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お互いのスマホに
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バイトが終わる直前。
奏芽さんがセレストアに入っていらして、レジにいた私に適当に選んだっぽい商品を渡しながら
「凜子、夕方は迎えに行けなくて悪かったな」
って謝るの。
その会計を終えた私に、谷本くんが「もう終わりの時間だし、僕のことは気にせず帰りなよ」って言ってくれて。
交代の人も入ってきてくれたし、いつもなら谷本くんと一緒に裏に入る所だけど、今日はその言葉に素直に甘えて、そそくさと先に行かせてもらって。
制服を脱ぐ間も惜しくて、そのままコートを羽織った。
今日はアパートに戻らず、大学から直接ここへ送って頂いたので、荷物がいつもより多くて重い。
でも、そんなのも気にならないぐらい、心が浮き足立って。
「谷本くん、有難う。――お先に失礼します」
ちょうど私と入れ替わりに裏に入って来た谷本くんにすれ違いざまそう言って、裏口からではなく店舗側から外を目指す。……と、休憩室から出てきた私に気付いた奏芽さんが、すぐにそばまで来てくれて。
まだお店の中だというのに荷物を持ってくれるなり、空いた方の手でギュッと手を握られてしまった。
「あ、あのっ」
さすがに恥ずかしくて声をかけたけれど、奏芽さんは聞こえないみたいに振り返らないまま、私の手を引っ張って車を目指して。
私は少し小走りで、そんな彼の後をついて行ったの。
車に乗り込むなり運転席から伸びてきた奏芽さんの腕の中にギュッと抱きしめられて。
「――怖い思い、しなかったか?」
って問いかけられた。
絞り出すようなその声が切なくて苦しくて。
私、大好きな奏芽さんにこんな声を出させてしまうことの方が、自分が昼間に感じた恐怖より数倍辛く感じられた。
「だっ、大丈夫です。夕方も霧島さんご家族にここまで送っていただきましたし、バイト中も谷本くんがずっと気遣ってくれて1人にはなりませんでした」
努めて明るい声音でそう答えたら、奏芽さんが、
「ずっと付いててやれなくてごめんな」
って言うの。
私は彼の言葉に正直驚いてしまった。
「そ、そんなの当たり前じゃないですか。奏芽さんには奏芽さんの生活があるんですから」
これは本当の話。
だってそうでしょう?
私のために、もし奏芽さんがお仕事に穴とか開けてしまったら、彼のことを頼りにしている子供達が困ってしまうもの。
「――それでも! ……俺、好きな女も自分で守れないってのがさ、すげぇ嫌なんだよ」
いつになく奏芽さんが弱気な気がして。
耳元でつぶやかれた声が、私の胸をギュッと締め付けてくる。
バイトが終わる直前。
奏芽さんがセレストアに入っていらして、レジにいた私に適当に選んだっぽい商品を渡しながら
「凜子、夕方は迎えに行けなくて悪かったな」
って謝るの。
その会計を終えた私に、谷本くんが「もう終わりの時間だし、僕のことは気にせず帰りなよ」って言ってくれて。
交代の人も入ってきてくれたし、いつもなら谷本くんと一緒に裏に入る所だけど、今日はその言葉に素直に甘えて、そそくさと先に行かせてもらって。
制服を脱ぐ間も惜しくて、そのままコートを羽織った。
今日はアパートに戻らず、大学から直接ここへ送って頂いたので、荷物がいつもより多くて重い。
でも、そんなのも気にならないぐらい、心が浮き足立って。
「谷本くん、有難う。――お先に失礼します」
ちょうど私と入れ替わりに裏に入って来た谷本くんにすれ違いざまそう言って、裏口からではなく店舗側から外を目指す。……と、休憩室から出てきた私に気付いた奏芽さんが、すぐにそばまで来てくれて。
まだお店の中だというのに荷物を持ってくれるなり、空いた方の手でギュッと手を握られてしまった。
「あ、あのっ」
さすがに恥ずかしくて声をかけたけれど、奏芽さんは聞こえないみたいに振り返らないまま、私の手を引っ張って車を目指して。
私は少し小走りで、そんな彼の後をついて行ったの。
車に乗り込むなり運転席から伸びてきた奏芽さんの腕の中にギュッと抱きしめられて。
「――怖い思い、しなかったか?」
って問いかけられた。
絞り出すようなその声が切なくて苦しくて。
私、大好きな奏芽さんにこんな声を出させてしまうことの方が、自分が昼間に感じた恐怖より数倍辛く感じられた。
「だっ、大丈夫です。夕方も霧島さんご家族にここまで送っていただきましたし、バイト中も谷本くんがずっと気遣ってくれて1人にはなりませんでした」
努めて明るい声音でそう答えたら、奏芽さんが、
「ずっと付いててやれなくてごめんな」
って言うの。
私は彼の言葉に正直驚いてしまった。
「そ、そんなの当たり前じゃないですか。奏芽さんには奏芽さんの生活があるんですから」
これは本当の話。
だってそうでしょう?
私のために、もし奏芽さんがお仕事に穴とか開けてしまったら、彼のことを頼りにしている子供達が困ってしまうもの。
「――それでも! ……俺、好きな女も自分で守れないってのがさ、すげぇ嫌なんだよ」
いつになく奏芽さんが弱気な気がして。
耳元でつぶやかれた声が、私の胸をギュッと締め付けてくる。
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