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Aria
夕飯食べた?
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アリアに入ると、夕飯時のピークを過ぎていたこともあって、店内は比較的空いていた。
店に入ると同時に、案内にやってきたウェイターに、目線で奥の席がいいとアピールしてみた。通じたらラッキーくらいのつもりだったが、さすがというべきか。察しのいい彼は、それだけで希望通りの席に通してくれた。
(やはりこの店はいつ来ても店員の質がいい)
僕らの前に立って歩く長身の後ろ姿をぼんやり眺めながら、そんなことを思う。
悔しいけれど、彼の方が僕より五センチばかり背が高かった。僕だって一七九センチあるし、それほど低い方ではないと思う。むしろ一五六センチの葵咲ちゃんからしたら僕との身長差だってあり過ぎるかもしれないくらいで。
そう思いながら、僕の後ろにいる葵咲ちゃんを振り返ったら、彼女が僕の肩越しにウェイターを見ている気がした。
途端、さっき葵咲ちゃんが言った、「みんなかっこいいし」というセリフが脳裏に蘇ってきて、僕は無意識にため息を漏らす。
何となくモヤッとして、思わず葵咲ちゃんの手を握ると、僕は彼との間に入って彼女からウェイターの背中が見えないようにした。
とても些細なことだけど、それだけで少し気持ちが軽くなる。
馬鹿げているし、子供っぽいな、と自分自身でも思う。そう気付いたら、図らず苦笑してしまった。
案内されたテーブルまで来ると、僕は葵咲ちゃんに好きなところに座ってもらって、自分はその向かい側に腰をおろす。
よく、女性は奥側の席に、とか聞くけれど、僕はそういうのは余り関係ないんじゃないかな?と思っている。
席なんてお店にもよりけりだろうし、それこそ同じ店内でも奥側が必ずしも好もしい席だとも限らない。正直な話、相手が座りたい席に座ってもらって、僕がそれに合わせるのが一番合理的なんじゃないかなと思う。
「夕飯、食べた?」
メニューを手渡しながら尋ねると、葵咲ちゃんはふるふると首を横に振った。
向かい合わせに座ったことで、嫌でも僕と対面しなくてはいけなくなった葵咲ちゃんが、時折チラチラと僕の顔を上目遣いに窺うのが可愛くて、メニューを眺める体で顔を隠して、にやけるのを誤魔化した。
そのままメニュー越しに「お腹空いてる?」と聞くと、「うん……」と小さく返ってきた。
車に乗ってからこっち、全然声を発してくれなかった葵咲ちゃんが、向かい合わせの緊張のせいか、ジェスチャーだけじゃなく、言葉にして答えてくれたことに、僕は軽く驚いた。うん、これは大前進だ。
「僕も腹ペコ。とりあえず何か頼もっか」
話は食べながら少しずつすればいいか、と思いつつ。
もちろん大事な話は食べ終わった後で落ち着いてしたほうがいいだろうけど、とりあえずバイトの子達に対する誤解を解くのなんかは、食べながらのほうが軽めに話せていいかもしれない。
店に入ると同時に、案内にやってきたウェイターに、目線で奥の席がいいとアピールしてみた。通じたらラッキーくらいのつもりだったが、さすがというべきか。察しのいい彼は、それだけで希望通りの席に通してくれた。
(やはりこの店はいつ来ても店員の質がいい)
僕らの前に立って歩く長身の後ろ姿をぼんやり眺めながら、そんなことを思う。
悔しいけれど、彼の方が僕より五センチばかり背が高かった。僕だって一七九センチあるし、それほど低い方ではないと思う。むしろ一五六センチの葵咲ちゃんからしたら僕との身長差だってあり過ぎるかもしれないくらいで。
そう思いながら、僕の後ろにいる葵咲ちゃんを振り返ったら、彼女が僕の肩越しにウェイターを見ている気がした。
途端、さっき葵咲ちゃんが言った、「みんなかっこいいし」というセリフが脳裏に蘇ってきて、僕は無意識にため息を漏らす。
何となくモヤッとして、思わず葵咲ちゃんの手を握ると、僕は彼との間に入って彼女からウェイターの背中が見えないようにした。
とても些細なことだけど、それだけで少し気持ちが軽くなる。
馬鹿げているし、子供っぽいな、と自分自身でも思う。そう気付いたら、図らず苦笑してしまった。
案内されたテーブルまで来ると、僕は葵咲ちゃんに好きなところに座ってもらって、自分はその向かい側に腰をおろす。
よく、女性は奥側の席に、とか聞くけれど、僕はそういうのは余り関係ないんじゃないかな?と思っている。
席なんてお店にもよりけりだろうし、それこそ同じ店内でも奥側が必ずしも好もしい席だとも限らない。正直な話、相手が座りたい席に座ってもらって、僕がそれに合わせるのが一番合理的なんじゃないかなと思う。
「夕飯、食べた?」
メニューを手渡しながら尋ねると、葵咲ちゃんはふるふると首を横に振った。
向かい合わせに座ったことで、嫌でも僕と対面しなくてはいけなくなった葵咲ちゃんが、時折チラチラと僕の顔を上目遣いに窺うのが可愛くて、メニューを眺める体で顔を隠して、にやけるのを誤魔化した。
そのままメニュー越しに「お腹空いてる?」と聞くと、「うん……」と小さく返ってきた。
車に乗ってからこっち、全然声を発してくれなかった葵咲ちゃんが、向かい合わせの緊張のせいか、ジェスチャーだけじゃなく、言葉にして答えてくれたことに、僕は軽く驚いた。うん、これは大前進だ。
「僕も腹ペコ。とりあえず何か頼もっか」
話は食べながら少しずつすればいいか、と思いつつ。
もちろん大事な話は食べ終わった後で落ち着いてしたほうがいいだろうけど、とりあえずバイトの子達に対する誤解を解くのなんかは、食べながらのほうが軽めに話せていいかもしれない。
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