は葵咲きさきちゃんと顔を見合わせて、笑ってしまった。

「僕らにはこんなの、必要ないね」

 動画を止めたスマホをベッドの宮棚に置くと、葵咲ちゃんをギュッと抱きしめる。

「ね、葵咲、キスして……いい?」
 耳元でそっとささやけば、小さく首肯してくれて。

 僕は彼女を抱く腕の力を緩めると、葵咲ちゃんの頬へ手を添える。

「葵咲、愛してる」

 涙で潤んだ葵咲ちゃんの瞳をじっと見詰めてそう言ったら、「私も……」って返してくれた。

 そうして、葵咲ちゃんの方から僕に口付けてくれて、
理人りひと、愛してる」
 そう、小さな声ではにかむような愛の告白をしてれるんだ。

 僕は堪らず葵咲ちゃんをギュッと抱きしめると、深く深く唇を合わせた。

「葵咲、このまま続けても……いい?」

 問うと「あ、でもシャワー……」って、今更だよ。

「ごめん。待てない」

 そのまま葵咲ちゃんの身体をベッドに横たえると、僕は自分の上をさっさと脱ぎ捨ててベッド下へ落とす。

 そうして葵咲ちゃんに覆いかぶさって、彼女の胸のふくらみを、服の上からやんわりと揉みしだく。

 早くじかに触りたい――。

「葵咲、僕をこんなふうにたかぶらせることが出来るのは、世界にただ一人。――キミだけだからね、忘れないで?」

 言って、彼女の小さな手を取ると、先ほどとは比べものにならないぐらい硬くそそり立った屹立に触れさせて、切なく吐息を落とす。

 葵咲ちゃんは僕の突然の行動に驚いたみたいに瞳を見開いたけれど、逸らされた顔とは裏腹にその横顔はとても嬉しそうだった。
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