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特典③ 『Fifty-Fifty?』
初めてのデート2
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部屋を飛び出してソワソワと小走りになったところで、階段を上がってきた奏芽さんとかち合ってしまった。
「ひゃっ」
思わず後ろに仰け反って、バランスを崩し掛けたところを、ギュッと腕を掴まれて助けられて。
立ち位置的に言ったら、階段にいた奏芽さんの方が危なかったのに私ってば何やってるの!
***
「凜子っ。家ん中で待っとけって……」
言っただろ?という言葉が続いたはずなのに、目が合った途端、それを半ばで飲み込んで、奏芽さんが私をギュッと抱きしめてきた。
彼の胸元に鼻先を押し当てられた途端、柑橘系の香りが鼻腔を満たして、ドキドキする。
奏芽さんの……においだ。
奏芽さんが階段で、私が廊下という構図。数段分ほど奏芽さんが下にいらっしゃる関係で、いつもより顔が近い気がして戸惑ってしまう。
「そう言っておいても俺のこと考えて出て来ちまうのが凜子なんだよな。――あー、もう、ホント何ちゅーか」
“そう言うところが堪んねぇんだよ”と耳元で溜め息混じりにつぶやかれて、その切なげな声音にゾクリとする。
「……あ、あのっ」
気恥ずかしさにモジモジと身じろいだら、「すまん。苦しかったか?」って聞かれて。
物理的に苦しかったわけではないけれど、精神的には現在進行形ですっごく苦しいです。
思いながら奏芽さんを見つめたら、そこでやっと、彼の服装が目に入ってきたの。
今日の奏芽さんはブルーグリーンのサマーニットに黒のテーパードパンツ。
ニットの下には白いロングTシャツを重ねているのかな? 裾や襟元からちょっぴり覗く白がアクセントになっていて……なんていうかすごくかっこよくて。
シンプルだから余計に奏芽さんの身体のラインに目がいってしまうというか……!
男の人って、こんなに胸板厚いの?とか……本当今考えるべきは、それじゃないのに!
ソワソワと慌てて奏芽さんから視線を外したら、やんわり編んだおさげにそっと触れられた。
「髪も服装もいつもと雰囲気違変えてる?」
目を細めるようにして問いかけられた途端、ぶわりと身体が熱を持ったのが分かった。
「あ、あの……へっ、変っ……です、か?」
消え入りそうな声で恐る恐る聞いたら、「まさか! その逆」って髪の毛に口付けられる。
「かっ、奏芽さんっ」
その様が恥ずかしくて、思わず後ずさろうとしたら、「逃げんな」って手を引かれて。
そのまま間近で見下ろされながら、
「リュックいいな。凜子の両手がフリーになる」
言って、奏芽さんがすごく嬉しそうに笑うから、私まで何だか心が浮き足立ってしまったの。
「今日はさ、街中に出るし、はぐれないように手、繋いで歩くだろ?」
当然のようにそう提案されて、はいともいいえとも返事をしていないのに、「予行練習な?」って、ギュッと私の手を握ったまま、奏芽さんが歩き出した。
私は彼に手を引かれるようにして、斜め後方をついて歩くので精一杯。
「ひゃっ」
思わず後ろに仰け反って、バランスを崩し掛けたところを、ギュッと腕を掴まれて助けられて。
立ち位置的に言ったら、階段にいた奏芽さんの方が危なかったのに私ってば何やってるの!
***
「凜子っ。家ん中で待っとけって……」
言っただろ?という言葉が続いたはずなのに、目が合った途端、それを半ばで飲み込んで、奏芽さんが私をギュッと抱きしめてきた。
彼の胸元に鼻先を押し当てられた途端、柑橘系の香りが鼻腔を満たして、ドキドキする。
奏芽さんの……においだ。
奏芽さんが階段で、私が廊下という構図。数段分ほど奏芽さんが下にいらっしゃる関係で、いつもより顔が近い気がして戸惑ってしまう。
「そう言っておいても俺のこと考えて出て来ちまうのが凜子なんだよな。――あー、もう、ホント何ちゅーか」
“そう言うところが堪んねぇんだよ”と耳元で溜め息混じりにつぶやかれて、その切なげな声音にゾクリとする。
「……あ、あのっ」
気恥ずかしさにモジモジと身じろいだら、「すまん。苦しかったか?」って聞かれて。
物理的に苦しかったわけではないけれど、精神的には現在進行形ですっごく苦しいです。
思いながら奏芽さんを見つめたら、そこでやっと、彼の服装が目に入ってきたの。
今日の奏芽さんはブルーグリーンのサマーニットに黒のテーパードパンツ。
ニットの下には白いロングTシャツを重ねているのかな? 裾や襟元からちょっぴり覗く白がアクセントになっていて……なんていうかすごくかっこよくて。
シンプルだから余計に奏芽さんの身体のラインに目がいってしまうというか……!
男の人って、こんなに胸板厚いの?とか……本当今考えるべきは、それじゃないのに!
ソワソワと慌てて奏芽さんから視線を外したら、やんわり編んだおさげにそっと触れられた。
「髪も服装もいつもと雰囲気違変えてる?」
目を細めるようにして問いかけられた途端、ぶわりと身体が熱を持ったのが分かった。
「あ、あの……へっ、変っ……です、か?」
消え入りそうな声で恐る恐る聞いたら、「まさか! その逆」って髪の毛に口付けられる。
「かっ、奏芽さんっ」
その様が恥ずかしくて、思わず後ずさろうとしたら、「逃げんな」って手を引かれて。
そのまま間近で見下ろされながら、
「リュックいいな。凜子の両手がフリーになる」
言って、奏芽さんがすごく嬉しそうに笑うから、私まで何だか心が浮き足立ってしまったの。
「今日はさ、街中に出るし、はぐれないように手、繋いで歩くだろ?」
当然のようにそう提案されて、はいともいいえとも返事をしていないのに、「予行練習な?」って、ギュッと私の手を握ったまま、奏芽さんが歩き出した。
私は彼に手を引かれるようにして、斜め後方をついて歩くので精一杯。
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