130 / 169
(20)事後のあれこれ
修行僧信武
しおりを挟む
信武は顔を伏せてこちらを見ようとしてくれない日和美をそっと抱き上げて風呂場へ向かいながら、「あれはそういうもんじゃねぇんだよ」と説明した。
初心者の日和美が失禁と勘違いしてしまったのは仕方がないことなのかも知れないが、女性が感じた時なんかに起こる現象で、珍しいことではないのだと説明したら「それって……『誘いかける蜜口』に書いてあったやつですか?」と腕の中からぽやんとした顔で見上げられた。
先程の情事の余韻が、身体の方はもちろん精神の方にも作用しているんだろう。
日和美がしっかり覚醒してしまったなら、こんな風に何の覆いもなく信武の腕に抱き上げられている現状を容認しなかったはずだから。
何せ日和美だけじゃなく、彼女を抱き上げている信武自身も素っ裸なのだ。
スライドドア全面が鏡面になっているウォークインクローゼット前を通過しながら、信武は日和美の視線がそちらへ向かわなくて良かったと内心ホッとする。
日和美だって自分の裸は見慣れているだろうけれど、臀部や局所、下肢のあちこちに破瓜の痕跡を残した姿は、恐らく刺激が強過ぎるはずだ。
信武はなるべく日和美が覚醒しきる前に、風呂場でそういうものを綺麗に洗い流してやりたいと思った。
ついでにその後は自分だけサッと身体を清めてから、日和美にはゆっくり湯船に浸かるよう言い渡して、寝室のシーツなども気づかれずに綺麗なものへ整え直しておきたいとも考えていたりする。
日和美の初体験が、彼女のなかで負の記憶と結び付いてしまいそうなことは事前に取っ払っておいてやりたい。
お漏らし疑惑なんてその最たるものではないか。
「ああ。あん中で清佳が匠の手技で潮を吹いたってあったろ……。あれと一緒。お前が吹いたのはアポクリン腺液ってやつだ。――尿とは違う」
まさか自作に助けられるとは思っていなかった信武は、そんな説明をしながら日和美を浴室の床へそっと降ろしてやる。
「ひゃっ」
思いのほか床が冷たかったのだろう。
途端キュッと身体をすくませた日和美が、温もりを求めるみたいに信武にしがみ付いてきた。
(可愛すぎかっ)
なんて思いが溢れすぎると息子が再度漲ってしまいそうでヤバイので、信武はそんな日和美を無心でそっと抱き寄せてやりながら、湯張りスイッチを押す。
ついでにシャワーヘッドを壁の方へ向けてからシャワーコックをひねった。
足元を湯になる前の冷たい水が流れるからだろう。日和美のしがみ付きが一層強くなって。
柔らかな日和美の身体がキューッと肌に吸い付いてくるのを感じた信武は、内心(勘弁してくれ)と思ってしまった。
(また抱きたくなっちまうだろーがっ)
初心者相手、立て続けにそんなことをするのは鬼畜の所業だと思う。
だから理性を総動員して我慢しているというのに。
日和美の無自覚爆弾ぶりに、タジタジの信武だ。
湯気が立ち込め始めた浴室内で、日和美の下半身中心にシャワーを当てて優しく撫でさするように汚れを落としてやりながら、信武は心の中で仏説阿弥陀経を唱え続けている。
とはいえ経文の全てを知っているわけではないので、ラストの辺りに出る「南無阿弥陀仏」の繰り返しに過ぎなかったのだが。
初心者の日和美が失禁と勘違いしてしまったのは仕方がないことなのかも知れないが、女性が感じた時なんかに起こる現象で、珍しいことではないのだと説明したら「それって……『誘いかける蜜口』に書いてあったやつですか?」と腕の中からぽやんとした顔で見上げられた。
先程の情事の余韻が、身体の方はもちろん精神の方にも作用しているんだろう。
日和美がしっかり覚醒してしまったなら、こんな風に何の覆いもなく信武の腕に抱き上げられている現状を容認しなかったはずだから。
何せ日和美だけじゃなく、彼女を抱き上げている信武自身も素っ裸なのだ。
スライドドア全面が鏡面になっているウォークインクローゼット前を通過しながら、信武は日和美の視線がそちらへ向かわなくて良かったと内心ホッとする。
日和美だって自分の裸は見慣れているだろうけれど、臀部や局所、下肢のあちこちに破瓜の痕跡を残した姿は、恐らく刺激が強過ぎるはずだ。
信武はなるべく日和美が覚醒しきる前に、風呂場でそういうものを綺麗に洗い流してやりたいと思った。
ついでにその後は自分だけサッと身体を清めてから、日和美にはゆっくり湯船に浸かるよう言い渡して、寝室のシーツなども気づかれずに綺麗なものへ整え直しておきたいとも考えていたりする。
日和美の初体験が、彼女のなかで負の記憶と結び付いてしまいそうなことは事前に取っ払っておいてやりたい。
お漏らし疑惑なんてその最たるものではないか。
「ああ。あん中で清佳が匠の手技で潮を吹いたってあったろ……。あれと一緒。お前が吹いたのはアポクリン腺液ってやつだ。――尿とは違う」
まさか自作に助けられるとは思っていなかった信武は、そんな説明をしながら日和美を浴室の床へそっと降ろしてやる。
「ひゃっ」
思いのほか床が冷たかったのだろう。
途端キュッと身体をすくませた日和美が、温もりを求めるみたいに信武にしがみ付いてきた。
(可愛すぎかっ)
なんて思いが溢れすぎると息子が再度漲ってしまいそうでヤバイので、信武はそんな日和美を無心でそっと抱き寄せてやりながら、湯張りスイッチを押す。
ついでにシャワーヘッドを壁の方へ向けてからシャワーコックをひねった。
足元を湯になる前の冷たい水が流れるからだろう。日和美のしがみ付きが一層強くなって。
柔らかな日和美の身体がキューッと肌に吸い付いてくるのを感じた信武は、内心(勘弁してくれ)と思ってしまった。
(また抱きたくなっちまうだろーがっ)
初心者相手、立て続けにそんなことをするのは鬼畜の所業だと思う。
だから理性を総動員して我慢しているというのに。
日和美の無自覚爆弾ぶりに、タジタジの信武だ。
湯気が立ち込め始めた浴室内で、日和美の下半身中心にシャワーを当てて優しく撫でさするように汚れを落としてやりながら、信武は心の中で仏説阿弥陀経を唱え続けている。
とはいえ経文の全てを知っているわけではないので、ラストの辺りに出る「南無阿弥陀仏」の繰り返しに過ぎなかったのだが。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛
冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる