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特典③ 『Fifty-Fifty?』

半分こ4

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「俺が今、なに考えてるか当ててみ?」

 言われて、素直になりきれない私は、「む、無理です……っ」って言葉と一緒に、あごにかけられた手から逃れようと頑張った。

 と、不意に耳元に寄せられた奏芽かなめさんの唇が、「凜子りんこに甘いもん食わして、思い切り甘やかしてぇなって思ってる」って低い声でささやいて。
「そういうも悪くねぇだろ?」
 とか!

 私は奏芽さんのその言葉に、全身がゾクッとなって、身体を跳ねさせた。

「そんなわけで、さっさと行くぞ」

 グイッと奏芽さんに繋いだ手を引っ張られて、私はまろび出るように歩き出した。

***

 いざクレープ屋さんに入ってみると、そのメニューの豊富さに愕然となる。

 クリームの種類や具材の組み合わせが、ざっと見ただけで30種類以上!

 何これ何これ何これーっ!

 あれもこれもみんな美味しそうで、1つになんてとても絞れそうにない。

 ショーケースに飾られた食品サンプルのクレープは、どれもキラキラつやつやと輝いて美味しそうで。

 定番のチョコバナナも捨てがたいけれど、バニラアイスに抹茶ソースが掛けられたのも美味しそう。
 クリームチーズにブルーベリーやラズベリーの組み合わせも捨てがたいし、あーん、迷っちゃう!

 次に来たときにまた、というのも選択肢の1つだと分かってはいるけれど、私、ここまで奏芽かなめさんの車に乗せてもらって来た。
 要するに自力で来ようと思ったら、バスに乗ることが必須条件。
 バス代にクレープ代に……って考えたら、貧乏学生の私には、そうおいそれとは来られそうにないの。

凜子りんこ、眉間にしわ寄ってるぞ?」

 不意に奏芽さんが私の額に触れてきて、私はビクッとなって現実に引き戻される。

 わーん。選ぶのに夢中になりすぎて、奏芽さんと一緒だってこと、忘れてたっ!

「ご、ごめんなさいっ」
 恥ずかしさに真っ赤になったら、「絞れそう?」って聞かれて。
 「決めた?」でも「選んだ?」でもなく、「絞れそう?」って聞かれたことに、色々見抜かれているのだと感じて羞恥心が募る。

「チョ……」
 チョコの、と言おうとして、あー、でも抹茶のもっ!と後ろ髪を引かれてしまう……。

 ぎゅっと目をつぶって視界から抹茶を追い出すと、「チョコとバナナのにしますっ」と自分に言い聞かせるように言ったの。

奏芽かなめさんは決まりましたか?」

 聞けば、奏芽さんは私の頭をポンポンと優しく撫でてくれてから、「座って待ってて?」と店内を見回した。
 テラス席しか空いていないように見えるけど注文待ちの間に空く……かな?
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