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特典⑨『ヘタレな俺でも許してくんねぇか?』
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「ハル、お前さ、音芽の誕生日にプレゼントとか渡してる?」
俺からの突然の問い掛けに、幼なじみの温和が電話口で不機嫌になったのが分かった。
『してないと思うか?』
ムスッとした口調で言うハルに、「してないわけねぇよな」と思わず笑いそうになる。
いや、まぁ今のは俺の聞き方が悪かったよな、うん。
『ハル、結構まめそうだもんな、そういうの」
言えば、『バーカ。プレゼントと見せかけて首輪付けてんだよ』とか。
ちょっと待て、ハル。お前が言ってる相手、俺の妹だよな? 分かってて言ってんのか?
『好きな女にアレコレ自分のもんだって印付けとくのって当たり前じゃね? 何? 奏芽。もしかしてお前、そういうのしたことねぇの?』
憮然とした声音で聞かれて、今度は俺の方が言葉に詰まる。
「ねぇの?って……あるわけねーわ。今までそんなにまでして繋ぎとめておきたい相手なんていなかったし」
溜め息まじりに言ったら、『けど。そんなこと聞いてくるってことは、今は繋いどきたい相手がいるってことだろ?』って。
ホント察しがよくて嫌になるな、お前。
『――ペアにしとけ』
黙り込んだ俺に、温和が当然のようにそう言って。
「は?」
思わず声を低めて聞き返せば『だから、ペアもんだよ。何か自分と同じの付けさせたら俺のものって感じすんだろ?』って。
そういえば温和のやつ、初っ端から音芽にペアリングやったんだっけか。
『結婚考えてんだろ? その子と』
畳みかけるように言われて、俺は「まぁな」とつぶやいた。
『で、まだしてねぇんだっけ?』
クスクス笑われて、バツが悪くなった俺が吐き捨てるように「悪いか」って返したら『別に』って笑いまじりに言いやがんの。
けど、そのあと不意に真剣な声音で『――だったら尚のことペアだな』って言われた。
『奏芽だってその方が所有権主張できるみたいで安心だろ?』って言われて。
気がついたらそんなハルにほだされるみたいに、「おすすめとかある?」と聞いてしまっていた。
俺からの突然の問い掛けに、幼なじみの温和が電話口で不機嫌になったのが分かった。
『してないと思うか?』
ムスッとした口調で言うハルに、「してないわけねぇよな」と思わず笑いそうになる。
いや、まぁ今のは俺の聞き方が悪かったよな、うん。
『ハル、結構まめそうだもんな、そういうの」
言えば、『バーカ。プレゼントと見せかけて首輪付けてんだよ』とか。
ちょっと待て、ハル。お前が言ってる相手、俺の妹だよな? 分かってて言ってんのか?
『好きな女にアレコレ自分のもんだって印付けとくのって当たり前じゃね? 何? 奏芽。もしかしてお前、そういうのしたことねぇの?』
憮然とした声音で聞かれて、今度は俺の方が言葉に詰まる。
「ねぇの?って……あるわけねーわ。今までそんなにまでして繋ぎとめておきたい相手なんていなかったし」
溜め息まじりに言ったら、『けど。そんなこと聞いてくるってことは、今は繋いどきたい相手がいるってことだろ?』って。
ホント察しがよくて嫌になるな、お前。
『――ペアにしとけ』
黙り込んだ俺に、温和が当然のようにそう言って。
「は?」
思わず声を低めて聞き返せば『だから、ペアもんだよ。何か自分と同じの付けさせたら俺のものって感じすんだろ?』って。
そういえば温和のやつ、初っ端から音芽にペアリングやったんだっけか。
『結婚考えてんだろ? その子と』
畳みかけるように言われて、俺は「まぁな」とつぶやいた。
『で、まだしてねぇんだっけ?』
クスクス笑われて、バツが悪くなった俺が吐き捨てるように「悪いか」って返したら『別に』って笑いまじりに言いやがんの。
けど、そのあと不意に真剣な声音で『――だったら尚のことペアだな』って言われた。
『奏芽だってその方が所有権主張できるみたいで安心だろ?』って言われて。
気がついたらそんなハルにほだされるみたいに、「おすすめとかある?」と聞いてしまっていた。
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