149 / 283
お母さんの秘密
4
しおりを挟む
「私が奏芽さんの病院近くのコンビニでバイトしてて……それで」
恐る恐るつぶやくようにそう言ったら、「バイト……」ってお母さんが少し悲しそうな顔をするの。
「あ、私、勉強はおろそかにしなかったし……それに……働くの、楽しいなって思えたよ?」
お母さんが母子家庭で私に不自由させているんじゃないかと引け目に思っているのは時折感じていたから。
子供の頃、お母さんが私の身だしなみにとても厳しかったのも、今思えば片親だから乱れているとか言われたくなくてだったのかな?って大きくなって気が付いた。
だから、そうじゃないよって伝えたくて。
本当言うと私、お母さんからの仕送りだけで生活できなかったわけじゃない。
そりゃあ慎ましやかに暮らす必要はあっただろうけれど……私はお母さんに少しでも自分のためにお金を使ってもらいたかったから。
だからバイトをしてお母さんからの仕送りを少しずつ貯金していたの。
余らせて貯めたお金は大学卒業後にお母さんに親孝行するつもりで。
「ホントに無理はしてないのね?」
確認するように見つめられて、テーブルに置いていた手にそっと触れられた私は、こくりとうなずいた。
「それで……今日はどういう? 彼氏ができました報告……にしては少し仰々しい気がするのだけど」
お母さんが言いながら、まるで乾いた口を潤すみたいにコーヒーを一口飲んだ。お母さんも緊張してるのかな?
それを見て、私もあらかじめミルクたっぷり、砂糖なしで出されたカフェオレを口に含んで、懐かしいなって思って。
ふと奏芽さんのカップを見ると、ブラックコーヒーにお砂糖とミルクが添えられていたから、最初からカフェオレになっているのは私のだけみたい。
離れていてもお母さんは私の好みを忘れていないんだって思ったら、何だか胸の奥がじんとした。
そのお母さんに……変な男に拘束されて怖い目に遭わされたと話すことは、とてもいけないことに思えて。
奏芽さんも私も、その話をしないで同棲の許可を取り付けられたらベストだと考えていたの。
恐る恐るつぶやくようにそう言ったら、「バイト……」ってお母さんが少し悲しそうな顔をするの。
「あ、私、勉強はおろそかにしなかったし……それに……働くの、楽しいなって思えたよ?」
お母さんが母子家庭で私に不自由させているんじゃないかと引け目に思っているのは時折感じていたから。
子供の頃、お母さんが私の身だしなみにとても厳しかったのも、今思えば片親だから乱れているとか言われたくなくてだったのかな?って大きくなって気が付いた。
だから、そうじゃないよって伝えたくて。
本当言うと私、お母さんからの仕送りだけで生活できなかったわけじゃない。
そりゃあ慎ましやかに暮らす必要はあっただろうけれど……私はお母さんに少しでも自分のためにお金を使ってもらいたかったから。
だからバイトをしてお母さんからの仕送りを少しずつ貯金していたの。
余らせて貯めたお金は大学卒業後にお母さんに親孝行するつもりで。
「ホントに無理はしてないのね?」
確認するように見つめられて、テーブルに置いていた手にそっと触れられた私は、こくりとうなずいた。
「それで……今日はどういう? 彼氏ができました報告……にしては少し仰々しい気がするのだけど」
お母さんが言いながら、まるで乾いた口を潤すみたいにコーヒーを一口飲んだ。お母さんも緊張してるのかな?
それを見て、私もあらかじめミルクたっぷり、砂糖なしで出されたカフェオレを口に含んで、懐かしいなって思って。
ふと奏芽さんのカップを見ると、ブラックコーヒーにお砂糖とミルクが添えられていたから、最初からカフェオレになっているのは私のだけみたい。
離れていてもお母さんは私の好みを忘れていないんだって思ったら、何だか胸の奥がじんとした。
そのお母さんに……変な男に拘束されて怖い目に遭わされたと話すことは、とてもいけないことに思えて。
奏芽さんも私も、その話をしないで同棲の許可を取り付けられたらベストだと考えていたの。
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~
けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。
してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。
そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる…
ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。
有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。
美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。
真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。
家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。
こんな私でもやり直せるの?
幸せを願っても…いいの?
動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?
偽装溺愛 ~社長秘書の誤算~
深冬 芽以
恋愛
あらすじ
俵理人《たわらりひと》34歳、職業は秘書室長兼社長秘書。
女は扱いやすく、身体の相性が良ければいい。
結婚なんて冗談じゃない。
そう思っていたのに。
勘違いストーカー女から逃げるように引っ越したマンションで理人が再会したのは、過去に激しく叱責された女。
年上で子持ちのデキる女なんて面倒くさいばかりなのに、つい関わらずにはいられない。
そして、互いの利害の一致のため、偽装恋人関係となる。
必要な時だけ恋人を演じればいい。
それだけのはずが……。
「偽装でも、恋人だろ?」
彼女の甘い香りに惹き寄せられて、抗えない――。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる