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(6)やぶをつついてヘビを出す?
本音がポロリ
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病院で、記憶が戻ると同時に記憶喪失の間の出来事を忘れてしまう可能性があることだって示唆されている。
(私、不破さんに忘れられたくないっ!)
でも、こうして迷っている間にも、不破は当然日和美の言葉を待っているわけで。
「実は……?」
とっても間近。不安そうな顔で超絶美しい顔にじっと見詰められて先を促された日和美は、一生懸命頭をフル回転させた。
「わ、私っ、喉が渇いてキッチンにお茶を飲みに行ったんです。そしたら……不破さんが苦しそうにうなされてらしたので……それで……」
口から出まかせ。出だしからして出鱈目なことを並べ立ててみたのにアラ不思議。話し始めてみたら、自分でもびっくりするくらいスラスラと架空の理由が浮かんできた日和美だ。
「あんまりにもお辛そうだったので起こした方がいいかな?って貴方を揺すってみたんです。そしたら寝ぼけた不破さんにどなたかと勘違いされてギュッとされて……。頑張ってみたんですけど抜け出せなかったので諦めて腕が緩むのを待っていたら……いつの間にか一緒に眠り込んじゃってましたっ。……驚かせてしまって本当にごめんなさい!」
テヘペロ。
日和美は口の端に小さく舌を出して、なるべくライトな感じ。お愛想笑いをしながら告げてみた。
不破に今の話を重く受け止められたくなくて努めて軽い感じを装ってみたくせに、ルティのことを完全に省いて説明できなかったのは、きっと心の端っこに彼女(?)のことが棘のように引っかかっていたからだろう。
(うー、私のバカ!)
そう思うのと同時、日和美は
(だけど……ひょっとして私、萌風もふ先生みたいな小説家になれちゃうんじゃない?)
とも思ってしまった。
全部を虚偽で飾り立てると真実味がなくなる。
嘘をつくときはほんのちょっとだけ事実を織り交ぜた方がより効果的。
そんなことをネットか何かで読んだことがある日和美だ。
その論を信じるならば、いま自分が告げた言葉はパーフェクトなんじゃないだろうか。
なんて心の中。一人密かに自画自賛をしていたら、不破が落ち着かない様子で瞳を揺らせて。
「そ、それで……僕は……その、貴女に。えっと……」
珍しく煮え切らない様子の不破に日和美がキョトンとしたら、
「い、いやらしいことをしたりはしませんでしたかっ?」
耳まで真っ赤にして不破がそう問いかけてきた。
日和美は余りに初心な不破の様子に
「ま、まさかっ。いっそ私の方が襲ってしまいたくてウズウズしちゃったくらいですっ!」
思わず、要らない本音をポロリとこぼしてしまって。
(あーんっ。私のバカッ!)
「えっ⁉︎」と驚愕の声を漏らす不破を前に、今度は日和美が赤面する番だった。
(私、不破さんに忘れられたくないっ!)
でも、こうして迷っている間にも、不破は当然日和美の言葉を待っているわけで。
「実は……?」
とっても間近。不安そうな顔で超絶美しい顔にじっと見詰められて先を促された日和美は、一生懸命頭をフル回転させた。
「わ、私っ、喉が渇いてキッチンにお茶を飲みに行ったんです。そしたら……不破さんが苦しそうにうなされてらしたので……それで……」
口から出まかせ。出だしからして出鱈目なことを並べ立ててみたのにアラ不思議。話し始めてみたら、自分でもびっくりするくらいスラスラと架空の理由が浮かんできた日和美だ。
「あんまりにもお辛そうだったので起こした方がいいかな?って貴方を揺すってみたんです。そしたら寝ぼけた不破さんにどなたかと勘違いされてギュッとされて……。頑張ってみたんですけど抜け出せなかったので諦めて腕が緩むのを待っていたら……いつの間にか一緒に眠り込んじゃってましたっ。……驚かせてしまって本当にごめんなさい!」
テヘペロ。
日和美は口の端に小さく舌を出して、なるべくライトな感じ。お愛想笑いをしながら告げてみた。
不破に今の話を重く受け止められたくなくて努めて軽い感じを装ってみたくせに、ルティのことを完全に省いて説明できなかったのは、きっと心の端っこに彼女(?)のことが棘のように引っかかっていたからだろう。
(うー、私のバカ!)
そう思うのと同時、日和美は
(だけど……ひょっとして私、萌風もふ先生みたいな小説家になれちゃうんじゃない?)
とも思ってしまった。
全部を虚偽で飾り立てると真実味がなくなる。
嘘をつくときはほんのちょっとだけ事実を織り交ぜた方がより効果的。
そんなことをネットか何かで読んだことがある日和美だ。
その論を信じるならば、いま自分が告げた言葉はパーフェクトなんじゃないだろうか。
なんて心の中。一人密かに自画自賛をしていたら、不破が落ち着かない様子で瞳を揺らせて。
「そ、それで……僕は……その、貴女に。えっと……」
珍しく煮え切らない様子の不破に日和美がキョトンとしたら、
「い、いやらしいことをしたりはしませんでしたかっ?」
耳まで真っ赤にして不破がそう問いかけてきた。
日和美は余りに初心な不破の様子に
「ま、まさかっ。いっそ私の方が襲ってしまいたくてウズウズしちゃったくらいですっ!」
思わず、要らない本音をポロリとこぼしてしまって。
(あーんっ。私のバカッ!)
「えっ⁉︎」と驚愕の声を漏らす不破を前に、今度は日和美が赤面する番だった。
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