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■お仕事、煮詰まっちゃった?/2022~2023年越し短編
時間がねぇ
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***
「なぁに? お仕事煮詰まっちゃった……?」
問いかけながらゆるゆると身体を起こしたら、信武がチラリとダージリート王子に視線を投げかけた。
リビングではテレビが付きっぱなしなのかな?
ゴーン、ゴーン……と除夜の鐘が聴こえている。
「こら、時間がねぇんだ。理由は後から話してやっから早くしろ」
もう! この人は相変わらず暴君ですね?
それでもそんなところも含めて好きだと感じてしまうのだから、仕方がない。
私は言われたようにほんのちょっぴり口を開いて目を閉じた。
「このくらいで……ぃ、――んっ!」
――このくらいでいい?
そうつむごうとした言葉は、「い」の取っ掛かり辺りで信武からの噛みつくみたいに性急なキスで、彼の口の中へ吸い込まれてしまった。
そのままくちゅっ、とお互いの唾液をかき混ぜるみたいに舌を絡め取られて。
全身が信武の体温にとろけるみたいに熱を帯びてくる。
「ふ、……あっ、し、のぶっ……待っ、ぁんっ」
口付けの角度を深くするのに呼応して、信武の大きな手が私の胸の膨らみをフニフニと甘えるように包み込むから。
私はキュン、と下腹部が疼いてしまう。
「んっ」
そのくせ一番触って欲しい胸のとんがりには指先を掠めてもくれないとか。
なんて意地悪なの!
「信武っ、お願……っ」
切ないくらいにキュンキュン疼く胸の昂りをいじめて欲しいとおねだりしようとしたら、リビングの方から『明けましておめでとうございます!』と言うテレビの声が微かに聞こえてきた。
途端、チュッと私の舌先を優しく吸い上げて、信武がキスを解いて身体を離してしまう。
中途半端に情欲の火を点された私は、唇を濡れ光らせたまま、呆然と彼を見上げて。
「明けましておめでとう、日和美」
ニコッと、まるで不破さんみたいな人畜無害な笑顔を向けられても納得いくわけがない!
ムゥーッと唇を突き出したまま「……ざいます」と小さく返したら「機嫌悪いな?」とキョトンとされて。
そんな顔してるけど、不機嫌の理由、絶対分かってるよね⁉︎と恨めしく思わずにはいられない。
「……信武の意地悪!」
言うなりドサッと寝床に突っ伏して、布団を乱暴に被ったら、「あー、すまん。からかいすぎた」とか。
ほらね、やっぱりわざとじゃん。
「なぁ、機嫌直せよ。――な?」
そおっと布団をはぎ取られて顔を覗き込まれた私は、眉根を寄せて申し訳なさそうにした彼の顔を見ただけで、危うくほだされそうになってしまう。
「――年越しをさ、日和美とキスしながらしたいって思っただけなんだ。ホントすまん。胸、触っちまったのはマジで不可抗力だ。お前があんまりにも色っぽい反応すっから、つい……」
――つい触ったなら……責任とって、そのまま最後まで続けてよぅ。
そんなこと、思っていても言えるわけがないでしょう?
「日和美、明日も仕事だろ? 抱きてぇのは山々だけど無理させらんねぇじゃん?」
吐息まじり。心底残念そうにそう続けられた私は、グイッと信武の胸元を引っ張って、自分から彼に口付けをした。
「明日の朝は私、いつもより勤務開始時刻が1時間くらい遅いの」
年が明けて初めてのキスは私からしたんだから、その先は信武から……。
そんな意味を込めて、私は信武の耳元、聞こえるか聞こえないかのか細い声でそう誘い掛けた。
END(2022/12/31)
「なぁに? お仕事煮詰まっちゃった……?」
問いかけながらゆるゆると身体を起こしたら、信武がチラリとダージリート王子に視線を投げかけた。
リビングではテレビが付きっぱなしなのかな?
ゴーン、ゴーン……と除夜の鐘が聴こえている。
「こら、時間がねぇんだ。理由は後から話してやっから早くしろ」
もう! この人は相変わらず暴君ですね?
それでもそんなところも含めて好きだと感じてしまうのだから、仕方がない。
私は言われたようにほんのちょっぴり口を開いて目を閉じた。
「このくらいで……ぃ、――んっ!」
――このくらいでいい?
そうつむごうとした言葉は、「い」の取っ掛かり辺りで信武からの噛みつくみたいに性急なキスで、彼の口の中へ吸い込まれてしまった。
そのままくちゅっ、とお互いの唾液をかき混ぜるみたいに舌を絡め取られて。
全身が信武の体温にとろけるみたいに熱を帯びてくる。
「ふ、……あっ、し、のぶっ……待っ、ぁんっ」
口付けの角度を深くするのに呼応して、信武の大きな手が私の胸の膨らみをフニフニと甘えるように包み込むから。
私はキュン、と下腹部が疼いてしまう。
「んっ」
そのくせ一番触って欲しい胸のとんがりには指先を掠めてもくれないとか。
なんて意地悪なの!
「信武っ、お願……っ」
切ないくらいにキュンキュン疼く胸の昂りをいじめて欲しいとおねだりしようとしたら、リビングの方から『明けましておめでとうございます!』と言うテレビの声が微かに聞こえてきた。
途端、チュッと私の舌先を優しく吸い上げて、信武がキスを解いて身体を離してしまう。
中途半端に情欲の火を点された私は、唇を濡れ光らせたまま、呆然と彼を見上げて。
「明けましておめでとう、日和美」
ニコッと、まるで不破さんみたいな人畜無害な笑顔を向けられても納得いくわけがない!
ムゥーッと唇を突き出したまま「……ざいます」と小さく返したら「機嫌悪いな?」とキョトンとされて。
そんな顔してるけど、不機嫌の理由、絶対分かってるよね⁉︎と恨めしく思わずにはいられない。
「……信武の意地悪!」
言うなりドサッと寝床に突っ伏して、布団を乱暴に被ったら、「あー、すまん。からかいすぎた」とか。
ほらね、やっぱりわざとじゃん。
「なぁ、機嫌直せよ。――な?」
そおっと布団をはぎ取られて顔を覗き込まれた私は、眉根を寄せて申し訳なさそうにした彼の顔を見ただけで、危うくほだされそうになってしまう。
「――年越しをさ、日和美とキスしながらしたいって思っただけなんだ。ホントすまん。胸、触っちまったのはマジで不可抗力だ。お前があんまりにも色っぽい反応すっから、つい……」
――つい触ったなら……責任とって、そのまま最後まで続けてよぅ。
そんなこと、思っていても言えるわけがないでしょう?
「日和美、明日も仕事だろ? 抱きてぇのは山々だけど無理させらんねぇじゃん?」
吐息まじり。心底残念そうにそう続けられた私は、グイッと信武の胸元を引っ張って、自分から彼に口付けをした。
「明日の朝は私、いつもより勤務開始時刻が1時間くらい遅いの」
年が明けて初めてのキスは私からしたんだから、その先は信武から……。
そんな意味を込めて、私は信武の耳元、聞こえるか聞こえないかのか細い声でそう誘い掛けた。
END(2022/12/31)
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