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■僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
女子会1
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「日織さん、何度も言ってますが、丸山さんがいらっしゃる間のお二人の宿泊先は僕の家でも全然構わないんですよ?」
いや、むしろそうして頂きたい、と語尾にありありとそんな付け加えが窺える塚田さんの声に、ひおちゃんが小さく吐息を漏らす。
ひおちゃんの自宅に着くまでの間、車中で幾度となく交わされてきた会話を、藤原家前で荷物を下ろしながら、再度蒸し返す塚田さんを見て、私は思わず既視感を覚えてしまった。
(ひおちゃんのご主人、何だか理人みたい……)
そう思ったら、はからずクスリと笑みが漏れて、それに気づいたひおちゃんが眉根を寄せて塚田さんに抗議した。
「だから、ダメなのです。それではききちゃんとの女子会、楽しめないじゃないですか」
ぷぅっと頬を膨らませてそこまで言ってから「それに、です」と付け加える。
「それに、です。もし仮に修太郎さんの目の届かないところで、私がききちゃんの彼氏さんのお家にお泊まりするとか言ったら、修太郎さん、許してくださいますか?」
「そっ、そんなのっ、ダメに決まっているでしょう!」
ひおちゃんの言葉に、塚田さんがひおちゃんの腕を掴んで抗議して――。
「いっ、痛いです、修太郎さんっ」
ひおちゃんが小さく声を上げて、慌てて塚田さんがひおちゃんの腕を離した。
「でも、これでお解りになられたでしょう? だ・か・ら! ダメなのですっ!」
きっぱりとひおちゃんにそう言われて、塚田さんがしゅんとなさる。
それを見ていたらどうしても出掛けに見た理人と重なって、私は何だか申し訳なくなってしまった。
「ひ、ひおちゃん、私、別にどこでも平気だよ? 理人には言わなきゃ分からないことだし……それに――」
二人は入籍を済ませた……言わば夫婦なのに私のせいで離れ離れとか申し訳ないよ。
そう続けようとしたら、ひおちゃんが私の唇に人差し指を当てて、言葉を止めた。
「ききちゃん、何を言っているのですかっ。自分がされて嫌なこと、相手にしたらダメなのですっ。それにききちゃん、彼氏さんに嘘とかついて平気な子じゃないでしょう?」
普段はほわほわとして頼りなさそうに見えるけれど、ひおちゃんはやっぱり私よりお姉さんなのだと時折痛感させられる。
「ほら、修太郎さんが駄々をこねるせいで、ききちゃんに変な気を遣わせてしまったじゃないですか」
背後の塚田さんを、ひおちゃんがキッと睨みつけて、彼が慌てたように「すみません」と謝罪をなさった。
私は慌てて「あ、だ、大丈夫ですっ」と返すので精一杯で。
確か私、二人はかなり歳の離れた夫婦だと聞いていた。
でも、ひおちゃん、歳の差なんて物ともせず、結構きっちり塚田さんの手綱を握っていたり……する?
私、理人に対してここまでちゃんと色々言えない気がする。
そう思ったら、隣に立つひおちゃんが物凄く眩しく見えた。
(これが入籍を済ませた奥さんの強み、だったりするのかなぁ)
ふとそんな風に考えて、私は小首を傾げた。
いや、むしろそうして頂きたい、と語尾にありありとそんな付け加えが窺える塚田さんの声に、ひおちゃんが小さく吐息を漏らす。
ひおちゃんの自宅に着くまでの間、車中で幾度となく交わされてきた会話を、藤原家前で荷物を下ろしながら、再度蒸し返す塚田さんを見て、私は思わず既視感を覚えてしまった。
(ひおちゃんのご主人、何だか理人みたい……)
そう思ったら、はからずクスリと笑みが漏れて、それに気づいたひおちゃんが眉根を寄せて塚田さんに抗議した。
「だから、ダメなのです。それではききちゃんとの女子会、楽しめないじゃないですか」
ぷぅっと頬を膨らませてそこまで言ってから「それに、です」と付け加える。
「それに、です。もし仮に修太郎さんの目の届かないところで、私がききちゃんの彼氏さんのお家にお泊まりするとか言ったら、修太郎さん、許してくださいますか?」
「そっ、そんなのっ、ダメに決まっているでしょう!」
ひおちゃんの言葉に、塚田さんがひおちゃんの腕を掴んで抗議して――。
「いっ、痛いです、修太郎さんっ」
ひおちゃんが小さく声を上げて、慌てて塚田さんがひおちゃんの腕を離した。
「でも、これでお解りになられたでしょう? だ・か・ら! ダメなのですっ!」
きっぱりとひおちゃんにそう言われて、塚田さんがしゅんとなさる。
それを見ていたらどうしても出掛けに見た理人と重なって、私は何だか申し訳なくなってしまった。
「ひ、ひおちゃん、私、別にどこでも平気だよ? 理人には言わなきゃ分からないことだし……それに――」
二人は入籍を済ませた……言わば夫婦なのに私のせいで離れ離れとか申し訳ないよ。
そう続けようとしたら、ひおちゃんが私の唇に人差し指を当てて、言葉を止めた。
「ききちゃん、何を言っているのですかっ。自分がされて嫌なこと、相手にしたらダメなのですっ。それにききちゃん、彼氏さんに嘘とかついて平気な子じゃないでしょう?」
普段はほわほわとして頼りなさそうに見えるけれど、ひおちゃんはやっぱり私よりお姉さんなのだと時折痛感させられる。
「ほら、修太郎さんが駄々をこねるせいで、ききちゃんに変な気を遣わせてしまったじゃないですか」
背後の塚田さんを、ひおちゃんがキッと睨みつけて、彼が慌てたように「すみません」と謝罪をなさった。
私は慌てて「あ、だ、大丈夫ですっ」と返すので精一杯で。
確か私、二人はかなり歳の離れた夫婦だと聞いていた。
でも、ひおちゃん、歳の差なんて物ともせず、結構きっちり塚田さんの手綱を握っていたり……する?
私、理人に対してここまでちゃんと色々言えない気がする。
そう思ったら、隣に立つひおちゃんが物凄く眩しく見えた。
(これが入籍を済ませた奥さんの強み、だったりするのかなぁ)
ふとそんな風に考えて、私は小首を傾げた。
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