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お母さんの秘密
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***
明日、お母さんは私の大好きなこの人を見て、どんな反応をするんだろう。
すごく不安だけど、例えどんなに反対されたとしても、私は奏芽さんと離れたくないし、離れられない。
恋愛にうとくて奥手だった私が、こんな風に一人の男性に執着する日がくるだなんて、それこそ地元を離れる時には思いもしなかった。
のぶちゃんのことを好きだと思っていた気持ちは、奏芽さんを思うこの気持ちに比べるととっても微弱で稚拙なものだったんだなって、自覚した。
***
昨夜はツインのお部屋だったので、奏芽さんとはもちろん寝床も別々で。
それでもドキドキして眠れなかったのは、マンションでは私と奏芽さん、違うお部屋で寝起きしているからかな。
ベッドは別々でも同じ室内――それもすぐそこに彼がいるということに、とても緊張して余り眠れませんでした。
衣擦れの音や息遣いが気になって気になって。
何度も「奏芽さん起きてますか?」だの「凜子、もう寝たか?」だのふたりで応酬しまくりで、多分奏芽さんもそんなに眠れなかったんじゃないかな?
***
いつもはラフな格好を好む奏芽さんが、今日はスーツにネクタイまで締めていらして、それだけで何だか私まで気持ちが引き締まる。
あまりに素敵すぎて、照れ隠しに「そんな畏まらなくても」ってソワソワしたら「第一印象、大事だろ?」って言うの。
そのために髪型まできっちりしたんだから服も気合い入れねぇと片手落ちだとニヤリと笑う奏芽さんが本当に眩しくて。
なのにそんなきっちりスタイルの奏芽さんが、堪えきれないようにあくびをかみ殺しながら車に乗り込むのを見て、私もつられて小さくあくびを漏らしながら思った。
やっぱりレンタカーと新幹線の組み合わせにして正解だった、って。
***
「眠い?」
聞かれて私は小さくうなずいた。
「奏芽さんは?」
聞いたら眉根を寄せてはぁ、っと溜め息を落とされた。
「凜子が同じ部屋にいると思ったらなかなか、な? けど……これから凜子のお母さんに会うと思ったら段々気分が引き締まって覚醒してきたわ」
ハンドルにもたれかかるようにして助手席に座る私の方に手を伸ばしていらした奏芽さんに、優しく頬を撫でられる。
「ハルも……うちの親に挨拶した時、こんな気持ちだったんかなぁ」
ポツリと落とされた言葉に、私は瞳を見開いた。
「霧島さんも?」
問いかけたら「あ、違うわ。あいつらん時、鳥飼の親が霧島の親を家に招いてごちゃごちゃになったんだった」って苦笑するの。
奏芽さんたちが仲良しなのは、親御さん同士がお隣同士で、元々仲が良かったからだとお聞きしたのを思い出す。
「わー、何だよ、俺のほうがハードル高ぇじゃん」
そこで私をギュッと抱きしめて、
「凜子、ごめん。少しこのまま……」
そう言った奏芽さんが、ほんの少し震えているように感じられるのは気のせい?
緊張してます?と言う言葉は口に出さず、そっと心中に留めておいた。
私も……奏芽さん同様緊張していますよ?と言う気持ちとともに。
明日、お母さんは私の大好きなこの人を見て、どんな反応をするんだろう。
すごく不安だけど、例えどんなに反対されたとしても、私は奏芽さんと離れたくないし、離れられない。
恋愛にうとくて奥手だった私が、こんな風に一人の男性に執着する日がくるだなんて、それこそ地元を離れる時には思いもしなかった。
のぶちゃんのことを好きだと思っていた気持ちは、奏芽さんを思うこの気持ちに比べるととっても微弱で稚拙なものだったんだなって、自覚した。
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昨夜はツインのお部屋だったので、奏芽さんとはもちろん寝床も別々で。
それでもドキドキして眠れなかったのは、マンションでは私と奏芽さん、違うお部屋で寝起きしているからかな。
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いつもはラフな格好を好む奏芽さんが、今日はスーツにネクタイまで締めていらして、それだけで何だか私まで気持ちが引き締まる。
あまりに素敵すぎて、照れ隠しに「そんな畏まらなくても」ってソワソワしたら「第一印象、大事だろ?」って言うの。
そのために髪型まできっちりしたんだから服も気合い入れねぇと片手落ちだとニヤリと笑う奏芽さんが本当に眩しくて。
なのにそんなきっちりスタイルの奏芽さんが、堪えきれないようにあくびをかみ殺しながら車に乗り込むのを見て、私もつられて小さくあくびを漏らしながら思った。
やっぱりレンタカーと新幹線の組み合わせにして正解だった、って。
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「眠い?」
聞かれて私は小さくうなずいた。
「奏芽さんは?」
聞いたら眉根を寄せてはぁ、っと溜め息を落とされた。
「凜子が同じ部屋にいると思ったらなかなか、な? けど……これから凜子のお母さんに会うと思ったら段々気分が引き締まって覚醒してきたわ」
ハンドルにもたれかかるようにして助手席に座る私の方に手を伸ばしていらした奏芽さんに、優しく頬を撫でられる。
「ハルも……うちの親に挨拶した時、こんな気持ちだったんかなぁ」
ポツリと落とされた言葉に、私は瞳を見開いた。
「霧島さんも?」
問いかけたら「あ、違うわ。あいつらん時、鳥飼の親が霧島の親を家に招いてごちゃごちゃになったんだった」って苦笑するの。
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「わー、何だよ、俺のほうがハードル高ぇじゃん」
そこで私をギュッと抱きしめて、
「凜子、ごめん。少しこのまま……」
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