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(12)意識しないなんて無理!*
何で襲ってこないの⁉︎
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「あ、あのっ……」
「あんま動くな。今ちょっと障りがある」
どこか不貞腐れたように言いながら、それでも信武が日和美を気遣うように心底優しい声音で「あと……泣かなくていい。そう言うんは基本不可抗力だろ? 気にするこたぁーねぇよ」と腕に力を込めてくる。
不破とは口調が全然違うし、信武の腕の中にいるのは明確なはずなのに。まるで不破に抱き締められているような、そんな錯覚を覚えさせられて驚かされた日和美だ。
それに――。
こんな状況になったのだから、信武は絶対強引に日和美のことを手籠めにしようとするに違いないと思っていた。
なのに固く張りつめた下腹部を日和美でどうこうしようという気はさらさらないのだと意思表示するみたいに、信武が自分の現状を〝障り〟とまで言ってのけるから。
日和美はそんな信武に心臓がうるさいぐらいドキドキしていることに気付かされてプチパニックに陥る。
(何これ何これ何これ……!)
日和美の知る信武は、不破と違ってもっともっと強引で、自分勝手な男のはずなのに。
(何で襲ってこないの⁉︎)
別にそうして欲しいわけではないのに心裏腹なことまで思ってしまう始末。
「なぁ日和美。お前さ、俺のこと強姦魔か何かだと思ってんのかも知んねぇけど……いくらお前が俺のすぐそばでトロットロに感じちまってるとしても。俺、自分に気のねぇ女をなし崩し的に抱くような趣味はねぇからな? 二人で気持ちいいことすんのはお前が俺を好きになってからだ。覚えとけ」
だからとりあえず安心しろ、と言外に含ませる信武に、日和美は心を見透かされた気持ちになって内心オロオロする。
「俺はお前が思ってる以上に欲張りなんだよ。いずれ心も身体もキッチリ捧げてもらうからな? そのつもりでいろよ?」
言ってククッと楽しげに笑う信武に、日和美はそう遠くない未来、自分は彼に完全に絡め取られてしまう気がしてゾクリと身体を震わせた。
「あ、あの、信武さんっ。も、分かったので……その……、そろそろ離して頂けませんか?」
それを誤魔化すみたいに自分に回された腕にそっと触れたら、「――ああ、そうだな。お前抱き心地いいし……くっそ名残惜しいけど……確かにそろそろ起きねぇと遅刻しちまうな」と案外すんなり腕を解いてくれて。
強引なのかと思えば、煮え切らない日和美の覚悟を尊重するみたいにスッと引く。
そんな信武の意外な一面に触れて、日和美は彼のことを意識せずにはいられなくなっている自分に気が付いた。
(二人は全然違うと思ってたけど……そんなことないのかも知れない。――だって私、不破さんは信武さんの中にちゃんといるって気がしてるんだもの)
それと同時、認めたくはないけれどそう思わずにはいられなかった。
「あんま動くな。今ちょっと障りがある」
どこか不貞腐れたように言いながら、それでも信武が日和美を気遣うように心底優しい声音で「あと……泣かなくていい。そう言うんは基本不可抗力だろ? 気にするこたぁーねぇよ」と腕に力を込めてくる。
不破とは口調が全然違うし、信武の腕の中にいるのは明確なはずなのに。まるで不破に抱き締められているような、そんな錯覚を覚えさせられて驚かされた日和美だ。
それに――。
こんな状況になったのだから、信武は絶対強引に日和美のことを手籠めにしようとするに違いないと思っていた。
なのに固く張りつめた下腹部を日和美でどうこうしようという気はさらさらないのだと意思表示するみたいに、信武が自分の現状を〝障り〟とまで言ってのけるから。
日和美はそんな信武に心臓がうるさいぐらいドキドキしていることに気付かされてプチパニックに陥る。
(何これ何これ何これ……!)
日和美の知る信武は、不破と違ってもっともっと強引で、自分勝手な男のはずなのに。
(何で襲ってこないの⁉︎)
別にそうして欲しいわけではないのに心裏腹なことまで思ってしまう始末。
「なぁ日和美。お前さ、俺のこと強姦魔か何かだと思ってんのかも知んねぇけど……いくらお前が俺のすぐそばでトロットロに感じちまってるとしても。俺、自分に気のねぇ女をなし崩し的に抱くような趣味はねぇからな? 二人で気持ちいいことすんのはお前が俺を好きになってからだ。覚えとけ」
だからとりあえず安心しろ、と言外に含ませる信武に、日和美は心を見透かされた気持ちになって内心オロオロする。
「俺はお前が思ってる以上に欲張りなんだよ。いずれ心も身体もキッチリ捧げてもらうからな? そのつもりでいろよ?」
言ってククッと楽しげに笑う信武に、日和美はそう遠くない未来、自分は彼に完全に絡め取られてしまう気がしてゾクリと身体を震わせた。
「あ、あの、信武さんっ。も、分かったので……その……、そろそろ離して頂けませんか?」
それを誤魔化すみたいに自分に回された腕にそっと触れたら、「――ああ、そうだな。お前抱き心地いいし……くっそ名残惜しいけど……確かにそろそろ起きねぇと遅刻しちまうな」と案外すんなり腕を解いてくれて。
強引なのかと思えば、煮え切らない日和美の覚悟を尊重するみたいにスッと引く。
そんな信武の意外な一面に触れて、日和美は彼のことを意識せずにはいられなくなっている自分に気が付いた。
(二人は全然違うと思ってたけど……そんなことないのかも知れない。――だって私、不破さんは信武さんの中にちゃんといるって気がしてるんだもの)
それと同時、認めたくはないけれどそう思わずにはいられなかった。
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