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きっかけを求めて
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4月になって、私は晴れて大学2年生に進級できた。
もちろん、大学には毎日ちゃんと通えている。
けれど、未だに外を1人で歩くことに抵抗があって、新年度が始まって、数日しか経っていないのだけれど、焦燥感ばかりが募るの。
何故なら――。
通学ルートはマンションから徒歩数分の、しかも比較的人通りが多い道。
バスで通学しないといけないような、以前のアパートよりずいぶん近くなったし、当然あの空き家の前も通過したりしない。
道自体も国道に面した歩道ばかりで、常に横をひっきりなしに車が通っていて、同じ大学へ通う学生たちだって、歩道をたくさん歩いている感じ。
なのに、1人でそんな通路を歩くだけで、心臓がバクバクして苦しくなる。
思わず道端にうずくまらないといけなくなるぐらい、足元がぐらぐらして目眩で立っていられなくなる。
結果、私を心配してくれた四季ちゃんが家まで迎えにきてくれて、一緒に行く感じになってしまっている。
四季ちゃんが所用でどうしても連れ立って行けなかった昨日は、奏芽さんが出勤時間を遅らせて私を大学まで送り届けてくれたんだけど。
私を大学まで送った足で、奏芽さん、診察時間に間に合うように急いで病院に戻らなくちゃいけなくて。
それ、院長先生(奏芽さんのお父様)やスタッフの皆さんが協力してくださったから何とか実現できたけれど、普通に考えたら何度もあっていいことじゃないの。
大学から鳥飼小児科医院までは車で片道約20分。
乗り降りなんかのタイムロスを入れると、30分近く余分な時間を奏芽さんに取らせてしまう。
その間、奏芽さんの小児科医としての時間を停止させてしまっていると思うと、申し訳なくてたまらないの。
こんなことではいけない、と思うのに。
自分でもどうしたらいいのか分からなくて、もどかしさに泣きたくなってしまう。
周りのみんなが「焦らなくていい」「大丈夫だよ」って言ってくれるたび、それが有難い反面、その優しさに甘えていてはダメだと強く思うの。
身体の方の傷はほぼ癒えた――まだ足首にはアザが残ってしまっているけれど――のに、心がそれに伴っていないとか。
いつも、物陰からまたあの男が出てきて捕らえられてしまうんじゃないかと、そんなことばかり思ってしまう自分が嫌になる。
私は……あの男に捕まった時、何が一番怖かったんだろう?
気がつくと私、そんなことを考えることが増えていて――。
ひとつだけ、何が一番怖かったのか、思い当たることがあることに気づいたの。
もちろん、大学には毎日ちゃんと通えている。
けれど、未だに外を1人で歩くことに抵抗があって、新年度が始まって、数日しか経っていないのだけれど、焦燥感ばかりが募るの。
何故なら――。
通学ルートはマンションから徒歩数分の、しかも比較的人通りが多い道。
バスで通学しないといけないような、以前のアパートよりずいぶん近くなったし、当然あの空き家の前も通過したりしない。
道自体も国道に面した歩道ばかりで、常に横をひっきりなしに車が通っていて、同じ大学へ通う学生たちだって、歩道をたくさん歩いている感じ。
なのに、1人でそんな通路を歩くだけで、心臓がバクバクして苦しくなる。
思わず道端にうずくまらないといけなくなるぐらい、足元がぐらぐらして目眩で立っていられなくなる。
結果、私を心配してくれた四季ちゃんが家まで迎えにきてくれて、一緒に行く感じになってしまっている。
四季ちゃんが所用でどうしても連れ立って行けなかった昨日は、奏芽さんが出勤時間を遅らせて私を大学まで送り届けてくれたんだけど。
私を大学まで送った足で、奏芽さん、診察時間に間に合うように急いで病院に戻らなくちゃいけなくて。
それ、院長先生(奏芽さんのお父様)やスタッフの皆さんが協力してくださったから何とか実現できたけれど、普通に考えたら何度もあっていいことじゃないの。
大学から鳥飼小児科医院までは車で片道約20分。
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その間、奏芽さんの小児科医としての時間を停止させてしまっていると思うと、申し訳なくてたまらないの。
こんなことではいけない、と思うのに。
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いつも、物陰からまたあの男が出てきて捕らえられてしまうんじゃないかと、そんなことばかり思ってしまう自分が嫌になる。
私は……あの男に捕まった時、何が一番怖かったんだろう?
気がつくと私、そんなことを考えることが増えていて――。
ひとつだけ、何が一番怖かったのか、思い当たることがあることに気づいたの。
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