【完結】【R18】私のおさげをほどかないで!

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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バイバイ、私の初恋の人

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 のぶちゃんは優しい人だから、いくらなんでも私を無理矢理どうこうなんてことはしないと信じてる。

 でも、そう思っていても……のぶちゃんだって男性だし、もしもがないとも言い切れないから……。だから本当にすごく怖かったの。

 のぶちゃんってば、扉が閉まったとき、多分無意識に、だと思うけど、鍵をかけたりするんだもん。

 小さく吐息を落とすと、私は未だ玄関先に突っ立ったままののぶちゃんに声をかけた。

「あのね、のぶちゃん。私、のぶちゃんの気持ちには――」
 そこまで言ったところで、私はのぶちゃんに手を引っ張られて、気がついたら彼の腕の中に抱きしめられていた。
 のぶちゃんの手から、お弁当の入ったビニール袋が音を立てて落ちる。

「えっ、あっ、あのっ、のぶちゃんっ!?」

 ギュッと胸元に身体を押さえつけられて、抗議の声が押しつぶされたようにくぐもって聞こえた。

「外に出たから安心しちゃったの? このアパートの先が袋小路になってるの、知らないわけじゃないよね、りんちゃん」

 言われて腕を緩められた私は、のぶちゃんが指差した先に、彼の車を垣間見る。
 車はのぶちゃんが言ったように、アパートの前の道を数mそのまま行った先の、どん詰まりのところに寄せられて停められていた。

「道の先がないってことはさ、このアパートに用がある人以外はここを訪れないってことだよ?」

 夕闇に包まれつつある、黄昏時たそがれどき
 薄闇の中、廊下のシーリングライトに照らされた中で、のぶちゃんがポツンとつぶやく。

「ホント、腹立たしいくらい凛ちゃんは無防備だ」

 1フロアに2世帯ずつ、計4世帯しかない2階建てのアパート。
 2階同フロアに住んでいるお隣さんは、いつも深夜近くならないと戻ってこないのを、私、経験で知ってる。


りんちゃんが僕に何を言いたいのか……さすがに分かってるつもりだよ。でも――、僕はまだその言葉を君の口から聞きたくないんだ。それを、察してくれない?」

 切なげな顔をしてそう言って、再度私を抱きしめてくるのぶちゃんの身体が小さく震えている。それを感じて、私は彼を無理矢理振りほどくことが出来なくて固まってしまう。

「僕から連絡するって言ったのに――。どうしていつも、凛ちゃんは僕の気持ちなんてお構いなしに思いつきみたいに急に連絡してくるの?」

 痛いぐらいにギュッと強く抱きしめられて、私は言葉に詰まった。

 のぶちゃんが言うとおり。
 私は前にのぶちゃんに連絡した時だって、自分の都合で彼を利用して振り回したの。

「……ごめ、なさ……っ」

 そこはもう謝るしかない。
 だってのぶちゃんの言う通りなんだもの。
 でも――。
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