【完結】【R18】溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜

鷹槻れん(鷹槻うなの)

文字の大きさ
上 下
25 / 169
(6)やぶをつついてヘビを出す?

色っぽいこと?

しおりを挟む
***

『し、失礼しまぁ~す』

 我が家のリビングなのに、不破ふわがいると思うとどうあったって緊張のあまり遠慮がちになってしまう。

 日和美ひなみは小さな声で、まるでよそのお宅を訪問した〝泥棒〟のような声をかけると、そろりそろりと足音を忍ばせて不破が眠る布団に近付いた。

 不破はテレビ前に置かれていたソファやローテーブルを窓際に寄せるようにして布団を敷いていたから、ふすまを開けたら結構すぐそこ――目の前にいて。

 まだ暗闇に慣れ切らない日和美の目に、テレビ下のDVDデッキの時計が光るデジタル表示や、テレビの主電源のスタンバイの明かり、カーテンの隙間から差し込む月光が力を貸してくれる。

 自分も少し前まで暗がりにいたこともあって、割とすぐに夜目に慣れてきた日和美だ。

 真っ暗闇じゃなく、あちこちにほんのりと明かりを放つものがあったのも幸いして。すぐさま布団に入った不破の様子が割とハッキリ認識出来るようになった。


(はわわわ~。不破ふわ譜和ふわさん、めちゃ綺麗きれぇー

 ぱっちりキラキラなお星さまが散りばめられたみたいな目が開いているところも確かに素敵だけれど、こうして目を閉じていると、まつ毛が長いのが際立つではないか。

 明度なんてほとんどない明かりの下でさえ、ほほにまつ毛から落ちる影が見える気がして――。

 彼の枕元にあるDVDデッキの時計表示の緑がかった明かりに照らされているからだろうか。
 ほんのりと青白く見える不破の肌はまるでビスクドールみたいに現実味がなくて。

 作り物みたいにすべすべの肌に、日和美は思わず明かりに引き寄せられる蛾みたいにおびき寄せられてしまう。

 布団わきにトスン……とひざをつくと、彼へ覆いかぶさるみたいにしてまじまじとその顔を見詰めた。

不破ふわさん、ちゃんと息してる?)

 こうして眺める限りでは苦しんでいるようには見えない。

 でも余りにもお行儀よく寝そべっているから、逆に息をしているように見えなくて、日和美ひなみは一人ソワソワしてしまう。

(か、確認のためっ)

 異性の寝間に忍び込んでイケナイことをしているというやましさを払拭ふっしょくするように、言い訳がましく心の中でそうつぶやくと、そぉっと彼の口元に耳を近付けて吐息を確認しようとして――。

「ん……」

 途端不破が眉根を寄せて小さくあえぐから。

 ドッキィーーーンッ!

 耳を不破の口元に持っていっていたこともあって、ふぅっと耳朶をかすめた不破の吐息と色っぽい声に、日和美は危うく心臓が口から飛び出してしまいそうになる。

 ただ単に、やたら近付き過ぎてしまったせいで、日和美の髪の毛が不破の鼻先をくすぐったのが原因なのだけれど、日和美にはそんなの分からなくてただたださいなまれて冷や汗タラタラだ。

(あ、いや、あえいだって定義しちゃうのは語弊ごへいがありますかねっ!?)

 それでは、まるで日和美が色っぽいことを仕掛けたみたいではないか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

溺愛社長の欲求からは逃れられない

鳴宮鶉子
恋愛
溺愛社長の欲求からは逃れられない

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

練習なのに、とろけてしまいました

あさぎ
恋愛
ちょっとオタクな吉住瞳子(よしずみとうこ)は漫画やゲームが大好き。ある日、漫画動画を創作している友人から意外なお願いをされ引き受けると、なぜか会社のイケメン上司・小野田主任が現れびっくり。友人のお願いにうまく応えることができない瞳子を主任が手ずから教えこんでいく。 「だんだんいやらしくなってきたな」「お前の声、すごくそそられる……」主任の手が止まらない。まさかこんな練習になるなんて。瞳子はどこまでも甘く淫らにとかされていく ※※※〈本編12話+番外編1話〉※※※

処理中です...