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バイバイ、私の初恋の人
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最後の講義が終わってスマホを見たら、奏芽さんからメッセージが入っていた。
『ごめんな、凜子。
今日は診察終了後、親父とミーティングすることになって。
遅くなると思うから多分顔見に行けないけど、無事家に帰り着いたらメッセ入れといてもらえねぇかな?』
彼氏ではないはずなのに……まるで彼氏みたい。
いや、もしかしたらお父さん?
母子家庭でお父さんの何たるかがよく分かっていない私は、ふとそんな失礼なことを考えてしまってスマホに向かってごめんなさいをする。
奏芽さんは案外心配性で、まめなところがある人で。
きっと長男気質というやつなのかな?
メッセージを読んで1人クスリと笑っていたら、背後から突然ポンッと肩を叩かれた。
振り返ると、同じクラスの片山四季さんだった。
先日奏芽さんがド派手に正門前にお迎えに来てくれて以来、私は彼女を中心に、何人かのクラスメイトと少しずつだけどお話し出来るようになっていた。
奏芽さんが、何でも話せる友人が出来たらいいなって言ってくれたことがあるけれど、あなたのお陰で叶いそうです。
***
「向井さん、今、すっごく良い顔して笑ってたよ! めっちゃ可愛かった!」
いつもそんな風にしてたら、絶対たくさんお友達できるからね!
そう付け足してくれた片山さんに、私は「有難う」って答えて、小さく会釈をする。
「もぉ~。私、結構たくさん話しかけてるつもりなんだけどなぁ~。そのなかなか距離感が縮まらない感じ! 野良猫を手懐けてるみたいでたまらないんだけど!」
にゃはは、と笑われて、私は思わず吹き出してしまった。
野良猫って。
「ん、良い笑顔。あ、私、同じクラスの片山四季。――って、知ってるか」
話しかけてくるたび自己紹介をしてくれる彼女に、「さすがに覚えますよ」って返したら、「それもそっか」って笑われた。
「で、これも何度も言ってるんだけど! 同級生なんだし、敬語は要らないよ? そうだ! 向井さんって呼んでるからダメなのか! “向井”ってあなた個人の名前じゃないじゃない? 下の名前教えてもらえるかな? 私のことも下の名前で呼んでもらえたら嬉しいし!」
矢継ぎ早に告げられて、彼女はもしや女の子バージョンの奏芽さんなのでは?と既視感を覚えてしまった。
『ごめんな、凜子。
今日は診察終了後、親父とミーティングすることになって。
遅くなると思うから多分顔見に行けないけど、無事家に帰り着いたらメッセ入れといてもらえねぇかな?』
彼氏ではないはずなのに……まるで彼氏みたい。
いや、もしかしたらお父さん?
母子家庭でお父さんの何たるかがよく分かっていない私は、ふとそんな失礼なことを考えてしまってスマホに向かってごめんなさいをする。
奏芽さんは案外心配性で、まめなところがある人で。
きっと長男気質というやつなのかな?
メッセージを読んで1人クスリと笑っていたら、背後から突然ポンッと肩を叩かれた。
振り返ると、同じクラスの片山四季さんだった。
先日奏芽さんがド派手に正門前にお迎えに来てくれて以来、私は彼女を中心に、何人かのクラスメイトと少しずつだけどお話し出来るようになっていた。
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「向井さん、今、すっごく良い顔して笑ってたよ! めっちゃ可愛かった!」
いつもそんな風にしてたら、絶対たくさんお友達できるからね!
そう付け足してくれた片山さんに、私は「有難う」って答えて、小さく会釈をする。
「もぉ~。私、結構たくさん話しかけてるつもりなんだけどなぁ~。そのなかなか距離感が縮まらない感じ! 野良猫を手懐けてるみたいでたまらないんだけど!」
にゃはは、と笑われて、私は思わず吹き出してしまった。
野良猫って。
「ん、良い笑顔。あ、私、同じクラスの片山四季。――って、知ってるか」
話しかけてくるたび自己紹介をしてくれる彼女に、「さすがに覚えますよ」って返したら、「それもそっか」って笑われた。
「で、これも何度も言ってるんだけど! 同級生なんだし、敬語は要らないよ? そうだ! 向井さんって呼んでるからダメなのか! “向井”ってあなた個人の名前じゃないじゃない? 下の名前教えてもらえるかな? 私のことも下の名前で呼んでもらえたら嬉しいし!」
矢継ぎ早に告げられて、彼女はもしや女の子バージョンの奏芽さんなのでは?と既視感を覚えてしまった。
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