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■僕惚れ②『温泉へ行こう!』
帰宅後
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「よろしくお願いします」
私は今、理人の住むアパートで、彼と向き合って、照れながら挨拶なんて交わしている。
さすがに三つ指をついて……とかそう言う感じではないけれど、それでも充分かしこまった気持ちになっているのは事実で。
――と言うのも……。
旅行から帰ってきたその足で、理人は私を家まで送り届けてくれた。
「大丈夫? 疲れてない?」
温泉旅行とはいえ、色々あったし、やはり家で過ごす休日と違って、身体は思いのほか疲れている気がした。
特に、今回の旅行では色々ありすぎて……多分理人は私以上に精神的に削られているはず。
新幹線での移動だったし、長距離運転をしてもらったわけではないけれど、そこに至るまでの経路は彼に運転してもらったこともあって、私は理人が心配で堪らなかった。
でも、彼は憔悴した素振りは微塵も感じさせず、そればかりかとても凛としていた。
「ん? 僕は大丈夫だよ。葵咲こそ、無理してない?」
私の言葉に、逆にこちらの心配をしてくれる理人。
「もちろん、全然平気! 車の運転だって理人に任せっきりだったし、私に疲れる要素なんてないよ?」
そう言って微笑むと、ようやく彼はホッとした顔をした。
お互いに相手のことばかりに気を取られていて……それが何だか自分たちらしいな、と思ってしまった。
「……ねぇ理人。本当にこのままうちに寄るの?」
ふと思い出してそう問いかければ、「うん、そのつもりだよ」と答えが返る。
新幹線を降りてすぐ、理人に促されて自宅へ電話を掛けると、私が帰宅する日ということもあってか、皆在宅しているとのことだった。
それを確認した理人が、「だったら僕も少しキミのご家族にご挨拶がしたい」と言い出して――。
「……え?」
それは、旅館での朝食の時に理人から提案されたことと繋がる気がして、私は少し驚いてしまう。
「心配しないで。いくら僕でも今日どうこう言うつもりはないよ。――ただ、少しでも心象を良くしておきたいだけだから」
理人は、そこまで言うと、「僕は臆病だし、狡いところがあるんだよ」と付け加えて微笑んだ。
多分理人が申し込めば、うちの家族は誰一人反対しないと思う。
理人のご家族とも、私たちが幼い頃から家族ぐるみのようにして付き合ってきたし、今更反対はされないと……思う。
それでもやはり、周りも含めて自分達自身にも大きな変化をもたらす内容だけに、私は緊張してしまう。
もちろんそれは理人にしたって同じはずなわけで。
「僕にも支度する時間が要るし……それは葵咲にとっても同じだろ?」
まるで私の心を見透かしたように、理人がそう言って私の頭をくしゃりと撫でた。
「心配しないで。ちゃんと時間、かけるから」
私は今、理人の住むアパートで、彼と向き合って、照れながら挨拶なんて交わしている。
さすがに三つ指をついて……とかそう言う感じではないけれど、それでも充分かしこまった気持ちになっているのは事実で。
――と言うのも……。
旅行から帰ってきたその足で、理人は私を家まで送り届けてくれた。
「大丈夫? 疲れてない?」
温泉旅行とはいえ、色々あったし、やはり家で過ごす休日と違って、身体は思いのほか疲れている気がした。
特に、今回の旅行では色々ありすぎて……多分理人は私以上に精神的に削られているはず。
新幹線での移動だったし、長距離運転をしてもらったわけではないけれど、そこに至るまでの経路は彼に運転してもらったこともあって、私は理人が心配で堪らなかった。
でも、彼は憔悴した素振りは微塵も感じさせず、そればかりかとても凛としていた。
「ん? 僕は大丈夫だよ。葵咲こそ、無理してない?」
私の言葉に、逆にこちらの心配をしてくれる理人。
「もちろん、全然平気! 車の運転だって理人に任せっきりだったし、私に疲れる要素なんてないよ?」
そう言って微笑むと、ようやく彼はホッとした顔をした。
お互いに相手のことばかりに気を取られていて……それが何だか自分たちらしいな、と思ってしまった。
「……ねぇ理人。本当にこのままうちに寄るの?」
ふと思い出してそう問いかければ、「うん、そのつもりだよ」と答えが返る。
新幹線を降りてすぐ、理人に促されて自宅へ電話を掛けると、私が帰宅する日ということもあってか、皆在宅しているとのことだった。
それを確認した理人が、「だったら僕も少しキミのご家族にご挨拶がしたい」と言い出して――。
「……え?」
それは、旅館での朝食の時に理人から提案されたことと繋がる気がして、私は少し驚いてしまう。
「心配しないで。いくら僕でも今日どうこう言うつもりはないよ。――ただ、少しでも心象を良くしておきたいだけだから」
理人は、そこまで言うと、「僕は臆病だし、狡いところがあるんだよ」と付け加えて微笑んだ。
多分理人が申し込めば、うちの家族は誰一人反対しないと思う。
理人のご家族とも、私たちが幼い頃から家族ぐるみのようにして付き合ってきたし、今更反対はされないと……思う。
それでもやはり、周りも含めて自分達自身にも大きな変化をもたらす内容だけに、私は緊張してしまう。
もちろんそれは理人にしたって同じはずなわけで。
「僕にも支度する時間が要るし……それは葵咲にとっても同じだろ?」
まるで私の心を見透かしたように、理人がそう言って私の頭をくしゃりと撫でた。
「心配しないで。ちゃんと時間、かけるから」
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