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特典②『男の人って』
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「その彼がどうしたって?」
だから凜子、何でいちいちうつむいて赤くなる?
ちょいちょい頬を染めてはうつむく凜子に、俺まで何かあてられそうなんだけど。
「その彼……四季ちゃんと……えっと……し、してるって」
「してるって――」
何を?と問おうとして、俺はハッとする。
さっき凜子が「男は定期的に出さないと」と言ったのと、今のセリフが頭ん中で繋がったからだ。
「凜子、もしかして……それって――」
「に、肉体関係の話ですっ」
凜子に言わせたくなくて先手を打とうとしたのに、何故真っ赤な顔をしながら言うんだ。
そう言うのは年長者の俺に任せておけばよくないか?
思ったけれど言っちまったもんは仕方ない。
「ああ、そう……なの」
凜子と片山さんは同級生のはずだ。だとしたら――。
「なぁ凜子。片山さんって浪人とか」
「してません」
ってことはまだギリギリ10代か。
10代に手を出すなよ、ギリギリ20代。
凜子が言いたいことが段々分かってきて、俺はどうしたもんかな……と考える。
「それで……うちは私が二十歳になるまでそういうのはしないことにしてるって話したら――」
あー。最初に戻るわけね。
「奏芽さん……。四季ちゃんが言ったことって……その、本当ですか?」
挑むように俺を見つめてくる眼差しがヤケに痛い。
さっきまで真っ赤になってソワソワしていた女の子はどこへ行ったんだ?
「定期的に出さねぇと、ってやつ?」
ここはもう、俺が開き直るしかねぇよな。
ハンドルにもたれかかるようにしていた身体の向きを変えて、凜子の方を向くと、彼女の手をギュッと握って顔を見つめる。
「……っ、」
途端、真っ赤な顔をして身体を目一杯窓の方へ倒すと、それでも凜子は俺の問いかけに小さくうなずいた。
「まぁ、出さねぇと確かにヤバイかな~」
言ったら、「ば、爆発しちゃうって聞いたんですけど!」とか。
ちょっ、片山さん、凜子のこと、からかいすぎだろ。
「奏芽さん、そのっ、だっ、だっ、だ……」
「だ?」
「……出、さ……なく、て……大丈夫なんですかっ?」
泣きそうな顔をして俺を見つめてくる凜子が可愛くて、俺は思わず笑いそうになる。けど、真剣な凜子に対してそれはダメだ。
おい。何の罰ゲームだよ、これ。
俺、自分で処理するから大丈夫だよ、とかリアルに説明していいわけ?
それともメルヘンチックに誤魔化すべきなの?
俺を見つめる凜子の目からポロリと涙が落ちて、俺はほとほと困り果てる。
「あんな、凜子――」
さて、どう返すべきか。
ただひとつ絶対だと言い切れることがあるとすれば……それでも俺はこの初心で、純粋で、馬鹿がつくくらい真面目な彼女が。
名実ともに二十歳を越えるまでは、何があっても絶対に手出しはしないってこと。
え? 爆発するかもしれないって?
上等なんじゃね?
今まで俺が遊びまくってきたのは、もしかしたら今の状況に耐える力を身につけるためだったんじゃないかと、そんな風にさえ思うんだ。
なぁ凜子。
俺は大丈夫だって。
だから、な? とりあえず泣きやめよ。
END(2020/07/28)
だから凜子、何でいちいちうつむいて赤くなる?
ちょいちょい頬を染めてはうつむく凜子に、俺まで何かあてられそうなんだけど。
「その彼……四季ちゃんと……えっと……し、してるって」
「してるって――」
何を?と問おうとして、俺はハッとする。
さっき凜子が「男は定期的に出さないと」と言ったのと、今のセリフが頭ん中で繋がったからだ。
「凜子、もしかして……それって――」
「に、肉体関係の話ですっ」
凜子に言わせたくなくて先手を打とうとしたのに、何故真っ赤な顔をしながら言うんだ。
そう言うのは年長者の俺に任せておけばよくないか?
思ったけれど言っちまったもんは仕方ない。
「ああ、そう……なの」
凜子と片山さんは同級生のはずだ。だとしたら――。
「なぁ凜子。片山さんって浪人とか」
「してません」
ってことはまだギリギリ10代か。
10代に手を出すなよ、ギリギリ20代。
凜子が言いたいことが段々分かってきて、俺はどうしたもんかな……と考える。
「それで……うちは私が二十歳になるまでそういうのはしないことにしてるって話したら――」
あー。最初に戻るわけね。
「奏芽さん……。四季ちゃんが言ったことって……その、本当ですか?」
挑むように俺を見つめてくる眼差しがヤケに痛い。
さっきまで真っ赤になってソワソワしていた女の子はどこへ行ったんだ?
「定期的に出さねぇと、ってやつ?」
ここはもう、俺が開き直るしかねぇよな。
ハンドルにもたれかかるようにしていた身体の向きを変えて、凜子の方を向くと、彼女の手をギュッと握って顔を見つめる。
「……っ、」
途端、真っ赤な顔をして身体を目一杯窓の方へ倒すと、それでも凜子は俺の問いかけに小さくうなずいた。
「まぁ、出さねぇと確かにヤバイかな~」
言ったら、「ば、爆発しちゃうって聞いたんですけど!」とか。
ちょっ、片山さん、凜子のこと、からかいすぎだろ。
「奏芽さん、そのっ、だっ、だっ、だ……」
「だ?」
「……出、さ……なく、て……大丈夫なんですかっ?」
泣きそうな顔をして俺を見つめてくる凜子が可愛くて、俺は思わず笑いそうになる。けど、真剣な凜子に対してそれはダメだ。
おい。何の罰ゲームだよ、これ。
俺、自分で処理するから大丈夫だよ、とかリアルに説明していいわけ?
それともメルヘンチックに誤魔化すべきなの?
俺を見つめる凜子の目からポロリと涙が落ちて、俺はほとほと困り果てる。
「あんな、凜子――」
さて、どう返すべきか。
ただひとつ絶対だと言い切れることがあるとすれば……それでも俺はこの初心で、純粋で、馬鹿がつくくらい真面目な彼女が。
名実ともに二十歳を越えるまでは、何があっても絶対に手出しはしないってこと。
え? 爆発するかもしれないって?
上等なんじゃね?
今まで俺が遊びまくってきたのは、もしかしたら今の状況に耐える力を身につけるためだったんじゃないかと、そんな風にさえ思うんだ。
なぁ凜子。
俺は大丈夫だって。
だから、な? とりあえず泣きやめよ。
END(2020/07/28)
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