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あいつって誰?
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しおりを挟む「俺さ、キミが思ってるよりずっと……向井ちゃんのこと気に入ってると思うぜ? ほら。世の中にはさ、一目惚れってのがあんだろ。一目見た瞬間、あー、コイツ、自分のモンにしてぇなぁ、みたいなの。何か俺もよく分んねぇけど、あの日向井ちゃん見た瞬間、ビビッて来たんだよ。だからわざわざあん時――」
そこまで言って私を掴んだ手にほんの少し力を込めると、
「要りもしないあれこれカゴにてんこ盛りにしてキミと少しでも長く話せる機会設けたっちゅーのに。この鈍感娘、全然気付かねぇんだもん。そりゃ、連れとも険悪になんだろ」
そこで、何かを思い出したようにニヤリと笑うと、
「そういう鈍感なところも、この、すぐそばに立った時の身長差も。なんかあいつといるみたいで安心するっちゅーか……。とにかく嬉しくなんだよ」
え? あいつ?
それって……誰かと置き換えて私を見てるってこと?
何、それ。わけ分かんない!
そう思ったら、途端にムカッとして、私は鳥飼さんをキッと睨みつけた。
何でこんなチャラ男相手に私、心かき乱されなきゃいけないの!?
「そういうの、すっごく嫌ですっ! 不愉快です!」
言って、握られたままの手を、もう片方の手を使って無理矢理ほどいた。
掴まれたところがジンジン痛んだけれど、そんなの気にならないぐらい私、腸が煮えくり返っているの。
「あ、おい。待てよ」
言われても、待ってなんてやるもんか。
重いごみを持ってきてくれたとき、あんな汚いのを全く意に介した風もなく手伝ってくれるとか……いい人かもしれないって見直しかけたのに。
危うくほだされてバカを見るところだった。
私は水道のところに彼を残したまま、大股で店舗入り口を目指す。
ホント、何なのよ、あいつって! あいつに似て鈍感だから? 私の身長がその人と同じぐらいだから? だから私といて嬉しい?
はぁ? 意味分かんない! ふざけんな、バカ!!
思ってから、何で私、こんなにムカムカしてるんだろうって不思議になった。
***
バイトを終えて外に出る。
アパートまでそんなに距離はないので私は基本徒歩でセレストアまで通っている。
鳥飼さんとの一件以来、なんだかモヤモヤして気持ちが落ち着かなくて。
何なの、これ。
本当気分悪い。
緒方さんや河野さんも私のピリピリした雰囲気が伝わってしまったのか、結局あれっきり話の続きも出来ず終いで。
色々弁解しておきたいこと、あったんだけどなぁ。
そこまで言って私を掴んだ手にほんの少し力を込めると、
「要りもしないあれこれカゴにてんこ盛りにしてキミと少しでも長く話せる機会設けたっちゅーのに。この鈍感娘、全然気付かねぇんだもん。そりゃ、連れとも険悪になんだろ」
そこで、何かを思い出したようにニヤリと笑うと、
「そういう鈍感なところも、この、すぐそばに立った時の身長差も。なんかあいつといるみたいで安心するっちゅーか……。とにかく嬉しくなんだよ」
え? あいつ?
それって……誰かと置き換えて私を見てるってこと?
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そう思ったら、途端にムカッとして、私は鳥飼さんをキッと睨みつけた。
何でこんなチャラ男相手に私、心かき乱されなきゃいけないの!?
「そういうの、すっごく嫌ですっ! 不愉快です!」
言って、握られたままの手を、もう片方の手を使って無理矢理ほどいた。
掴まれたところがジンジン痛んだけれど、そんなの気にならないぐらい私、腸が煮えくり返っているの。
「あ、おい。待てよ」
言われても、待ってなんてやるもんか。
重いごみを持ってきてくれたとき、あんな汚いのを全く意に介した風もなく手伝ってくれるとか……いい人かもしれないって見直しかけたのに。
危うくほだされてバカを見るところだった。
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はぁ? 意味分かんない! ふざけんな、バカ!!
思ってから、何で私、こんなにムカムカしてるんだろうって不思議になった。
***
バイトを終えて外に出る。
アパートまでそんなに距離はないので私は基本徒歩でセレストアまで通っている。
鳥飼さんとの一件以来、なんだかモヤモヤして気持ちが落ち着かなくて。
何なの、これ。
本当気分悪い。
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