79 / 283
*余裕なんてあると本気で思ってんの?
1
しおりを挟む
のぶちゃんとサヨナラして家に入ったと同時に、スマホが鳴った。
「――か、なめさっ!?」
画面に表示された「鳥飼奏芽」という発信者名を見て、ドクン!と心臓が跳ねる。
そう言えば「帰りました」というメッセージには既読、ついたのかな?
あの後バタバタしてしまって、それすら確認出来ていない。
でも着信があるということは、少なくとも奏芽さんはミーティングを終えられたんだと思う。
電話の鳴るタイミングが良すぎて、もしかしてどこかで見てらしたり?と思ったけれど、奏芽さんの性格からして、それならきっと姿を現していたと思う。
奏芽さんに隠れてのぶちゃんとふたりきりで会ってしまったことは、理由はどうあれとても後ろめたくて……私はきっと、見られていないと思いたいんだ。
そんなあれこれでソワソワしながら電話に出たら、「凜子、いま何してた?」と、いつもより更に低音に聞こえる抑えめの声音で問いかけられた。
「あ、あのっ、家にいて……それでっ」
その雰囲気に気圧されて、思わず声が震えてしまう。
「か、奏芽さんは――」
何をしていたのか?という質問に咄嗟に答えられなくて、思わず誤魔化すみたいに同じ質問を投げかけたら、気のせいかな。電話口から舌打ちが聞こえた気がしたの。
「凜子、すぐ出てこられるよな?」
奏芽さんが、どこか感情の起伏に乏しい声でそう問いかけてくる。
その有無を言わせない言い方に呑まれて、即座に「はい」と答えてしまっていた。
どの道のぶちゃんと出かけるつもりで支度はしてあったし……問題はない……はず。
ただ、髪型が……、とぼんやり思ったところで、奏芽さんが「すぐ出てこられるよな?」と決めつけるような物言いをしたことに気がついて、心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。
そう言えば奏芽さんも、私からの「何をしていたのか?」という質問に答えてくれていない。
「あ、あの……」
恐る恐る奏芽さんに呼び掛けたところでチャイムが鳴って――。
その音に、私はビクッと身体を震わせる。
電話中に来訪者があるこの感じ、さっきも経験したばかりだ。
「凜子、俺だ。――ドア、開けろ」
ついで電話口から聞こえてきた声に、私は絶望に似た感情を覚えたの。
奏芽さん、多分――。
「――か、なめさっ!?」
画面に表示された「鳥飼奏芽」という発信者名を見て、ドクン!と心臓が跳ねる。
そう言えば「帰りました」というメッセージには既読、ついたのかな?
あの後バタバタしてしまって、それすら確認出来ていない。
でも着信があるということは、少なくとも奏芽さんはミーティングを終えられたんだと思う。
電話の鳴るタイミングが良すぎて、もしかしてどこかで見てらしたり?と思ったけれど、奏芽さんの性格からして、それならきっと姿を現していたと思う。
奏芽さんに隠れてのぶちゃんとふたりきりで会ってしまったことは、理由はどうあれとても後ろめたくて……私はきっと、見られていないと思いたいんだ。
そんなあれこれでソワソワしながら電話に出たら、「凜子、いま何してた?」と、いつもより更に低音に聞こえる抑えめの声音で問いかけられた。
「あ、あのっ、家にいて……それでっ」
その雰囲気に気圧されて、思わず声が震えてしまう。
「か、奏芽さんは――」
何をしていたのか?という質問に咄嗟に答えられなくて、思わず誤魔化すみたいに同じ質問を投げかけたら、気のせいかな。電話口から舌打ちが聞こえた気がしたの。
「凜子、すぐ出てこられるよな?」
奏芽さんが、どこか感情の起伏に乏しい声でそう問いかけてくる。
その有無を言わせない言い方に呑まれて、即座に「はい」と答えてしまっていた。
どの道のぶちゃんと出かけるつもりで支度はしてあったし……問題はない……はず。
ただ、髪型が……、とぼんやり思ったところで、奏芽さんが「すぐ出てこられるよな?」と決めつけるような物言いをしたことに気がついて、心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。
そう言えば奏芽さんも、私からの「何をしていたのか?」という質問に答えてくれていない。
「あ、あの……」
恐る恐る奏芽さんに呼び掛けたところでチャイムが鳴って――。
その音に、私はビクッと身体を震わせる。
電話中に来訪者があるこの感じ、さっきも経験したばかりだ。
「凜子、俺だ。――ドア、開けろ」
ついで電話口から聞こえてきた声に、私は絶望に似た感情を覚えたの。
奏芽さん、多分――。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。
すずなり。
恋愛
母に仕組まれた『お見合い』。非の打ち所がない相手には言えない秘密が私にはあった。「俺なら・・・守れる。」終わらせてくれる気のない相手に・・私は折れるしかない!?
「こんな溢れさせて・・・期待した・・?」
(こんなの・・・初めてっ・・!)
ぐずぐずに溶かされる夜。
焦らされ・・焦らされ・・・早く欲しくてたまらない気持ちにさせられる。
「うぁ・・・気持ちイイっ・・!」
「いぁぁっ!・・あぁっ・・!」
何度登りつめても終わらない。
終わるのは・・・私が気を失う時だった。
ーーーーーーーーーー
「・・・赤ちゃん・・?」
「堕ろすよな?」
「私は産みたい。」
「医者として許可はできない・・!」
食い違う想い。
「でも・・・」
※お話はすべて想像の世界です。出てくる病名、治療法、薬など、現実世界とはなんら関係ありません。
※ただただ楽しんでいただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
それでは、お楽しみください。
【初回完結日2020.05.25】
【修正開始2023.05.08】
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい
鷹槻れん
恋愛
鳥飼 音芽(とりかいおとめ)は隣に住む幼なじみの霧島 温和(きりしまはるまさ)が大好き。
でも温和は小さい頃からとても意地悪でつれなくて。
どんなに冷たくあしらっても懲りない音芽に温和は…?
表紙絵は雪様に依頼しました。(作品シェア以外での無断転載など固くお断りします)
雪様;
(エブリスタ)https://estar.jp/users/117421755
(ポイピク)https://poipiku.com/202968/
※エブリスタでもお読みいただけます。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
冷徹上司の、甘い秘密。
青花美来
恋愛
うちの冷徹上司は、何故か私にだけ甘い。
「頼む。……この事は誰にも言わないでくれ」
「別に誰も気にしませんよ?」
「いや俺が気にする」
ひょんなことから、課長の秘密を知ってしまいました。
※同作品の全年齢対象のものを他サイト様にて公開、完結しております。
【R18】ドS上司とヤンデレイケメンに毎晩種付けされた結果、泥沼三角関係に堕ちました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向けランキング31位、人気ランキング132位の記録達成※雪村里帆、性欲旺盛なアラサーOL。ブラック企業から転職した先の会社でドS歳下上司の宮野孝司と出会い、彼の事を考えながら毎晩自慰に耽る。ある日、中学時代に里帆に告白してきた同級生のイケメン・桜庭亮が里帆の部署に異動してきて…⁉︎ドキドキハラハラ淫猥不埒な雪村里帆のめまぐるしい二重恋愛生活が始まる…!優柔不断でドMな里帆は、ドS上司とヤンデレイケメンのどちらを選ぶのか…⁉︎
——もしも恋愛ドラマの濡れ場シーンがカット無しで放映されたら?という妄想も込めて執筆しました。長編です。
※連載当時のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる