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■僕惚れ③『家族が増えました』
理人の一番4
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理人が風呂から上がると、葵咲が肉じゃが、キノコの味噌汁、ぶりの照り焼きなどを作ってくれていた。
(安定の魚料理……)
葵咲は子供の頃から魚が好きだ。
盆に温泉旅行に行った時も、彼女が喜ぶように理人は魚メインの料理を振る舞った。
理人自身はどちらかというと肉料理の方が好きだけれど、そんなことよりも葵咲が喜ぶ顔を見られる方が嬉しいので、例え魚が続いたとしても実は全然苦にならない。
そもそも葵咲は理人のことも気にかけてくれるので、魚ばかりが続くことは皆無だ。恐らく、他所の家庭に比べたら、魚が食卓に並ぶ率が高めかな?くらいだと理人は思っている。
魚好きなところも含めて、葵咲はやっぱり猫だな、と連想して、理人は我知らず笑みを漏らした。
***
「理人?」
適当にタオルドライしたままの髪からポタリと床に滴が落ちたのを見て、葵咲が慌てて駆け寄ってくる。
風呂上がり、一人で暮らしている頃はタオルを腰に巻いただけでうろうろしていた理人だけれど、それをすると葵咲が恥ずかしがるので近頃は一応シャツとズボンだけは身につけて出てくるようにしている。
裸で毎日のように抱き合う仲なのに、いつまで経ってもそういう初々しい反応をしてくれるのが葵咲の魅力だ。
「もう、ちゃんとドライヤーしてっていつも言ってるのに。風邪ひいちゃうよ?」
言いながら背伸びして髪を拭いてくれようとする葵咲が愛しくて、理人はソファに腰掛けて、葵咲が拭きやすいように頭を低くする。「お願いします」と言うと、「理人の甘えん坊」と返ってくるのも、とろけるように甘い時間だ。
実際葵咲も満更ではないようで、これは別々に入浴した際の恒例行事みたいになっている。一人のとき、理人が少し自堕落な拭き方で風呂を出るのは、こうなるのを期待してのことだ。
サワサワと頭にタオル越しの葵咲の手の感触を感じながら、理人は幸せを噛み締める。
理人の目の前には、エプロンを身に付けた葵咲のまろやかな胸があって、彼女が身体を動かすたびにそこが揺れてうっとりするような甘い香りを理人に運んでくる。
理人がその芳香に誘われるように彼女の胸へ手を伸ばしたら、「邪魔しないの!」と即座に怒られた。
そんな葵咲と理人のやりとりに、セレが目を覚ましたらしく、箱の中でニャーニャー鳴く声がし始める。
カリカリと段ボールを引っ掻く音や、縁に向かって飛び上がってはずり落ちているらしいガサガサいう音がして、理人と葵咲は思わず顔を見合わせた。
手が止まってしまった葵咲に、理人は「ありがとう」と言って立ち上がると、箱の中からセレを出してやる。
寝起きなのでもしかしたら排泄するかもしれない、と思ってトイレに連れて行くと、理人の思惑通り、セレはトイレでおしっこをしてくれた。
「えらいぞー、セレ」
一度排泄をしてくれたら、そこにニオイがつくので次からの成功率がグンと上がる。
理人はセレが自力でトイレから出てこられるか、などをチェックして、少しトイレ前の段差をなくす細工がいるかな?と思った。
(安定の魚料理……)
葵咲は子供の頃から魚が好きだ。
盆に温泉旅行に行った時も、彼女が喜ぶように理人は魚メインの料理を振る舞った。
理人自身はどちらかというと肉料理の方が好きだけれど、そんなことよりも葵咲が喜ぶ顔を見られる方が嬉しいので、例え魚が続いたとしても実は全然苦にならない。
そもそも葵咲は理人のことも気にかけてくれるので、魚ばかりが続くことは皆無だ。恐らく、他所の家庭に比べたら、魚が食卓に並ぶ率が高めかな?くらいだと理人は思っている。
魚好きなところも含めて、葵咲はやっぱり猫だな、と連想して、理人は我知らず笑みを漏らした。
***
「理人?」
適当にタオルドライしたままの髪からポタリと床に滴が落ちたのを見て、葵咲が慌てて駆け寄ってくる。
風呂上がり、一人で暮らしている頃はタオルを腰に巻いただけでうろうろしていた理人だけれど、それをすると葵咲が恥ずかしがるので近頃は一応シャツとズボンだけは身につけて出てくるようにしている。
裸で毎日のように抱き合う仲なのに、いつまで経ってもそういう初々しい反応をしてくれるのが葵咲の魅力だ。
「もう、ちゃんとドライヤーしてっていつも言ってるのに。風邪ひいちゃうよ?」
言いながら背伸びして髪を拭いてくれようとする葵咲が愛しくて、理人はソファに腰掛けて、葵咲が拭きやすいように頭を低くする。「お願いします」と言うと、「理人の甘えん坊」と返ってくるのも、とろけるように甘い時間だ。
実際葵咲も満更ではないようで、これは別々に入浴した際の恒例行事みたいになっている。一人のとき、理人が少し自堕落な拭き方で風呂を出るのは、こうなるのを期待してのことだ。
サワサワと頭にタオル越しの葵咲の手の感触を感じながら、理人は幸せを噛み締める。
理人の目の前には、エプロンを身に付けた葵咲のまろやかな胸があって、彼女が身体を動かすたびにそこが揺れてうっとりするような甘い香りを理人に運んでくる。
理人がその芳香に誘われるように彼女の胸へ手を伸ばしたら、「邪魔しないの!」と即座に怒られた。
そんな葵咲と理人のやりとりに、セレが目を覚ましたらしく、箱の中でニャーニャー鳴く声がし始める。
カリカリと段ボールを引っ掻く音や、縁に向かって飛び上がってはずり落ちているらしいガサガサいう音がして、理人と葵咲は思わず顔を見合わせた。
手が止まってしまった葵咲に、理人は「ありがとう」と言って立ち上がると、箱の中からセレを出してやる。
寝起きなのでもしかしたら排泄するかもしれない、と思ってトイレに連れて行くと、理人の思惑通り、セレはトイレでおしっこをしてくれた。
「えらいぞー、セレ」
一度排泄をしてくれたら、そこにニオイがつくので次からの成功率がグンと上がる。
理人はセレが自力でトイレから出てこられるか、などをチェックして、少しトイレ前の段差をなくす細工がいるかな?と思った。
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