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特典③ 『Fifty-Fifty?』
半分こ5
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そのまま注文カウンターに向かう奏芽さんに「あ、お金……」って声を掛けたら「奢らせてくんねぇの?」って言われてしまった。
奢らせろ、って言われたら「ダメですっ!」って言えたのに、まるで頼み事をするみたいなそんな言い方! 私、断れなくて困ってしまう。
「あ、でも……」
それでも渋る素振りを見せる私に、
「じゃあ、凜子の選んだやつ、俺にも味見させて? 1番クリームたっぷりなトコ」
とか。
奏芽さんっ。
どのみち奏芽さんが買ったものなら、全部食べられたって私、文句なんて言えないのに。
思いながら恨めしげに見つめたら「ダメ?」って眉根を寄せるの。
いつも自信家でどこか傲慢にさえ見える奏芽さんが、子犬みたいな表情をするの。ずるくない?
私、とうとう根負けして小さくうなずいてしまった。
***
席は結局テラス席しか空いていなくて。
でも日陰だし、店内からのエアコンの冷気のお陰で思ったほど暑くなかったの。
それでも寒がりな私と違って、奏芽さんは暑いと感じてしまうかもしれない。
「凜子、お待たせ」
席の配置の関係で、店内の方へ背中を向ける形になっていた私は、奏芽さんの声に振り向いて、「ごめんなさい、席、外しか空いてなくて」と言ったところで思わず動きを止めた。
「奏芽……さん?」
私たち、2人のはずなのに、彼の手にしたトレイには、クレープが5つ。
それとは別にアイスミルクティーとアイスコーヒーのグラスまで。
思わず席を立ち上がってしまった私に、「落ち着けって」と苦笑して、奏芽さんがトレイをテーブルに載せる。
そうして突っ立ったままの私の手を引いて席に座らせてから、「どれも美味そうだろ?」って笑うの。
「これが凜子リクエストのチョコバナナで、あとは俺チョイスのアイスの抹茶ソース掛け、クリームチーズとベリー。で、これが期間限定のフローズンヨーグルトとマンゴーで。――あ、これだけは変わり種で甘くないやつ。惣菜系のツナサラダな?」
ちょっと待ってちょっと待って。
後半2つはともかくとして、前半3つは私が食べたいなって迷ってたやつですよ、ね?
「これって……」
「さすがに俺ひとりで残りの4つ全部は無理だからな? 凜子のチョコバナナも込みでシェア前提でいい?」
とか。
奏芽さん、甘いの平気って言っても、さすがにこれはしんどいんじゃないかなって心配になる。
きっと、最後の惣菜系が奏芽さんの本当の意味での選択なんじゃないかな?とか思ってしまった。
「あの……私……」
私が物欲しそうにあれこれ迷ってしまったから、こんな風に沢山買わせてしまったんじゃないかな。
どうしてもそんな思いが拭えなくて、思わず「ごめんなさい」って言葉が出てしまって。
言った途端、鼻の奥がツンとして、視界がぼんやりと涙の膜で霞んで見えた。
奢らせろ、って言われたら「ダメですっ!」って言えたのに、まるで頼み事をするみたいなそんな言い方! 私、断れなくて困ってしまう。
「あ、でも……」
それでも渋る素振りを見せる私に、
「じゃあ、凜子の選んだやつ、俺にも味見させて? 1番クリームたっぷりなトコ」
とか。
奏芽さんっ。
どのみち奏芽さんが買ったものなら、全部食べられたって私、文句なんて言えないのに。
思いながら恨めしげに見つめたら「ダメ?」って眉根を寄せるの。
いつも自信家でどこか傲慢にさえ見える奏芽さんが、子犬みたいな表情をするの。ずるくない?
私、とうとう根負けして小さくうなずいてしまった。
***
席は結局テラス席しか空いていなくて。
でも日陰だし、店内からのエアコンの冷気のお陰で思ったほど暑くなかったの。
それでも寒がりな私と違って、奏芽さんは暑いと感じてしまうかもしれない。
「凜子、お待たせ」
席の配置の関係で、店内の方へ背中を向ける形になっていた私は、奏芽さんの声に振り向いて、「ごめんなさい、席、外しか空いてなくて」と言ったところで思わず動きを止めた。
「奏芽……さん?」
私たち、2人のはずなのに、彼の手にしたトレイには、クレープが5つ。
それとは別にアイスミルクティーとアイスコーヒーのグラスまで。
思わず席を立ち上がってしまった私に、「落ち着けって」と苦笑して、奏芽さんがトレイをテーブルに載せる。
そうして突っ立ったままの私の手を引いて席に座らせてから、「どれも美味そうだろ?」って笑うの。
「これが凜子リクエストのチョコバナナで、あとは俺チョイスのアイスの抹茶ソース掛け、クリームチーズとベリー。で、これが期間限定のフローズンヨーグルトとマンゴーで。――あ、これだけは変わり種で甘くないやつ。惣菜系のツナサラダな?」
ちょっと待ってちょっと待って。
後半2つはともかくとして、前半3つは私が食べたいなって迷ってたやつですよ、ね?
「これって……」
「さすがに俺ひとりで残りの4つ全部は無理だからな? 凜子のチョコバナナも込みでシェア前提でいい?」
とか。
奏芽さん、甘いの平気って言っても、さすがにこれはしんどいんじゃないかなって心配になる。
きっと、最後の惣菜系が奏芽さんの本当の意味での選択なんじゃないかな?とか思ってしまった。
「あの……私……」
私が物欲しそうにあれこれ迷ってしまったから、こんな風に沢山買わせてしまったんじゃないかな。
どうしてもそんな思いが拭えなくて、思わず「ごめんなさい」って言葉が出てしまって。
言った途端、鼻の奥がツンとして、視界がぼんやりと涙の膜で霞んで見えた。
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