【完結】【R18】溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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(14)その女性は誰ですか?

サイン会のお知らせ

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立神たつがみ信武しのぶ先生サイン会のお知らせ』

 そんな貼り紙が、勤め先書店のあちこちに掲示されたのは日和美ひなみが信武に〝女の子の日なんです〟発言をした翌日のことだった。

(信武さんがうちのお店に……?)

 そんなこと聞いてないよ?と思いつつ。
 でもいつだったか信武が『大体俺、お前んトコの勤め先に近々……』とか口走ったのを思い出してあれはこれのことだったのかも、と思い至った日和美だ。

 日和美がポスターの前で呆然と立ち尽くしていたら、これを主催するために奔走ほんそうしたであろう影の立役者・立神信武フリークの多賀谷たがや先輩がやって来て、「あれ? 山中さん。もしかして知らなかった?」と聞いてきたのでコクコクとうなずいた。

「わぁー。灯台もと暗し! みんなに告知したつもりでいたけど……新入社員の山中さんには告知漏れしてたんだね。そういえばこれの企画発表したの先月だったわ! ごめんなさい」

 申し訳なさそうに謝られて……いや、悪いのは先輩じゃなくてきっと店長ですよ?と思った日和美だ。

 バタバタしていてみんなそこまで気が回らなかったのかも知れない。

 何せ今年新卒採用で新入社員として新たにこの『三つ葉書店学園町店』に入社したのは日和美だけだったから。
 ついうっかり他部署担当の日和美一人に告知漏れがあったからと言って、大勢たいせいに影響はないだろう。

 それに、ポスターで告知された日まではまだあと一ヶ月近くある。

 どうやら先週発売されたばかりの新刊を買った人に、サイン会に参加する抽選権が与えられるらしい。

「知ってたら昨日、サイン会の権利がある本買ってた?」

 なおもポスターを見続けていたからだろう。
 多賀谷が心配そうに聞いてくるから。
 日和美はキョトンとした。

「ほら、私が別の本を勧めちゃったから。てっきり山中さん、サイン会のこと知ってると思ってたし……新刊はあえて勧めなくても興味があれば自分で買うかなって、つい」

 言われて、新刊……とつぶやいて。
 対象書籍の題名を見て、日和美ひなみは思わず苦笑した。

信武しのぶさんのすっごくエッチそうなタイトルの本、新刊だったんだ)

 Webpediaウェブペディアに載っていた『誘いかける蜜口みつくち』は割と最近発売されたばかりの本だったのだと知って、何だか妙に驚いてしまった日和美だ。

「ウェブペって情報の更新、すっごく早いんですね」

 先日見たWebpediaウェブペディアに、すでに新刊『誘いかける蜜口』のことが詳細に上がっていたことを思い出しながら感心の吐息まじりに言ったら、「あれ、更新したの私なの」と多賀谷たがやがはにかんだ。

「え⁉︎ すごい! 多賀谷先輩、ウェブぺの関係者か何かなんですか⁉︎」

 思わずポスターから視線を外してキラキラした目で多賀谷を見つめたら、彼女は「えっ」と口走って驚いた顔をする。
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