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きみを守りたい
ホント、ごめん
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頭は打ったけど、他は無事みたいだ。
「大丈夫」
葵咲ちゃんの泣きそうな顔を横目に、周りのものにつかまりながらゆっくりと立ち上がって、そう思う。
「……きみこそどこにも怪我、してない?」
全身全霊をかけて彼女の身は守ったつもりだけど……でも万が一ということもありえる。
ワンピースが血まみれなのも、僕を不安にさせた。
「私は、どこも怪我してない……。理人が庇ってくれたから」
元気元気!と笑う葵咲ちゃんを見て、ホッとする。
でも、ガッツポーズをして見せる彼女の二の腕に、小さな擦り傷を見つけて、胸の奥がチクリと痛んだ。
「腕……」
指差すと、
「違うよ、これはさっき携帯取りだしたときにね、擦りむいたの」
書架が倒れてきた時は無傷だったよ、と微笑みかけてくれる葵咲ちゃんの優しさに、僕はひとまず甘えることにする。
倒れた本棚と、散乱した本を避けながら、彼女を後ろにしてゆっくりと階段を目指す。
歩いていたら、何度か目の前が霞んで、僕はそのたびに彼女に見えないように自分の足を強くつねって意識を保った。
少し、血が出すぎたかもしれない。でも、今、倒れるわけには……いかないんだ。
幸い階段には何も倒れてきていなくて、そこからは割とスムーズにロビーまで上がることが出来た。
葵咲ちゃんの携帯から救急車を手配して、エントランス側のエレベーターの方に向かう。
緊急事態なのでエレベーターを使うのは危険だと判断して、その横にある、普段はほとんど使われることのない階段で降りようと提案した。
エレベーター横にある、重い鉄扉を開けると、闇に向かって伸びていくように、階段が一階まで続いている。
純粋に一階と七階を繋ぐだけのこの階段は、階ごとに踊り場のようなものはあるけれど、そこに設けられた扉は全フロア施錠されて締め切られている。
「……あと少し、頑張れる?」
葵咲ちゃんに向けて放ったけれど、実際自分自身に向けたものでもあるその言葉。
あと少し……。館外に彼女を連れ出すまでは……頑張らないと。
手すりに掴まって、なんとか身体を支えているけれど、早くしないと……そろそろ限界だ。
そんな状態で七階分を歩いて降りるのはしんどかったけれど、昇りではなかっただけマシだった。
気力を総動員して何とか一階まで下りると、重い鉄扉を開けてエントランスに出る。
先程施錠した、入口のガラス戸を解錠して外に出る。
やっと……外に、出られた。
葵咲ちゃんと並んで図書館の壁にもたれて腰掛けて、救急車の到着を待つ。
外に出て分かったんだけど、被害があったのは、どうやら我が図書館だけだったようだ。館外に広がる構内は、怖いくらい落ち着いていて……拍子抜けするくらいいつも通りだった。
その、当たり前の光景に、僕はふっと気が抜ける。
僕は……高層の建物を侮ってた……。
前にチェックした時、書架の危険性には気付いていたはずなのに。
遠くにサイレンの音を聞きながら、僕は少しずつ視界が狭まっていくのを感じていた。
――葵咲ちゃん、怖い目に遭わせて、ホントごめん……。
「大丈夫」
葵咲ちゃんの泣きそうな顔を横目に、周りのものにつかまりながらゆっくりと立ち上がって、そう思う。
「……きみこそどこにも怪我、してない?」
全身全霊をかけて彼女の身は守ったつもりだけど……でも万が一ということもありえる。
ワンピースが血まみれなのも、僕を不安にさせた。
「私は、どこも怪我してない……。理人が庇ってくれたから」
元気元気!と笑う葵咲ちゃんを見て、ホッとする。
でも、ガッツポーズをして見せる彼女の二の腕に、小さな擦り傷を見つけて、胸の奥がチクリと痛んだ。
「腕……」
指差すと、
「違うよ、これはさっき携帯取りだしたときにね、擦りむいたの」
書架が倒れてきた時は無傷だったよ、と微笑みかけてくれる葵咲ちゃんの優しさに、僕はひとまず甘えることにする。
倒れた本棚と、散乱した本を避けながら、彼女を後ろにしてゆっくりと階段を目指す。
歩いていたら、何度か目の前が霞んで、僕はそのたびに彼女に見えないように自分の足を強くつねって意識を保った。
少し、血が出すぎたかもしれない。でも、今、倒れるわけには……いかないんだ。
幸い階段には何も倒れてきていなくて、そこからは割とスムーズにロビーまで上がることが出来た。
葵咲ちゃんの携帯から救急車を手配して、エントランス側のエレベーターの方に向かう。
緊急事態なのでエレベーターを使うのは危険だと判断して、その横にある、普段はほとんど使われることのない階段で降りようと提案した。
エレベーター横にある、重い鉄扉を開けると、闇に向かって伸びていくように、階段が一階まで続いている。
純粋に一階と七階を繋ぐだけのこの階段は、階ごとに踊り場のようなものはあるけれど、そこに設けられた扉は全フロア施錠されて締め切られている。
「……あと少し、頑張れる?」
葵咲ちゃんに向けて放ったけれど、実際自分自身に向けたものでもあるその言葉。
あと少し……。館外に彼女を連れ出すまでは……頑張らないと。
手すりに掴まって、なんとか身体を支えているけれど、早くしないと……そろそろ限界だ。
そんな状態で七階分を歩いて降りるのはしんどかったけれど、昇りではなかっただけマシだった。
気力を総動員して何とか一階まで下りると、重い鉄扉を開けてエントランスに出る。
先程施錠した、入口のガラス戸を解錠して外に出る。
やっと……外に、出られた。
葵咲ちゃんと並んで図書館の壁にもたれて腰掛けて、救急車の到着を待つ。
外に出て分かったんだけど、被害があったのは、どうやら我が図書館だけだったようだ。館外に広がる構内は、怖いくらい落ち着いていて……拍子抜けするくらいいつも通りだった。
その、当たり前の光景に、僕はふっと気が抜ける。
僕は……高層の建物を侮ってた……。
前にチェックした時、書架の危険性には気付いていたはずなのに。
遠くにサイレンの音を聞きながら、僕は少しずつ視界が狭まっていくのを感じていた。
――葵咲ちゃん、怖い目に遭わせて、ホントごめん……。
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