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あまみや
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「そっか。じゃあさ、雨宮にテキトーに見繕ってもらうんでいい?」
言いながらも、「あ、お品書き、見る?」って聞いて下さる奏芽さんは、やっぱり大人の男性だなって思ってしまった。
優柔不断で無知な私が困らないよう、さり気なくこれがいいかも?と提案して下さいつつも、それとは他に、何か欲しいものがあれば、という配慮も決して忘れたりしない。
さっき雨宮さんが奏芽さんのことを「遊び人の鳥飼」って揶揄していらしたけれど、そういう浮き名が通っていたのも分かる気がした。
こういう、趣きのあるお店が、どんなものを提供してくれて、一体ひとつひとつの料理がおいくらぐらいの金額設定になっているのかしら?とふと気になった私は、「見てもいいですか?」と奏芽さんに差し出されたお品書きを手に取った。
別に奏芽さんが言った通り、雨宮さんのお勧めで一向に構わないのだけれど……ちょっとした好奇心。
はらりと広げたお品書きは、店主さんの立ち居振る舞いそのままに、手でちぎったみたいな風合いの耳付き和紙。
厚手のそれを二つ折りにして、墨でさらりと品名が並んでいるだけといういかにも実直な雰囲気で。
しかも……金額、書かれてない……とか……。
え!? なに、なに?
こういうお店って基本的に時価おいくらの世界なの?
金額とか気にしちゃうのは無粋なのぉーっ!?
十代の小娘には、一皿100円でクルクルとレーンを回っている様なお寿司の方が、お支払金額を計算しやすくて安心できそうですっ。
ソワソワと奏芽さんを見つめたら、「ん?」って感じで顔を見つめられた。
次いで、私の表情に驚いたみたいに
「凜子、何でそんな親猫とはぐれた子猫みたいな目になってんだよ」
って慌てるの。
そりゃ、お値段の見通しが立たない不安で、迷子の子猫ちゃんにもなりますよ。
だって……金額不明ですよ?
奏芽さん、分かってます?
常連さんなのだから、彼にはこのぐらい食べたら大体おいくら的な相場がインプットされているのかもしれない。
でも私にはないのです。
分かってますか?
「……初めて見た時から思ってたんだけど――」
と、そこで今まで私たちのやりとりに口を挟まなかった雨宮さんが、堪えきれなくなったみたいに唐突に声をかけてきて。
私たちは思わず雨宮さんの方を見た。
「彼女、雰囲気が音芽ちゃんに似てるよな?」
雨宮さんの言葉に私は眺めていたお品書きから顔を上げると、思わず右隣に座る奏芽さんの方を見つめてしまった。
言いながらも、「あ、お品書き、見る?」って聞いて下さる奏芽さんは、やっぱり大人の男性だなって思ってしまった。
優柔不断で無知な私が困らないよう、さり気なくこれがいいかも?と提案して下さいつつも、それとは他に、何か欲しいものがあれば、という配慮も決して忘れたりしない。
さっき雨宮さんが奏芽さんのことを「遊び人の鳥飼」って揶揄していらしたけれど、そういう浮き名が通っていたのも分かる気がした。
こういう、趣きのあるお店が、どんなものを提供してくれて、一体ひとつひとつの料理がおいくらぐらいの金額設定になっているのかしら?とふと気になった私は、「見てもいいですか?」と奏芽さんに差し出されたお品書きを手に取った。
別に奏芽さんが言った通り、雨宮さんのお勧めで一向に構わないのだけれど……ちょっとした好奇心。
はらりと広げたお品書きは、店主さんの立ち居振る舞いそのままに、手でちぎったみたいな風合いの耳付き和紙。
厚手のそれを二つ折りにして、墨でさらりと品名が並んでいるだけといういかにも実直な雰囲気で。
しかも……金額、書かれてない……とか……。
え!? なに、なに?
こういうお店って基本的に時価おいくらの世界なの?
金額とか気にしちゃうのは無粋なのぉーっ!?
十代の小娘には、一皿100円でクルクルとレーンを回っている様なお寿司の方が、お支払金額を計算しやすくて安心できそうですっ。
ソワソワと奏芽さんを見つめたら、「ん?」って感じで顔を見つめられた。
次いで、私の表情に驚いたみたいに
「凜子、何でそんな親猫とはぐれた子猫みたいな目になってんだよ」
って慌てるの。
そりゃ、お値段の見通しが立たない不安で、迷子の子猫ちゃんにもなりますよ。
だって……金額不明ですよ?
奏芽さん、分かってます?
常連さんなのだから、彼にはこのぐらい食べたら大体おいくら的な相場がインプットされているのかもしれない。
でも私にはないのです。
分かってますか?
「……初めて見た時から思ってたんだけど――」
と、そこで今まで私たちのやりとりに口を挟まなかった雨宮さんが、堪えきれなくなったみたいに唐突に声をかけてきて。
私たちは思わず雨宮さんの方を見た。
「彼女、雰囲気が音芽ちゃんに似てるよな?」
雨宮さんの言葉に私は眺めていたお品書きから顔を上げると、思わず右隣に座る奏芽さんの方を見つめてしまった。
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