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■僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
かぐや姫とその従者1
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空港から葵咲ちゃんの滞在する家までは、カーナビによると車で20分足らず。
そこから僕が葵咲ちゃんと泊まるために手配した、商店街のど真ん中に位置するビジネスホテルまでが10分ちょい。
どちらも思ったより案外近くて、僕はホッと胸を撫で下ろした。
車があれば少々の距離を移動するのぐらいどうってことないと思う反面、それでも昨今の市町村合併で、下手したら市内と一言に言っても物凄く広いんだよねー、と思ったりもしていたから。
この分なら20時になる前に食事に行けそうだ。
そう思ってレンタルしたばかりのヴィッツから葵咲ちゃんに電話をかけたら、葵咲ちゃんに開口一番『ねぇ理人、車から降りて左手後方を見てっ!』って謎の指示を出されてしまった。
っていうか何で今、車ん中だって知ってるの?
思いながら車から降りた僕は――。
「理人っ!」
振り返るより早く葵咲ちゃんに飛びつかれていた。
「きさ、き……?」
この艶々の黒髪。白くて艶かしい首筋からデコルテにかけてのライン。柔らかくて心地よい触り心地。甘く柔らかい、うっとりするような香り。
どう考えても、僕の大好きな葵咲ちゃん以外の何者でもない。ないのだけれど。
えっ? でも……ちょっと待って。何で葵咲ちゃんが空港に?
そう思った僕は、葵咲ちゃんの背後から2つの人影が近づいてくるのを認めて、思わず腕の中の葵咲ちゃんを抱く手に力を込めた。
人工的な灯りのもと、スッと目を細めて見つめた先――。
恐らく小さいほうは葵咲ちゃんの友人の女の子。姫カットされたストレートの長髪が、まるで『竹取物語』に出てくるかぐや姫の挿し絵みたいだ。
まぁ、その子はとりあえずいいとして……かぐや姫の隣の従者みたいな男、誰だよ。
葵咲ちゃんのそばに異性がいたと思うだけで、無条件にモヤモヤした僕だったけれど、そう言えば……と思い直す。
「ききちゃん、彼氏さん予定通りに到着なさって、本当に良かったのですっ」
僕が口を開くよりも先に、かぐや姫がそう言って葵咲ちゃんにニッコリ笑いかけた。
その声に、僕の腕の中で葵咲ちゃんが身じろいで、恥ずかしそうに手の中からすり抜けてしまう。
あー、すっごく残念。葵咲ちゃん、そういう照れ屋なところも可愛いけれど、僕はもう少しキミを抱きしめていたかった!
それにしても、なんか不思議な雰囲気の女の子だ。
こうして見ると、彼女も目が大きくて愛らしい美人さんだ。けど……まぁ、葵咲ちゃんの方が断然魅力的だな。
そんなことを思っていたら、姫の後ろの従者から物凄い威圧的な視線を感じてしまって、わー、この人、僕と同類かも……とか思ってしまった。
とりあえず、彼らに向かって軽く会釈をしたら、あちらもまぁ大人だ。
ふっと視線を緩めてきて。
絶対この人も僕の葵咲ちゃんと自分の姫を比べて、うちの彼女の方が……とか思った口だ。
そう思ったら自分のことは棚に上げてモヤッとしてしまった。
僕の知らない所で僕の葵咲ちゃんを他の男に値踏みされるとか、考えただけで腹立たしいんだけど。
そこから僕が葵咲ちゃんと泊まるために手配した、商店街のど真ん中に位置するビジネスホテルまでが10分ちょい。
どちらも思ったより案外近くて、僕はホッと胸を撫で下ろした。
車があれば少々の距離を移動するのぐらいどうってことないと思う反面、それでも昨今の市町村合併で、下手したら市内と一言に言っても物凄く広いんだよねー、と思ったりもしていたから。
この分なら20時になる前に食事に行けそうだ。
そう思ってレンタルしたばかりのヴィッツから葵咲ちゃんに電話をかけたら、葵咲ちゃんに開口一番『ねぇ理人、車から降りて左手後方を見てっ!』って謎の指示を出されてしまった。
っていうか何で今、車ん中だって知ってるの?
思いながら車から降りた僕は――。
「理人っ!」
振り返るより早く葵咲ちゃんに飛びつかれていた。
「きさ、き……?」
この艶々の黒髪。白くて艶かしい首筋からデコルテにかけてのライン。柔らかくて心地よい触り心地。甘く柔らかい、うっとりするような香り。
どう考えても、僕の大好きな葵咲ちゃん以外の何者でもない。ないのだけれど。
えっ? でも……ちょっと待って。何で葵咲ちゃんが空港に?
そう思った僕は、葵咲ちゃんの背後から2つの人影が近づいてくるのを認めて、思わず腕の中の葵咲ちゃんを抱く手に力を込めた。
人工的な灯りのもと、スッと目を細めて見つめた先――。
恐らく小さいほうは葵咲ちゃんの友人の女の子。姫カットされたストレートの長髪が、まるで『竹取物語』に出てくるかぐや姫の挿し絵みたいだ。
まぁ、その子はとりあえずいいとして……かぐや姫の隣の従者みたいな男、誰だよ。
葵咲ちゃんのそばに異性がいたと思うだけで、無条件にモヤモヤした僕だったけれど、そう言えば……と思い直す。
「ききちゃん、彼氏さん予定通りに到着なさって、本当に良かったのですっ」
僕が口を開くよりも先に、かぐや姫がそう言って葵咲ちゃんにニッコリ笑いかけた。
その声に、僕の腕の中で葵咲ちゃんが身じろいで、恥ずかしそうに手の中からすり抜けてしまう。
あー、すっごく残念。葵咲ちゃん、そういう照れ屋なところも可愛いけれど、僕はもう少しキミを抱きしめていたかった!
それにしても、なんか不思議な雰囲気の女の子だ。
こうして見ると、彼女も目が大きくて愛らしい美人さんだ。けど……まぁ、葵咲ちゃんの方が断然魅力的だな。
そんなことを思っていたら、姫の後ろの従者から物凄い威圧的な視線を感じてしまって、わー、この人、僕と同類かも……とか思ってしまった。
とりあえず、彼らに向かって軽く会釈をしたら、あちらもまぁ大人だ。
ふっと視線を緩めてきて。
絶対この人も僕の葵咲ちゃんと自分の姫を比べて、うちの彼女の方が……とか思った口だ。
そう思ったら自分のことは棚に上げてモヤッとしてしまった。
僕の知らない所で僕の葵咲ちゃんを他の男に値踏みされるとか、考えただけで腹立たしいんだけど。
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