【完結】【R18】私のおさげをほどかないで!

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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転ばぬ先の杖?

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「ってことがあって……」

 お昼休み。

 四季しきちゃんと並んで学生ホールで昼食を食べながら、私は奏芽かなめさんに言えず仕舞いになっている、バイト先やその行きしなの違和感を四季ちゃんに訴えた。

 10月に入ったあたりから、寒さに耐えられなくなってきて、私は中庭でお弁当を食べるのを断念したの。情けないけど暖房がある屋内に引きこもり気味な……そんな毎日です。

 晩秋から今に至るまでの数ヶ月間、私は中庭が見渡せる学生ホールここや、少し離れた棟にある学食のテーブルで、四季ちゃんと一緒に昼食を摂っている。

 四季ちゃん、人見知りの私を気遣ってか、昼食時だけは2人きりになれるように他の友達から離れる配慮をしてくれているみたいで。
 一度「いいの?」って聞いたら、「私も他の子たちにはあまり年上の彼氏の話できないから、お昼くらいは凜子りんこちゃんと2人きりがいいの」って笑ってくれた。
 誰とでも仲良くなれる四季ちゃんも、相手によって話を選んでいるというのは何だか新鮮で、そこだけは2人の秘密みたいに思えて嬉しかったの。

 私も四季ちゃんがいてくれるから、中庭よりはるかに人がたくさんいる屋内ここでお弁当を広げられている気がする。
 もし今も一人ぼっちだったら、人気のなさそうな空き教室を探して、お昼のたびに彷徨さまよっていたかも知れない。

 それにしても。
 屋内にいても足元が冷える気がするのは、私が生粋きっすいの寒がりだから、かな。
 今日の四季しきちゃんはセーターの下にミニスカート。それにタイツを合わせて、くるぶしなんてむき出しのブーティーという結構寒そうな格好で。なのに平気そうなのがすごいなって思った。
 逆に私はというと、タートルネックにもこもこセーターを重ねて、くるぶしまでのロングスカートにムートンのハイカットスニーカーという出で立ち。それなのに寒くて堪らないとか、ちょっぴり情けない。

 ポケットに忍ばせた携帯カイロをモミモミしながら四季ちゃんを見つめたら、
「何それ、かなり気持ち悪いんだけど!」
 話し終えるなり、四季ちゃんが物凄く怖い顔をして私を見つめてきた。

「えっ」
 その剣幕に気圧けおされて、ポケットの中のカイロをギュッと握りしめたら、「もちろん、彼氏には話してるんだよね?」と畳み掛けられる。

「あ、えっと……、実は、まだ……」
 言えてなくて……とゴニョゴニョ口籠くちごもったら、「ちょっ、マジ!? 信じられない! 今すぐ電話して!」って怖い顔をされてしまった。
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