89 / 169
(16)やましいことなんてひとつもねぇから
黙って俺に愛されろ
しおりを挟む
バカだのなんだの交えながら、ツンと信武がそっぽを向いたのは、ヤキモチを妬いてくれていると自惚れてもいいのだろうか?
萌風もふ先生のアレコレよりもそっちの方が気になってしまった時点で、日和美は自分の中で相当信武への想いが強くなっているのを認めずにはいられない。
「どうせ出かけなきゃなんねーんならついでにお前の顔が見れたらって期待してさ。わざわざ日和美の職場近くであいつと落ち合ったっつーのに。それが裏目に出るとか本当ツイてなさ過ぎて腹立つんだけど!」
――見かけたんなら声掛けろよな!?と恨み節まじり。
信武が日和美を睨みつけて忌々し気に頭をガシガシ掻くのでさえも、盛大な愛の告白に聞こえてしまう。
「あ、あの……。信武さんは……私のこと、本気で好き……なん……です、か?」
それでしどろもどろ。
そんなことを聞いてしまった日和美だ。
「――はぁ!? 今更それ聞くのかよ。俺、今まで散々お前に言ってきただろーが、バカ日和美め! 酔狂や冗談で俺の女になれって言うほど俺は暇じゃねーんだよ! 分かったか!」
グイッとあごを持ち上げられてじっと瞳を覗き込まれた日和美は、余りの顔の近さに思わずたじろいでしまう。
(あ……、これ、絶対キスされるやつ)
そう思いながらも、言わずにはいられない。
「……じゃあなんで今、私の言葉に応えて『好きだ』って言ってくれないんですか? 意地悪ですか?」
掴まれた手をグッと掴み返してじっと彼を見上げたら、信武が驚いたように瞳を見開いた。
そうしてククッと喉を鳴らして笑い出す。
「なぁ、日和美よ。その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ。――で、結局お前はどうなんだ? 俺のこと、ちったぁ好きだと思えるようになったのか。俺も前からそれ、お前に聞いてると思うんだがな⁉︎」
掴んだ手首を逆の手でグイッと掴み直されて、日和美はぶわりと頬を赤く染める。
「――す、好き……です……。ちょっとどころじゃなく沢山沢山好きです……多分!」
照れ隠しに「多分」と付け足してしまった日和美をグイッと腕の中に抱き締めると、信武が日和美の耳元で低く甘くささやいた。
「――俺も日和美が好きだ。ちょっとどころじゃなく目一杯お前に惹かれてるから安心しろ。神様なんざ信じちゃいねぇーけど今だけそいつに誓ってやってもいい。やましいことなんてひとつもねぇから。黙って俺に愛されろ」
萌風もふ先生のアレコレよりもそっちの方が気になってしまった時点で、日和美は自分の中で相当信武への想いが強くなっているのを認めずにはいられない。
「どうせ出かけなきゃなんねーんならついでにお前の顔が見れたらって期待してさ。わざわざ日和美の職場近くであいつと落ち合ったっつーのに。それが裏目に出るとか本当ツイてなさ過ぎて腹立つんだけど!」
――見かけたんなら声掛けろよな!?と恨み節まじり。
信武が日和美を睨みつけて忌々し気に頭をガシガシ掻くのでさえも、盛大な愛の告白に聞こえてしまう。
「あ、あの……。信武さんは……私のこと、本気で好き……なん……です、か?」
それでしどろもどろ。
そんなことを聞いてしまった日和美だ。
「――はぁ!? 今更それ聞くのかよ。俺、今まで散々お前に言ってきただろーが、バカ日和美め! 酔狂や冗談で俺の女になれって言うほど俺は暇じゃねーんだよ! 分かったか!」
グイッとあごを持ち上げられてじっと瞳を覗き込まれた日和美は、余りの顔の近さに思わずたじろいでしまう。
(あ……、これ、絶対キスされるやつ)
そう思いながらも、言わずにはいられない。
「……じゃあなんで今、私の言葉に応えて『好きだ』って言ってくれないんですか? 意地悪ですか?」
掴まれた手をグッと掴み返してじっと彼を見上げたら、信武が驚いたように瞳を見開いた。
そうしてククッと喉を鳴らして笑い出す。
「なぁ、日和美よ。その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ。――で、結局お前はどうなんだ? 俺のこと、ちったぁ好きだと思えるようになったのか。俺も前からそれ、お前に聞いてると思うんだがな⁉︎」
掴んだ手首を逆の手でグイッと掴み直されて、日和美はぶわりと頬を赤く染める。
「――す、好き……です……。ちょっとどころじゃなく沢山沢山好きです……多分!」
照れ隠しに「多分」と付け足してしまった日和美をグイッと腕の中に抱き締めると、信武が日和美の耳元で低く甘くささやいた。
「――俺も日和美が好きだ。ちょっとどころじゃなく目一杯お前に惹かれてるから安心しろ。神様なんざ信じちゃいねぇーけど今だけそいつに誓ってやってもいい。やましいことなんてひとつもねぇから。黙って俺に愛されろ」
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる