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■僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
会食6
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「葵咲、料理は修太郎さんたちのおすすめにしない? で、とりあえず飲み物だけ頼んじゃおうよ」
僕たちのことなんて眼中にないみたいに2人ではしゃぐ女性陣を見て、僕はそう提案してみた。
「うん。私もそれがいいかなって思ってた」
淡く微笑んでそう答えてくれる葵咲ちゃんに、「飲み物は決まった?」と問えば、「ひおちゃんとお揃いのピーチフィズにしようかなって思ってる」と、何とも女の子らしいチョイス。
「分かった。じゃあ料理と一緒に適当にオーダー通しちゃうね」
言ったら「ありがとう」ってニコッと笑ってくれて。
久々に心から笑顔をむけてくれた気がして、僕はキュンとする。
かぐや姫と話している葵咲ちゃんは、さっきまで僕とふたりきりでいた時に漂わせていたような憂いを感じさせなくてホッとする。
だからせめて今だけは――。
ホテルに帰るまでの間ぐらいは……葵咲ちゃんが笑顔でいられたらいい。
僕はそんな風に思ったんだ。
適当に修太郎氏におすすめ料理を見繕ってもらって、葵咲ちゃんのピーチフィズと一緒に、僕の生ビールも付け加えてオーダーする。
塚田夫妻のグラスにはまだたっぷり中身が残っていたので、とりあえず今回はそれだけ。
「修太郎さん、どうやら女性陣は女子会モードのようですし、僕らは僕らで色々話しませんか?」
席は同席だけれど、彼女たちの笑い声を聞きながら、こっちはこっちで男同士の話をするのも悪くない。
真咲と飲んだ時と違って、今はすぐそばに葵咲ちゃんがいるのだから……僕だってさすがに、そんなには不安にならないし。
「奇遇ですね。僕も池本さんと話してみたいと思っていました」
眼鏡の奥で、修太郎氏が瞳を細めたのが分かった。
***
ややして、僕と葵咲ちゃんが追加オーダーしたものがテーブルに並ぶ。
修太郎氏によると、このお店はとにかくレバーが旨いらしい。
彼のお勧めにならって、レバーのたまり漬け、鶏レバーの葱塩がけは外さずに頼んだ。
それらとは別に、焼き鳥の盛り合わせ、自家製の燻製ベーコンが決め手というポテトサラダ、若鶏の半身揚げ、だし巻き卵、地元鮮魚の刺身、てんぷらの盛り合わせ、おにぎりなどが運ばれてくる。
僕は飲むとき、そんなにご飯ものは要らないんだけど、葵咲ちゃんはご飯を食べたがるのを知っている。
彼女にとっては、いま運ばれてきた如何にも酒のアテっぽい料理のあれこれも、恐らくはご飯のおかず感覚に近いんじゃないかと思う。
そしてそれは、普段余りお酒を飲みつけていないであろうかぐや姫も同じだったようで。
「わわわっ。一気にたくさんきたのですっ。ききちゃん、美味しそうなおかず一杯ありますし、一緒におにぎり食べませんか?」
かぐや姫がそう言っておにぎりの皿に手を伸ばそうとして、そこで僕らを交互に見つめてハッとする。
「あ、あのっ。おにぎり、2個しかないですが、私たちが頂いてしまっても宜しかったですか?」
割とこう、猪突猛進型?
僕は、言ってしまった後で慌てたようにオロオロするかぐや姫にクスッとしてしまう。
「そのつもりで頼んだものなので、もちろんどうぞ。――ですよね? 修太郎さん」
僕がそう声をかけると、修太郎氏がハッとした様に僕を見た。
僕たちのことなんて眼中にないみたいに2人ではしゃぐ女性陣を見て、僕はそう提案してみた。
「うん。私もそれがいいかなって思ってた」
淡く微笑んでそう答えてくれる葵咲ちゃんに、「飲み物は決まった?」と問えば、「ひおちゃんとお揃いのピーチフィズにしようかなって思ってる」と、何とも女の子らしいチョイス。
「分かった。じゃあ料理と一緒に適当にオーダー通しちゃうね」
言ったら「ありがとう」ってニコッと笑ってくれて。
久々に心から笑顔をむけてくれた気がして、僕はキュンとする。
かぐや姫と話している葵咲ちゃんは、さっきまで僕とふたりきりでいた時に漂わせていたような憂いを感じさせなくてホッとする。
だからせめて今だけは――。
ホテルに帰るまでの間ぐらいは……葵咲ちゃんが笑顔でいられたらいい。
僕はそんな風に思ったんだ。
適当に修太郎氏におすすめ料理を見繕ってもらって、葵咲ちゃんのピーチフィズと一緒に、僕の生ビールも付け加えてオーダーする。
塚田夫妻のグラスにはまだたっぷり中身が残っていたので、とりあえず今回はそれだけ。
「修太郎さん、どうやら女性陣は女子会モードのようですし、僕らは僕らで色々話しませんか?」
席は同席だけれど、彼女たちの笑い声を聞きながら、こっちはこっちで男同士の話をするのも悪くない。
真咲と飲んだ時と違って、今はすぐそばに葵咲ちゃんがいるのだから……僕だってさすがに、そんなには不安にならないし。
「奇遇ですね。僕も池本さんと話してみたいと思っていました」
眼鏡の奥で、修太郎氏が瞳を細めたのが分かった。
***
ややして、僕と葵咲ちゃんが追加オーダーしたものがテーブルに並ぶ。
修太郎氏によると、このお店はとにかくレバーが旨いらしい。
彼のお勧めにならって、レバーのたまり漬け、鶏レバーの葱塩がけは外さずに頼んだ。
それらとは別に、焼き鳥の盛り合わせ、自家製の燻製ベーコンが決め手というポテトサラダ、若鶏の半身揚げ、だし巻き卵、地元鮮魚の刺身、てんぷらの盛り合わせ、おにぎりなどが運ばれてくる。
僕は飲むとき、そんなにご飯ものは要らないんだけど、葵咲ちゃんはご飯を食べたがるのを知っている。
彼女にとっては、いま運ばれてきた如何にも酒のアテっぽい料理のあれこれも、恐らくはご飯のおかず感覚に近いんじゃないかと思う。
そしてそれは、普段余りお酒を飲みつけていないであろうかぐや姫も同じだったようで。
「わわわっ。一気にたくさんきたのですっ。ききちゃん、美味しそうなおかず一杯ありますし、一緒におにぎり食べませんか?」
かぐや姫がそう言っておにぎりの皿に手を伸ばそうとして、そこで僕らを交互に見つめてハッとする。
「あ、あのっ。おにぎり、2個しかないですが、私たちが頂いてしまっても宜しかったですか?」
割とこう、猪突猛進型?
僕は、言ってしまった後で慌てたようにオロオロするかぐや姫にクスッとしてしまう。
「そのつもりで頼んだものなので、もちろんどうぞ。――ですよね? 修太郎さん」
僕がそう声をかけると、修太郎氏がハッとした様に僕を見た。
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