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(7)秘密の花園
TLとBLは日和美さんのお好きなジャンルですか?
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自分も萌風もふ先生みたいな可憐な大和撫子になりたい!と憧れて……。
そんな日本人女性代表!みたいな彼女が紡ぎ出す、日本とは無縁の異世界ファンタジーとのギャップにのめり込んだ日和美だ。
そんな貴重な紙書籍版『犬姫』。
棚に並べてみると、版元が違うからだろうか。
『犬姫』だけ〝ムーンライトときめき濡恋文庫〟から刊行されている他シリーズより少しピンク色が濃くて目を引かれるからか、ついつい手に取りたくなってしまう。
いつも完璧な異世界ものを書く萌風先生が、本作だけ珍しく舞台が日本だったのが新鮮で、何度も何度も読み返した。
けれど実は日和美、ここ最近はあえて手に取らないよう努めていたりする。
というのも――。
(『犬姫』読んだら犬が飼いたくなっちゃうんだもんっ)
萌風先生のわんこ描写はそれほど精緻で繊細。
『犬姫』を読むと、犬姫ことルクレッツィーの愛らしさに、日和美はいつもやられてしまうのだ。
いつかペット可の家に住んで、大きなワンコと暮らしたい!と思ってしまうのは、ルクレッツィーが可愛すぎるからに他ならない。
(このアパートじゃ無理なんだもん)
ペット不可な上にそれほど広いわけでもない。おまけに新生活を始めたばかりの日和美に手の掛かる生き物をお迎えするゆとりなんてない。
だからここ最近はずっと、『犬姫』を手に取ることを控えてきたのだ。
まぁでも……代わりにと言っちゃあ何だけど――。
「ティーンズラブとボーイズラブは日和美さんのお好きなジャンルですか?」
ふわっふわの見目麗しい王子さまを拾ってしまったから日和美の庇護欲は結構満たされている。
そんな今なら『犬姫』を再読しても大丈夫そうに思えた。
「うんっ。すっごく好きなジャンルなんです♪」
ふわふわ王子、有難う!などと思いつつ、ほわんとした頭で不破の言葉を全肯定してからしばし後。
日和美は今更のようにハッとした。
(きゃー! 私ってば何嬉しげにヤバイこと話しちゃってるのよ!)
初出勤ハイと、不破ロス&再会ハイ、恐るべし!
それに――。
(ちょっと待って、ちょっと待って? 不破さん、そもそもティーンズラブとかボーイズラブって何ですか?って聞いてこないのおかしくない!?)
聞かれても困るけれど、聞かれないのも何だか怖い。
それは、ひょっとして不破がその言葉を元々知っていたということだろうか。
それとも――?
そんな日本人女性代表!みたいな彼女が紡ぎ出す、日本とは無縁の異世界ファンタジーとのギャップにのめり込んだ日和美だ。
そんな貴重な紙書籍版『犬姫』。
棚に並べてみると、版元が違うからだろうか。
『犬姫』だけ〝ムーンライトときめき濡恋文庫〟から刊行されている他シリーズより少しピンク色が濃くて目を引かれるからか、ついつい手に取りたくなってしまう。
いつも完璧な異世界ものを書く萌風先生が、本作だけ珍しく舞台が日本だったのが新鮮で、何度も何度も読み返した。
けれど実は日和美、ここ最近はあえて手に取らないよう努めていたりする。
というのも――。
(『犬姫』読んだら犬が飼いたくなっちゃうんだもんっ)
萌風先生のわんこ描写はそれほど精緻で繊細。
『犬姫』を読むと、犬姫ことルクレッツィーの愛らしさに、日和美はいつもやられてしまうのだ。
いつかペット可の家に住んで、大きなワンコと暮らしたい!と思ってしまうのは、ルクレッツィーが可愛すぎるからに他ならない。
(このアパートじゃ無理なんだもん)
ペット不可な上にそれほど広いわけでもない。おまけに新生活を始めたばかりの日和美に手の掛かる生き物をお迎えするゆとりなんてない。
だからここ最近はずっと、『犬姫』を手に取ることを控えてきたのだ。
まぁでも……代わりにと言っちゃあ何だけど――。
「ティーンズラブとボーイズラブは日和美さんのお好きなジャンルですか?」
ふわっふわの見目麗しい王子さまを拾ってしまったから日和美の庇護欲は結構満たされている。
そんな今なら『犬姫』を再読しても大丈夫そうに思えた。
「うんっ。すっごく好きなジャンルなんです♪」
ふわふわ王子、有難う!などと思いつつ、ほわんとした頭で不破の言葉を全肯定してからしばし後。
日和美は今更のようにハッとした。
(きゃー! 私ってば何嬉しげにヤバイこと話しちゃってるのよ!)
初出勤ハイと、不破ロス&再会ハイ、恐るべし!
それに――。
(ちょっと待って、ちょっと待って? 不破さん、そもそもティーンズラブとかボーイズラブって何ですか?って聞いてこないのおかしくない!?)
聞かれても困るけれど、聞かれないのも何だか怖い。
それは、ひょっとして不破がその言葉を元々知っていたということだろうか。
それとも――?
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