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特典⑦ 『大事なのは●●●だろ?』

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 前に温和はるまさ音芽おとめの不在時に俺を頼ってきたことがある。

 今日はその逆バージョン。

 凜子りんこが片山さんと夕飯を、って言うから、渋る温和ハルを――音芽よめにも根回し済みで――無理矢理夕飯メシに付き合わせた。

 凜子を迎えに行かなきゃなんねぇから酒はなしだ。

 酒なしなのそれもあって、今日は「あまみや」ではなく別の個室つき小料理屋へ浮気。
 何となくハルに聞きたい内容が〝あれ〟だったんで、雨宮あまみやには聞かれたくなかったのもあるっちゅーか。
 アイツやたら揶揄からかってくるしな。


***


「なぁハル。お前さ、風呂上がり、音芽おとめにどんな格好して出てきて欲しい?」

 先日凜子りんこと初めてのアレコレを経験したわけだけど……あのとき、風呂へ行く前、凜子は俺にモノ問いたげな眼差しを投げかけてきたんだ。

 勘違いでなければ、あれはきっと「どういう格好で出てきたらいいですか?」って聞きたかったんじゃないだろうか。
 彼女が脱衣所に消えた後でそう思い至った俺だったけれど、じゃあ、と考えたら結構悩ましい問題で。


 同い年の温和はるまさは何と答えるだろう?と思ったんだ。


「は? お前、それ……普段の話じゃねぇよな?」

「ったりめぇだ、馬鹿」


 ふとそこで過日の、ホテルでの凜子の風呂上がりの婀娜あだっぽい姿を思い出した俺は、思わず下が反応しそうになって慌てて別のことを考えた。


 アレはやばかった。
 いや、マジで。



音芽いもうとのこと、想像せずに聞けよ?」

 何故わざわざそんな要らん前置きをするかね、温和はるまさくん。

 逆に考えちまうだろ。

 敢えて目の前の筑前煮に箸を伸ばすと、味のよく沁み込んだ椎茸を口に放り込んで、気持ちを切り替えた。


「しねぇよ」
 飲み込んでからそう返してみたものの、ハルの頭の中は俺の妹である音芽よめのことで一杯なのだと思い至った。

 仲がよろしいことで。

 思いながらも、そういえばこいつらの〝初めて〟なんて8年以上前だよなと思って、覚えてんのか?とふと不安になる。


 いや、別に初めてのときじゃなくてもいいんだけどさ、女のほうがこなれてくるとあれだろ。
 そういうの余り気にしなくなんだろ、多分。

 俺の今までの経験からしてもそういうのをやたら恥らうのは初めて肌を合わせるとき限定な気がして。

 まぁ凜子りんこは違うけどな。


 妹はどうだろう?
 ふとそこまで考えて、音芽おとめのことを想像するなとハルに釘を刺されたのを思い出して苦笑する。
 ヤベー。
 考えたくねぇこと考えそうになったわ。

 あののが、男とそう言うことしてるとか……やっぱとしてはあんま想像出来ねぇししたくねぇんだよ。
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