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■ひとりで気負い過ぎんなよ(オマケ的短編)
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今日は拓斗が産院から退院してきて初めてのお風呂です。
入院中、助産師の花々里さんにしっかりと新生児の沐浴のさせ方を習ってきたのだけれど、いざ1人で入れるとなるとどうしても怖くなって。
おまけにまだ身体も本調子というわけではないからか、腰のあたりにも少し不安が。
コルセットで骨盤を締めてはいるけれど、お風呂、ちゃんと入れられるかな。
拓斗が生まれてくる前に奏芽さんと一緒に霧島さんのお宅から譲り受けてきたベビーバスなどを準備してはみたものの、どうにも踏ん切りがつかなくて。
どうしようかなって戸惑っていたら、奏芽さんが帰宅していらした。
リビングに入るなり、ソファにタオルや産着、新しいオムツがすぐ着せられるような形でセッティングされているのを見て、奏芽さんがスッと目を眇める。
「拓斗、今から風呂か?」
ベビーベッドにいる息子をチラリと見やって、奏芽さんが問いかけていらして。
「そのつもりなんですけど……うまく入れられるか不安で」
奏芽さんの言葉に眉根を寄せたら、
「俺が入れようか? ――凜子が嫌じゃなければ、だけど」
母親はとかく子供を人手に渡すのを嫌がるもんだからな、と柔らかく頭を撫でられた私は、すがるような目で奏芽さんを見上げた。
「――お得意、ですか?」
よくよく考えてみたら、奏芽さんは小児科医だ。
案外新生児の扱いにも手慣れていらっしゃるのかもしれない。
そう思って奏芽さんを見つめたら、「和音も入れたりしてたしな。多分凜子が思ってる以上に得意だぞ?」ってニヤリとされた。
その笑顔に何だかホッとして、私は肩の力を抜く。
「あの……母親のくせに情けないんですけど……実は入れるの怖かったんです」
素直にそう心情を吐露したら、「バーカ。拓斗は俺たち2人の息子なんだから1人で気負い過ぎんな」って抱き寄せられた。
途端奏芽さんの柑橘系の香りにふわりと包まれて、それだけで肩の力がフッと抜ける。
入院中、助産師の花々里さんにしっかりと新生児の沐浴のさせ方を習ってきたのだけれど、いざ1人で入れるとなるとどうしても怖くなって。
おまけにまだ身体も本調子というわけではないからか、腰のあたりにも少し不安が。
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拓斗が生まれてくる前に奏芽さんと一緒に霧島さんのお宅から譲り受けてきたベビーバスなどを準備してはみたものの、どうにも踏ん切りがつかなくて。
どうしようかなって戸惑っていたら、奏芽さんが帰宅していらした。
リビングに入るなり、ソファにタオルや産着、新しいオムツがすぐ着せられるような形でセッティングされているのを見て、奏芽さんがスッと目を眇める。
「拓斗、今から風呂か?」
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奏芽さんの言葉に眉根を寄せたら、
「俺が入れようか? ――凜子が嫌じゃなければ、だけど」
母親はとかく子供を人手に渡すのを嫌がるもんだからな、と柔らかく頭を撫でられた私は、すがるような目で奏芽さんを見上げた。
「――お得意、ですか?」
よくよく考えてみたら、奏芽さんは小児科医だ。
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素直にそう心情を吐露したら、「バーカ。拓斗は俺たち2人の息子なんだから1人で気負い過ぎんな」って抱き寄せられた。
途端奏芽さんの柑橘系の香りにふわりと包まれて、それだけで肩の力がフッと抜ける。
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