【完結】【R18】私のおさげをほどかないで!

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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特典②『男の人って』

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 大学まで凜子りんこを迎えに行った車中。
 彼女のバイトの時間までまだ少し時間があるしってことで、うちの小児科が契約している月極つきぎめ駐車場の一角に車を停めて、凜子とほんの少しお喋りタイム。

 お互い忙しい俺たちにとって、日々の中に時折挟み込まれるこういう隙間みたいな時間は結構大事で。

 いつもならその日にあった、他愛のない報告なんかをし合って盛り上がるひと時なんだけど、今日は少し様子が違っていた。


***


「あのね、奏芽かなめさん、四季しきちゃんが……男の人は定期的に……その……だ、大変なことになるって言うんですけど……」

 どうやら俺がド派手に大学の正門前に凜子りんこを迎えに行ったことがきっかけになって、ようやく彼女にも幾人かの気のおけない友達ができたらしい。

 その火付け役になったのが、いま凜子の口から名前の上がった「片山かたやま四季しき」と言うらしく――。
 何人か名前が上がる友人たちのなかで、ダントツで登場回数が多いことからかんがみるに、1番仲がいいのがその子なんだと思う。

 片山さんとは、俺も凜子に会いに大学へ行った時に1度だけ会ったことがある。

 前下がりのショートマッシュを、ココアベージュに染めた彼女は、黒のノースリーブに白のワイドパンツといったシンプルな装いを大人顔負けの色香で着こなしていた。
 一見大人しめで真面目女子な凜子とは接点のなさそうなタイプに見えたが、凜子が言うには彼女は俺とどこか似ているらしい。

 初対面ですぐ下の名前を聞いてきたり、妙に押しが強いところとか、本当ソックリで驚きました!と言われた俺は、凜子りんこがその子を選んだことを喜ぶべきなのか正直戸惑った。

***

 男の人は定期的に出さないと、の話を一旦横へ避けるように、凜子が話題を変える。

四季しきちゃんも歳の離れた彼氏さんと付き合ってるって……前に話しましたよね?」

 何だ、凜子。お前、俺に何の話をしようとしてるんだ?

 ソワソワと落ち着かない様子で俺を見つめてくる凜子に、胸騒ぎを覚える。

 片山さん、無垢むくで奥手な俺の凜子に何を吹き込んだ?

「確か……10歳差だっけ?」

 凜子に緊張が伝わらないように、努めて平静を装って問いかけたら、「そう、10歳差です」と言って、またしても言いにくそうにうつむく。

 凜子と片山さんが特に親しくなった要因の最たるものが、この、お互いに歳の離れた彼氏がいるということにあるというのは、俺も何となく理解している。
 同年代の男と付き合うのとは、やはり少し勝手が違うところがあるんだろう。
 若くて経験値が低い分、彼女らが同じような境遇の者同士で〝情報の共有〟をはかりたくなる、というのは俺も理解にかたくない。

 そう、難くはないんだが――。
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